スプーン・鉛筆・お箸の「握り」「持ち方」のリハビリの基本的考え方

スプーンの握りのリハビリのことや、鉛筆やお箸の握リのリハビリテーションのことを書くにあたって僕のリハビリテーションの基本的なスタンスについてちょっと書いておきたい。

※このコラムは僕の作業療法士としての個人的見解です。この通りのやる必要はないし、このやり方に対して責任もは持てません。考え方の1つだということをご理解ください。


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良い握り方、悪い握り方

指先のつまみ動作、スプーンとかフォーク、クレヨンや鉛筆などの握りのリハビリテーションのことを家族と考えたり、多職種と考えたりするときに必ず出てくるキーワードが

「良い握り方」 「悪い握り方」

ってこと。

悪い握り方をしている、もしくは年齢や運動の発達段階にあわない未熟な握り方をしている、だから良い握り方にしないといけないっていうような感じに使っているキーワードです。

どんな握り方が良くて、どんな握りが悪いのかってことはその子供の発育状況や運動の能力、上肢の使いこなし方などなど様々な状況があるので、一概には言えません。

回外握り

手指回内握り

この二つの握りを比べて、

「回外握り」の方が悪くて、「手指回内握り」の方が発達的に良い握りだというようなことを言うことが多いのですが、必ずしもそうではないのです。

回外握りであっても、使いこなせているならそのままで良いと判断することもあります。

手指回内握りでスプーンを使いこなして、文字も上手にかけているならあえてそのまま放置して3指握りの練習を積極的にしないことも場合によってはありえるのです。

多様性、合理性と発達のこと

正常な子供の場合、握り方は変化します。
http://labo-yamada.com/?p=5618

上記のコラムに書いているような順番に発達するのがオーソドックスですが、順番通りに発達するのが必ずしも正常というわけではありません。

また、発達についての考え方もいろんな考え方があります。

多様性のこと

スプーンやフォーク等の握り方には多様性があります。

回外握り、手掌回内握り、手指回内握り、三指握りという風に4種類だけではありません。いろんな握り方があります。

成長して3指握りができるようになったからと言って他の握り方をしなくなるわけではありません。

大人だと上手に箸が使えるようになって、鉛筆で字を上手に書けるようになる。だけど、冷凍庫でカチカチに固まったカップ入りアイスクリームを食べるときには、3指握りでは上手アイスをすくえない。そんな時に大人でも回外握りでスプーンをがっしりと把持してアイスを食べようとするはずです。

いつでも3指握りを使うだけではなくて、必要に応じて握りを使い分けることができる多様性が大事なんです。

何が何でも3指握りが大事なわけではないのです。それが多様性ってことだと考えています。

合理性のこと

握りが発達していくのは、大人が教えるわけでもなく、子供が教本を見て覚えるわけでもありません。

その時の肘や手首や指の運動機能に合わせて「使いやすい」「持ちやすい」握り方を自然と選択するのです。

だから、指や手首などの運動能力が成長とともに向上すれば、「持ちやすい」握り方も変わってくるのです。合理的な理由で自然と握り方は変化していきます。必ずしもある日突然変化するようなものではなく、ちょっとずつ自分の体を使いこなせるようになりながら、自然と変化していきます。

一時的に退行することもある。急に今日上手になったかと思えば、翌日にはまた下手な使い方に戻っていることもあります。

極端に考えると、回外握りで上手に鉛筆も使えて字も書けるようになってしまえば、3指握りに成長する可能性は低いと思います。

一般的には回外握りでは巧緻性が低いので、成長に伴い他の握りをしないと上手に指先を使えなくなるので握りの形は変化していきます。その方が効率的で合理的だからです。
回外握りでいろんなことを出来るようになってしまうと、それ以上「上手」になる必要はないですよね。

回外握りでいろんなことができるようになるようなケースには出会ったことはありませんが、使いこなせるようになっているケースに出会えば、リハビリの必要性はないと判断することもあると思います。

その使い方が合理的だからです。

リハビリの必要性の判断

どんな握り方であっても、使いこなせて上手に課題を遂行できるならそれでいいと思っています。

だけど、成長過程にあって他の握り方を練習したほうが箸やスプーンを上手に使いこなせる可能性があるなら、リハビリテーションに取り組みます。

回外握りは悪い握り方だから、強制的に3指握りを練習させる

というような単純な判断でリハビリテーションを行うことはありません。

どんな握り方であっても、上手に道具を使いこなせるならそれでいい。リハビリテーションでその能力を向上させることができるなら積極的に取り組みますが、現時点の握りが合理的で使いこなせているなら、現状のまま積極的に関与しないこともあります。

そのあたりの判断を行いながらリハビリテーションの必要性について考えています。

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2018年同時改定や2025年問題、地域包括ケアシステム、子どものリハビリテーション、そんなテーマでさらに価値あるコラムを書いています。

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