訪問リハビリの特徴と役割

病院、老健それぞれのリハビリの特徴と役割に続く第3弾として、「訪問リハビリの特徴と役割」について書いてみた。当然ながら理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が個別的に関わるという点では病院であっても老健であっても訪問であっても違いはない。しかし、本来地域で実践される訪問リハビリテーションはいわゆる施設で提供されているリハビリテーションとはになっている役割が違っていると考えています。じゃあ何が違うのかってことを書いてみた。


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セラピストの専門性のこと

理学療法士が理学療法を行う、作業療法士は作業療法を行い、言語聴覚士は言語療法を提供する。それは病院でも老健でも訪問でも同じである。ダブルライセンスを持っているセラピストでない限り、普通はそれぞれのライセンスの仕事を行う。

若手のセラピストや訪問経験の浅いセラピストの悩みで多いのが

  • 作業療法士だけど歩行練習を依頼される
  • 理学療法士なのに、食事動作の指導を依頼される
  • 言語聴覚士なのに、更衣動作が気になる

本来なら自分のメインの領域ではない業務へのかかわり方について悩んでいるということがよくある。

作業療法士でも必要なら歩行を目標にした関わりは行うし、理学療法士であっても食事動作の改善を目標にした関わりを行う事はある。それぞれの専門職種がそれぞれの専門性を発揮して、目標に向けてアプローチするという点では変わらないのである。

たぶん誤解しているのは

歩行練習をするのは理学療法士、食事動作を指導するのは言語聴覚士、更衣動作は作業療法士

みたいな感じで病院業務のような分業のことをイメージしていてとまとっているのではないでしょうか?だから自分の本来業務でない領域に手を出していいのか?って悩んじゃったりしている方が多いのではないでしょうか?

それはちょっと違う

歩行能力の改善を目標にしてアプローチするのは理学療法士だけではない。歩行状態の改善に対しては作業療法士も作業療法を行って改善することはできる。更衣動作だって、理学療法士が理学療法を行って上手に更衣動作が改善することだってある。

目標や目的と、それに到達するまでの手段とをごちゃまぜにするからややこしくなるのと違うかな。作業療法というのはアプローチの手段である。私は作業療法士なので作業療法というアプローチを用いて対象者さんの状態を改善する。

必要なら、起居動作の改善や歩行の改善を目標にする事だってある。あくまでも作業療法士として関わる。それが専門性ってもんではないでしょうか?

もちろん、理学療法士には理学療法士にとって特異な領域があり、作業療法士や言語聴覚士にとってそれぞれ得意な領域というものはある。

まったく手を出せない領域もあれば、それぞれの職種が手を出すことのできる領域もある。その職種でも手を出してよい領域ならだれがやってもよいのだと思う。

訪問リハビリの特徴

病院や老健のリハビリテーションと異なる点として

  • リハビリを実施するときに周囲に同僚はいない
  • 毎日関わることがない、だいたい週1回
  • 主治医は他事業所である事が多い
  • 関わっているリハビリ職が自分だけのことがある

こういったところが施設でのリハビリテーションとの違いだろうか。病院や老健などから訪問領域に転向してきたときに感じる戸惑いはこういった点が要因になったりする。

自分一人で訪問していて、実践しているリハビリの内容はこれでいいのか?

って悩んだりすることは多い。仕方がないよね、訪問は一人で行くんだから。ここを乗り越えられないなら訪問リハビリには向いてないよ。

じゃあ、病院や老健のリハビリテーションと異なる訪問リハビリテーションの特徴とか役割って何か!

  • 1回あたり最大1時間のマンツーマンリハビリを実施できる
  • 自宅の状況に応じたリアルなADL指導ができる
  • 家族との密なかかわりができる

こんなところかな。

1時間のマンツーマン

介護保険で利用することのできるリハビリテーションでは最大の長さだと思う。医療保険でも入院をのぞけば最長でしょう。

病院でマンツーマンのリハビリテーションを受けて退院した患者さんにとっては1時間の長さっていうのが基準になっていう方が多い。しかし介護保険では毎日1時間のリハビリテーションを提供することはできない。

だけど、1時間のリハビリテーションが必ずしも効果的とは限らない。40分でも十分な人もいれば、通所リハビリで十分な利用者さんもいる。

その人にとって1時間が必要なのかどうか十分に吟味したい。

リアルなADL指導

これが訪問リハビリテーションの最大の特徴じゃあないのかな。今どきの表現すれば、いかにして生活行為を向上させることができるのかってことだね。まさに生活している場で、利用者さんの能力をいかに発揮させることができるかっていうのが訪問リハビリテーションの役割でしょう。

玄関の出入り、入浴動作なんていうのは病院ではシミュレーションしかできない。高価なシミュレーション機器を導入していてもそれはあくまでもシミュレーションなんですよね。

でも訪問リハビリの現場は生活の場なんです。そこで実践してみて出来ない動作はできない動作。目の前でやってもらってできる動作ならできる動作なんですよ。

シミュレーションだと病院でできていた動作も自宅に戻ればできなかったってこともあるけど、現場はその時の動作がすべてだ。

だからより具体的なリハビリテーションを提供することができる。

ここで成果を出すことができないんだったら訪問リハビリテーションに関わっている意義はないんでしょう。それくらい大事なことだと思う。

家族とのかかわり

家族さんへの指導がリアルにできるっていうことも利点だ。

それに加えて、家族を含めた生活状況を把握できるってことも大事かな。本人さんの能力だけでなく、家族の介助量や介助方法や、生活スケジュールなんかも考慮して関わることができる。

本人だけ見るなら病院でも通所でもできる。でも生活状況を含めて家族もトータルに見ながら関わることができるのは訪問リハビリテーションの醍醐味ですね。

若手のセラピストが苦手というか、関われていないのはこの部分じゃあないのかな。

利用者さん本人だけ見てたらダメなんですよ。老老介護だといつの間にか介護者の方が骨折していたり、腰痛になったり、認知症の初期症状が出てたりすることもあります。それを初期の段階で、もしくは腰痛を未然に防いだりすることも訪問リハビリテーションに関わっている理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の役割でしょう。

家族もひっくるめて関わっていくのが地域リハビリテーションなんですよ。

住宅、家族、本人、地域の環境、本人の生活、周りの生活そんなことを考えながら関わっていますか?

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やまだリハビリテーション研究所noteサイト

2018年同時改定や2025年問題、地域包括ケアシステム、子どものリハビリテーション、そんなテーマでさらに価値あるコラムを書いています。

2 件のコメント

  • はじめまして、コラムを読ませていただいた
    OTニシマサともうします。
    専門性の話しを読ませて頂きました。
    当院でもOT間で専門性の話しになりました。
    質問させて頂きたいのですが、作業療法と言う
    アプローチをもちいて歩行を改善とありますが、
    山田さんは具体例としてはどのようにお考えですか?

    • ニシマサ さんへ

      ニシマサさんのイメージしている歩行の改善って、「セラピストがハンドリングしながら歩行練習している場面」なんかを考えていませんか?

      作業療法ではアクティビティーを用いて治療を行いますよね。その設定で座位で取り組むこともあれば、立位場面で治療することもありますよね。

      たとえば洗濯物干しっていうのは立位でする事もありますよね。そうすると、選択とか洗面とかの課題で立位のバランスが改善することがありませんか?立位が安定すれば歩行能力も改善する方っていますよね。

      何かを運ぶって課題もそうではないですか?片手でも両手でも物を運ぶためにバランスを調整しながら活動する。そうすることで歩行や立位でのバランスを改善することができませんか?

      大阪では、けん玉使ってバランス改善に取り組んでいる作業療法士もいます。

      ニシマサさんの考えている作業療法というものと、歩行の改善に対してのイメージってどんなですか?

      想定する患者像によって必ずしも歩行にアプローチすることが難しい患者さんもいますが、作業療法で歩行が改善する方もいますよ。

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