ADLの評価 トイレ動作のこと(学生向け)

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリ学生さん向けのADL評価のポイントの3回目は「トイレ動作」を取り上げてみました。おしっこなら日に7回くらい、うんちなら1~2回くらいは行くよね。だったら、これがしっかりできるようにならないと自宅に帰れないってことも多い。「トイレが一人でできたら連れて帰れるのに」って家族さんから聞くことも多いんですよね。しっかり評価できる視点を身につけてください。


スポンサー広告

トイレ動作の観察・評価すべきポイント

  1. 尿意や便意をしっかりと理解できる
  2. 移乗動作や立位動作のバランス
  3. ズボンを上下させるバランスと上肢の動き

大きく分けるとこの3つの過程に分けて評価するほうがわかりやすい。

歩けなくて車いすを利用している患者さんでも、移動を伴わない立位バランスさえ安定していればトイレ動作は自立している方も多くいます。だから、立位でのバランスをしっかりと評価することは、トイレ動作の評価には大変重要です。

とくに、立位で、ズボンの着脱が自立するということはトイレ動作の自立へと繋がりますので、更衣動作の関わりは重要です。

尿意や便意をしっかりと理解できる

排泄が自立するにはいくつかの要素が必要になってきます。

  • 尿意や便意を感じる
  • 我慢することができる
  • 全量を排出することができる

等々の要素が必要になってきます。これらに加えて社会的な要素である

  • 適切な場所で排泄できる

が加わってきます。排泄行為がしっかりと行えていてもトイレ以外の場所で排泄行為を行う事は社会的に見て適切とは言えないからです。

尿意や便意を感じることができても、トイレに行ってズボンを下ろすまで我慢することができない。尿意を感じると同時に排尿してしまう。このようなケースの場合には、立位バランスが安定していてズボンの着脱が一人で行える患者さんであっても「間に合わない」事が多くなりますので、運動機能的な動作が自立していても排泄動作の自立につながりません。

泌尿器科の医師との連携や紙おむつやパッドを効果的に利用する必要があります。

移乗動作や立位バランス

ズボンの着脱は多くの場合、立位で行う事の方が多いです。そのため、トイレ動作では車いすを利用している方であっても立位バランスの評価をきちんと行う必要があります。

  • しっかりと立位保持ができる
  • (移乗を伴うなら)方向転換ができる
  • 膝を曲げて少し前かがみになってもバランスを保てる

移乗動作とズボンや下着の上げ下げを考えると、これくらいのバランスの評価は必要になってきます。

手すりを持っていると立位は保持できる

というような患者さんの場合、ズボンや下着の上下が難しくなってきますよね。

でも、手すりを使ってでも立位を保持できる場合は介助量は少なくなります。手すりを使っても立位保持できない場合は、立位の介助をしつつズボンや下着の上下をしなければならなくなり、介助量はかなり大きくなります。

トイレ横に設置されている縦手すりに、体をうまくもたれさせながらバランスをとってズボンの上下をさせる患者さんもいます。一人でバランスを保つことはできないけれど手すりにもたれかかることで、健側手をズボンの上下に使うことができるようになります。

「立つ」だけではなく「ズボンや下着の上下」に必要な動作のバランスもきちんと評価しましょう。

ズボンを上下させるバランスと上肢の動き

片麻痺患者さんの場合、バランスをとることに一所懸命で健側上肢の動きが過緊張になりすぎてしまい、ズボンの上下ができなくなってしまう方もけっこういます。

立位が不安定な患者さんの場合、麻痺側ではなく健側側の上肢の動作が拙劣になってしまうこともあります。そのあたりの評価をきちんと行いましょう。

 トイレ動作へのかかわり方へのヒント

  • 尿意や便意を感じてから排泄まで我慢できない
  • 回数が非常に多い

このような課題はリハビリテーションだけで解決できるものではないので、医師と相談する必要があります。

ここでもおもに動作面へのかかわり方について考えてみます。

立位のバランスの改善

トイレ動作は「移乗動作」と「ズボンの上下」という更衣動作の組み合わせを伴うADL活動です。立位でのバランス機能が低下しているような方の場合、

  • 方向転換を伴った以上が難しい
  • 何とか立位は保持できるが、方向転換は難しい
  • 移乗動作はできるが、ズボンの上下が難しい

色々な段階があります。たんにトイレ動作の実行ができないといっても、その患者さんの抱えている課題によっては取り組み方は変わってきます。

介助量の軽減を図るには、少なくとも立位を保持できることが必要になってきます。

介助者が、立位介助しながらズボンの上下を行う事というのは非常に介助する側の労力は大きくなります。ですので、まず立位をしっかりと保持できることへの取り組むを行う事が重要になってきます。

トイレ動作の改善は他のADLの改善に関与する

何度も書いていますが、トイレ動作というのは更衣動作や移乗動作の組み合わせとなります。トイレ動作の遂行が可能になるということは、更衣動作や移乗動作の改善につながります。

逆に言えば、移乗動作や更衣動作の能力が改善するということは、トイレ動作の改善につながることになります。

立位を保持できるようになるということは、たんに立位を保持できるという事だけではないのです。

新しい学びの形を届けます
やまだリハビリテーション研究所noteサイト

2018年同時改定や2025年問題、地域包括ケアシステム、子どものリハビリテーション、そんなテーマでさらに価値あるコラムを書いています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です