「片側ばかり向く」赤ちゃんの相談・支援

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定期的に保健所の保健師さんと一緒に、在宅の重度障害児の訪問指導などを行っています。で、たまーに発育の遅れとかは指摘されていないけど、母親が不安で保健所に連絡してくるようなケースの訪問も行います。「片側ばかり向いていてちょっと心配」っていうケースに遭遇したので書いてみます。

※このコラムは作業療法士としての私個人の見解であります。このコラムをお読みの方の育児に責任を果たすことは出来ません。発達の遅れが心配な場合は最寄りの保健所・保健センター、小児科医にご相談ください

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片側ばかり向くっていう相談

母親から寄せられた相談内容はこんな感じでした。

  • 右側ばかり向いている。抱いていても布団の上で寝ていても右を向く
  • 抱いていないと、寝てくれない。布団に移すと起きてしまう。
  • 向く方向が一定なので、授乳しにくい

小児科とかで何か指摘されたわけではありませんし、出産時にも問題はないとのこと。ときどき相談を受けます、「右側ばかり向く」とか『左側ばかり向く』という赤ちゃん。

この子が第1子で、育児が大変でしかも片側しか向かないからものすごく不安になって地元の保健所の保健師さんに相談したってケースです。第1子なので、他の子供さんと自分の子供を比較する機会が非常に少ない時代なので、子供が泣いてばかりいたり、育児書と少しでも違ったりすると不安になるお母さんは非常に多い。

だから、特になんらかの疾患を持っていなくても育児に関して不安になって保健師に相談するってパターンは時々遭遇します。

保健師さんや保健所に相談してくれるってことはよい事だと思います。

一人で悩んで虐待してしまったり、育児のことでノイローゼになってしまうことを未然に防ぐことができる可能性があるからですね。周囲とのつながりが薄く、子育てを見たことがない母が多く、祖父母も遠方にいたりするとなかなか育児のことを相談できる機会はないので、保健所がその役割を果たせるならそれもありかと思っています。

訪問して評価したこと

このようなケースを評価するときにいつも考えるのは

なんらかの疾患に基づくような異常な筋緊張が原因で、一定方向しか向かないのではないか?

ってことです。出生時には何の指摘もされなかったが、段々発育の遅れがみられてきて生後1年くらいたってようやくなんらかの疾患を指摘されるってこともあるから、そのあたりのことを考えながら評価します。

だから、この子供さんの場合でも単に頸部周囲の筋緊張だけではなく、

  • 上下肢の筋緊張や随意的な運動の状態
  • 背臥位や腹臥位での運動の状態
  • 追視ができるかなどの視覚の状態

等を合わせて評価するようにしています。

で、この子供さんの評価はどうだったのかというと、確かに右側ばかり向いています。

腹臥位(うつ伏せ)にすると、顔は下を向いた状態で肘で体を支えています。

背臥位(あおむけ)にすると、顔は上を向いたり、右を向いたりするけど左には向かない。

手足はしっかりと動いているし、筋緊張が強いってこともありませんでした。

だけど右ばっかり向いてしまう

右側を向きやすいってこと以外は、ホントに問題がなさそうでした。生後4か月の動きをしています。

この次に考えたのは、視覚的に何か問題があるのかどうかってことですね。
そこで何をしたのかというと

仰向けでも右を向くことが多いので、右側をバスタオルで覆ってしまって視覚情報を遮断するとどんな反応をするのか

仰臥位の状態で寝かせると右側を向いています。だから、向いている方向にバスタオルを壁のようにして何も見えないようにしてみました。

すると

仰向けの姿勢で右を向いていた顔が、スーッと左側を向いたんです

それはもう劇的でした。スーッと滑らかにゆっくり左側へと自発的に頭部を動かしてくれました。お母さんもびっくりしていました。

自発的に左を向くこともできるし、筋緊張でそういった運動が阻害されているってこともありませんでした。

なぜ、同じ方向ばかり向くのか?

その後、抱いている姿勢で同じようにバスタオルで一方を隠したりしてもやはり反対側に顔を向けることを確認しました。

結論としては、

右側を向きやすいけど、左側に顔を向けることもできる

ってことです。異常性はほぼないと判断しました。

じゃあなぜ、右側ばかり向くのかってことです。いろいろ家の生活状態を確認しました。

ここから先は生活状況に基づく推測で、必ずそうだって訳ではありませんが、この子供さんの場合右を向くことが多い可能性として考えられたのは次のような原因。

  • 生活の中で右を向かざるを得ない状況が多いってこと

お父さんもお母さんも、抱っこの時は横抱きするときには、大人の側から見て左手の方に頭がくるように抱っこします。

授乳のときもこのパターン。抱かれている子供さんは右を向くとお父さんやお母さんの顔を見ることができます。授乳も右を向きます。

ベッドの向きも、左側は壁で右側からお母さんが接するような配置になっています。

普段の生活が、右向きになりやすい生活状況だったのではないかと考えました。

右ばかり向くというよりは、右を向いているほうが赤ちゃんにとって都合が良い生活なんです。生後4ヶ月なので、自発的にどんどん動くというよりは、周囲の環境に合わせて動いている段階なので、右に向きやすくなったのではないかと考えお母さんにそのことを伝えました。

寝かせるときに位置を変えてみたり、抱っこの時も右から抱いたり左から抱いたりしてみてねってことを話しました。

その後、保健師さんからはこのケースについて連絡はないからうまくいっていると思います。すべてのケースに当てはまるわけではないけれども、生活環境が赤ちゃんの発達に与える影響は大きいんだなって感じたケースでした。

もっと成長すれば、自発的に右を向いたり左を向いたりできるのでしょうが、運動機能が不十分なこの時期の赤ちゃんにとっては環境が影響しているんだなってことを学べたケースでした。

※このブログでは私が作業療法士として経験したことを書いていますが、一般の方からの相談などは対応しておりません。万が一コメント等をいただきましてもお返事はできませんことをご了承ください。

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