脳卒中(脳血管疾患)と言う病気に対してのリハビリテーションのこと

どちらかと言えば学生向きの内容です。脳卒中と言う病気は、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が対応する病気ではおそらく最も多いものだとともいますが、病像や障害像が様々なために、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の養成校でもしっかりと講義できていないものの1つでないでしょうか?

脳卒中のリハビリテーションについて少し書いてみたい。

脳卒中の患者さんを担当して、臨床実習で困っている理学療法士や作業療法士、言語聴覚士を目指す学生さんが知っておいた方がよいと思う、リハビリテーションに必要な脳血管疾患のことについてまとめてみました。

骨折の患者さんへの対応と脳卒中の患者さんへの考え方は異なっているということを理解しないと、適切なリハビリテーションは実践できません。

半身が動かなかくなるって言う事

「片麻痺」って表現を脳血管疾患ではよく使います。読んで字のごとく、体の半身が麻痺した状態ですよね。だから、麻痺側と反対側の上下肢はきちんと使えるのではなかと、勘違いしている学生さんもいるのではないでしょうか。

じつは、片麻痺の患者さんの麻痺側とは反対側の上下肢はまったく問題がないと勘違いしている理学療法士や作業療法士、言語聴覚士もたくさんいるんです。

だけど、反対側の上下肢も使いづらいんですよ。

「麻痺」という表現だけど

麻痺って聞くと

  • 「弛緩性麻痺」のように全く動かなくなる
  • ブランブランな状態

みたいなイメージを思い浮かべる方もいるのではないでしょうか?

脳卒中による片麻痺というのはそのようなブランブランな状態ではありません。

動かすことができる程度も患者さんによっていろいろ。

一口に片麻痺といってもその病態像は患者さん事によって全く異なるのです。

片麻痺って言う表現だけど

「片麻痺」って聞くと半身だけが問題のように考えてしまいがちなのですが、実はそうではないのです。脳卒中で片麻痺の状態になるのは、半身だけの病気ではなく、全身的な問題なのです。

脳血管疾患のかたの場合は麻痺していないほうの手や足でさえスムースに動かすことができないのです。麻痺している側の手や足の状態が影響していて、麻痺していない方の手や足ですらスムースにに動かすことができないのです。

手や足は、右と左の区別がつきますが、体幹とか首とかってなると、どこまでが右でどこから左なのかって区別もつきにくくなりますしね。

だから、片麻痺って言う表現にとらわれないようにしてください。脳卒中というのはどちらか一方だけが悪くなる病気ではなく、全身的に影響の出る病気なので、

左片麻痺

って言うのは、左側の上下肢の症状がより重いだけであって右の上下肢に全く問題がないというわけではない

って言うことをきちんと理解してください。

まず観察してみてください

いままでの人生60年とか70年とか右と左が正常に動いてあたり前の生活を営んでいたのが、ある日突然脳卒中によって、片側の動きが悪くなる。

そのような片側の動きが悪い状態で生活をしたことがないので、本来動きが良いほうの反対側の上下肢もうまく使いこなせないのです。片側が動かない状態で生活したことがないのです。

あなたが担当している患者さんの、麻痺側ばかりを観察するのではなく、非麻痺側の上下肢の動きも観察してみてください。

  • 非麻痺側の上下肢に力が入りすぎている
  • 非麻痺側なのにスムースに動かない
  • 介助すると、非麻痺側にものすごく力が入っている

というような障害像を示す患者さんが実習に行くとたくさんおられます。

そんな患者さんに対して

  • もっとリラックスしてくださいよ
  • もっと力を抜いてくださいね

って言うようなアドバイスや声掛けをしても無駄です。

力を抜いたり、リラックスしたりすることができるのであれば、とっくにそのようにしますよ。そういったことができないから、そのような状態になっているのです。

だから、そんな障害像を示している患者さんに「力を抜いてくださいね」って言ってもできません。そのあたりが骨折のような整形疾患と異なるのです。

環境を整えてあげることが重要

脳卒中の患者さんが、非麻痺側の上下肢をスムースに動かすことができるようになるには、動かしやすくなるような環境を整えてあげることが重要になります。

この場合の環境というのは

  • ベッドや車いすのポジショニング

というようなものだけではなく

  • 介助方法
  • 視覚的な環境

というその人を取り巻くいろんな環境が影響を与えるのです。

  • 声掛けのタイミング
  • 左側から近づくのか、右側から近づくのか
  • 廊下の真ん中にいるのか、壁際なのか

というようなことも場合によっては患者さんの動きに影響を与える可能性があります。

マンツーマンの理学療法、作業療法、言語聴覚療法で脳血管疾患患者さんの動作を改善する取り組みを行いますが、それには時間がかかります。でも、困っている患者さんが目の前にいるわけですよね。

だから、残存能力を発揮しやすい環境作りをまず行う事がリハビリテーションの第一歩となるのです。

脳卒中という病気のこと まとめ

  • 脳卒中という同じ病名であっても その症状は一人ひとり異なる
  • 片麻痺って言っても片側だけが悪いのではない
  • 片麻痺という障害名にとらわれることなく、全身をケアする必要がある
  • 環境の変化が患者さんに与える影響は非常に大きい

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