老健のリハビリの特徴と役割

回復期リハビリテーション病院退院後の転院先の選択肢として取り上げられることが多い介護老人保健施設。介護保険が始まる前から老人保健施設っていうのはありましたが、介護保険の登場と同時に施設数が増えましたし、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の就職者数も増えているようです。だけど、この領域で働いている多くのセラピストはいっぱい悩みながら仕事をしているようですね。自分が老健で働いていた時のことを振り返りながら、老人保健施設でのリハビリテーションの特徴とか役割とかについて書いてみた。


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老健は地域のリハビリテーションの拠点施設

介護保険で運営されている介護老人保健施設の大きな特徴の一つは、地域でのリハビリテーションのサービス拠点になれるってことだ。

  • 入所
  • 短期入所
  • 通所リハビリ(デイケア)
  • 訪問リハビリテーション

これだけのサービスを一つの施設で提供できる。これは回復期リハビリテーション病院や訪問看護ステーションにはない大きな特徴だ。

「入所」「通所リハビリ(デイケア)」「訪問リハビリテーション」では直接理学療法士や作業療法士、言語聴覚士がリハビリテーションを提供するし、在籍しているスタッフが多ければ短期入所においてもリハビリテーションサービスを提供している事業所もある。

しかも、大規模な回復期リハビリテーション病院とは異なり、介護老人保健施設は入所が100人くらい、通所が30人くらいの定員で運営されている施設が多い。これくらいの規模だと、自分が担当していない利用者さんの顔と名前を覚えることができる。利用者さんの立場から考えると、入所してても、通所に行っても、訪問リハビリでも知っているスタッフに担当してもらうことができる可能性が非常に高い。顔見知りのスタッフにいつでも見てもらえるってことだ。

仮に、通所と入所と訪問でスタッフを専属にしていたとしても、同じ施設内で働いているスタッフ同士の情報交換は容易だ。だから、サービス種別が異なっていても利用者さんの情報が途切れるということは考えにくい。

利用者さんの状態に応じて、トータルなリハビリテーションサービスを提供できるというのは老人保健施設の大きな特徴なんです。

こんな形態の施設は他にはあまりない。

老人保健施設 入所リハビリの役割

老人保健施設の大きな役割の一つは、在宅生活へのソフトランディングだと思う。病院で集中的なリハビリテーションを受けていた患者さんが、

退院して家に帰ってくださいね、退院後は介護保険使うことになるから、ケアマネと相談してね

みたいな感じで病院から退院させられる。もう毎日リハビリテーションを受けることは二度とない。最大毎日3時間のリハビリテーションを受けていた日常から、リハビリテーションがない生活に戻ることの不安は非常に大きい。

毎日リハビリしなくなったら悪くなるんじゃないかな?

って不安いっぱいで患者さんは退院する。だけど、一般的には急に状態が悪化することはない。一部の進行性疾患は別だけど。

だから、老人保健施設に入所してリハビリテーションを継続したいって思う患者さんは多い。

だけど、いくら多く理学療法士や作業療法士、言語聴覚士を雇用している老人保健施設であっても、回復期リハビリテーション病棟と同じ量のリハビリテーションサービスを提供することはできない。

だけど、老人保健施設に入所すればリハビリテーションを継続することはできる。毎日リハビリテーションを受けることはできない。だけど、在宅に戻ってしまったらリハビリテーションが0(ゼロ)になる可能性もある。

毎日しなくても大丈夫なんだ

毎日リハビリテーションをしなくても、状態が急激に悪化することはない。そのかわり、病院のようないわゆる『上げ膳据え膳』のようなお客さん生活ではなく、自分で自分のことを少しずつ行うような生活、「主体的な生活」に変化させていかなくてはならない。

そういった生活の習慣に変更していくことが、老人保健施設のリハビリテーションの役割の1つなんだ。最近のはやりで言えば、生活行為が向上するような取り組みをするのが老人保健施設のリハビリテーションだと思う。

自宅に戻ることを想定して、そのために必要なことを実践できる。回復期リハビリテーション病院のリハビリテーションで利用者さんが獲得した能力を、いかにして生活に汎化させるのかってところが、老健のリハビリの腕の見せ所だ。

病院よりもリハビリテーションを提供できる時間は短い、だけどその短い時間で利用者さんの生活行為を変化させることができるかどうかっていうところに老健の面白さがある。

ある意味、病院で働いているセラピストよりも、高い能力が必要になるんですよね。

生活を意識した関わりを!

回復期リハビリテーション病院よりも、更に在宅に近い位置にあるのが老人保健施設だ。

だからこそ利用者さんの自宅の様子や生活の様子は把握しやすい。必要に応じて自宅を訪問することもできる。だから、より生活を意識した関わりを老健ではしてほしい。

リアルで具体的なリハビリテーションを実践する。

退所後の生活を考えたリハビリテーションをするのが老健です。

情報の共有が肝心です

入所、通所、訪問でリハビリテーションを提供できるのが老人保健施設の魅力なんだけど、その情報が共有されてこそより効果的なリハビリテーションを提供することができます。

  • 在宅で過ごしていて、少し状態が悪化したから2か月くらい入所する
  • 短期入所と訪問リハビリで何とか状態を維持する
  • 退所後に訪問リハビリを利用する

このようないろいろなパターンで老人保健施設というところを利用することができる。だからこそ、利用者さんのリハビリテーション情報は共有してほしい。在宅生活を継続させるために必要なリハビリテーションがブツ切り、ばら売り状態で提供されていては効率が悪い。病院よりも規模が小さいということはメリットです。

職員間同士の情報交換が行いやすいのです。ここで情報共有できないと老健の多彩なサービスのメリットを活かすことができない。しっかりと情報を共有できる体制を整えてほしいのです。

あまり知られていることではないのかもしれませんが、医療保険でのリハビリテーションの診療報酬や介護保険での訪問看護からのリハビリテーションの報酬が改定のたびに下がっているなか、老人保健施設でのリハビリテーションの加算は少しずつ増えています。加算の点数そのものは医療保険に比べれば低く設定されていますが、少しずつアップしているという点はそれだけ老健が期待されてるという事なのです。


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