立ち上がりの介助のこと

起き上がりのことを書いたので、ベッドや椅子からの立ち上がり介助のことについても書いてみたい。移乗動作などの基本となるのが「立ち上がり動作」です。だけど、立ち上がることが必ずしも移乗動作につながるわけではない。一人で自力で移乗するには立ち上がりが重要な動作となるが、介助して移乗するなら必ずしも立ち上がる必要はないからです。そのあたりの違いなどについても書いてみたい。


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「立ち上がり」と「移乗」の介助はちょっと違う

ここで言う「立ち上がり」の介助は、椅子やベッドに座っている座位姿勢の状態から立位姿勢となるように介助することを指すこととして書いています。

また、「移乗動作」とはベッドから車いすに移ったり、椅子から車いすに移る動作を指すこととして書いています。

その違いをふまえたうえでお読みいただければ幸いです。

「立ち上がり」と「移乗」動作の介助が異なるというのは、「移乗動作」や「移乗の介助」では必ずしもしっかりとした立位姿勢をとる必要がないのです。たとえばベッド上端坐位の状態から、車いすへの「移乗」を例に考えてみましょう。

対象者が自力で立つこともできない重度の片麻痺患者さんの場合、移乗動作は全介助で行う事となります。この時、利用している車いすのサイドの部分、スカートガードや肘置きの部分が跳ね上げるタイプの車いすであれば、介助して移乗することが行いやすくなります。

肘置きの部分を跳ね上げておくと、お尻の位置を高く持ち上げることなく少し持ち上げた状態でスライドさせるようにして移乗介助することがあります。スライディングシートとスライディングボードなどを併用すればほとんど持ち上げることなく移乗介助することもできます。

「移乗」動作は他の場所に移ることが目的であるので、安全に介助できるのであればなるべく介助者の労力は少ないほうが良いので、しっかりとした立位をとって方向転換して向きを変えて車いすに移るという手段をとらない場合もあります。

もちろん、一旦しっかりとした立位姿勢をとらないと移乗ができないという場合もありますが、全ての移乗動作において必ずしもしっかりとした立位をとる必要はないと考えます。

その点で、「立ち上がり」の介助と「移乗動作」の介助では異なるという表現をしています。

立ち上がりの介助

前述しましたが、座位姿勢からしっかりとした立位姿勢を介助することについてここでは書きます。

移乗のために立ち上がることもあれば、ズボンの着脱介助の過程として立ち上がることもあります。また立位バランスのリハビリテーションとして立ち上がり介助をする事もあるでしょう。立ち上がりの介助のポイントは次の通り

  • 足部を引く
  • 腰から頭までをしっかりと前方に倒す
  • 膝とお尻をしっかりと押さえる

足部をしっかりとひく、体を前に倒す

立ち上がるという動作をよく考えてみてください。当たり前のことですが、立位姿勢というのは足の真上に体が伸びている状態です。ここで言う「足の部分」というのはくるぶしから下の部分のことです。

しかしながら、座っている姿勢というのはくるぶしの真上にあるのは下腿のみですよね。膝から上の部分、大腿部とか腰から上の部分は足部の位置よりも後ろの方にあるわけです。

立ち上がるというのは、この足部よりも後ろにある部分を前の方に持ってきて足部の上に位置を変える作業なんです。

だから、座っているときに足部の位置が前にあればあるほど、体との距離が遠くなるので立ち上がりにくくなります。だから、足の位置をしっかりと手前に引くことで、立ち上がった時にすぐに体が足の上にきやすいようにしておく必要があります。

同時に体を前方に倒すことで、足の上に体がくるようにします。

患者さんが座っているときにこれだけのことをしておけば、立ち上がりの介助はずいぶん楽になります。

足を引いて体を前に倒す

膝とお尻をしっかりと押さえる

立つってことは、下肢で体をしっかりと支えることです。

下肢がぐにゃぐにゃではしっかりと立つことはできません。その為には、膝をしっかりと伸ばして、股関節もしっかりと伸ばしておく必要があります。

だから、介助者が膝とお尻をしっかりと固定する必要があります。膝とお尻をしっかりと固定さえしておけば、足が突っ張ったような状態になるのでグニャグニャと崩れてしまうことはありません。

介助者の身長とかリーチの長さ、患者さんの体重や身長によってどのように介助するのかっていうのは微妙に異なります。

膝とお尻をしっかりと固定さえできればどのような方法でも構わないと思います。一般的には介助者のすねとか膝の部分で患者さんの膝を固定します。そして介助者の手を使ってお尻と背中を固定します。

体を起こす

介助して患者さんの足をしっかりと伸ばすことができれば、あとは体をどのようにさえるのかということになります。これも身長や体格によって変わるのですが、全介助の患者さんであれば、介助者の肩をあてるようにしたり、胸を合わせるようにしたり、背中やお尻にまわしている手で体を挟み込むようにして起こすなど、相手の能力や体のサイズに合わせて工夫する必要があります。

常に同じパターンで介助するのではなく、相手の状態や体の大きさに合わせて最適な方法で介助するのが介助が上達するコツです。

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2018年同時改定や2025年問題、地域包括ケアシステム、子どものリハビリテーション、そんなテーマでさらに価値あるコラムを書いています。

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