つまみ動作とか握りのリハビリテーションをする上で、どんなところを見てアプローチを考えていくほうが良いのかってことを書いてみます。3指握りを目指して、スプーンとか鉛筆の練習を工夫したりする時にどんなポイントをまず見ていくのかってことを僕はこんな風に考えています。
シリーズで書いていますので他の記事はこちらからどうぞ
⇒https://labo-yamada.com/?cat=97
動画でもスプーンの握りについてお伝えしています。
子どものリハビリテーションに関わっている作業療法士の視点です
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運動している部分のこと
色鉛筆とかクレヨン使っての描画活動だと、
- 塗り方
- 枠からはみ出し
- 丁寧さ
みたいなことを評価して、塗り絵のサイズとか柄とかを工夫することって児童発達支援・放課後等デイサービスでは多いと思います。
だけど、いくら課題を工夫しても、手指や上肢の動きというか運動を評価しないことには、どんなレベルの課題を提供してよいのかってことは判断できない。
運動機能に問題がなければ課題を工夫すればいいと思うんだけど、運動機能に発達的な問題があるなら課題だけを工夫しても上手にならないことが多い。
少し前の記事で発達の「多様性」とか「合理性」のことを書きました。
そのことにも関連するんだけど、「回外握り」では一般的には上手に描画活動とかスプーンの操作をすることはできません。
だってこの握り方だと、クレヨンやスプーンを操作するときに指先の動きを使うことはできないから。
ぎゅっと手のひらの部分を使って握りこんでしまうのがこの握りをする時期の特徴です。この握り方をしてしまうと、指先を動かすことはできないので肘とか肩の動きをつかってクレヨンとかの操作をすることになります。
だから上肢全体の動きが大きな動作となりやすいんですよね。かなり上手にこの握りでクレヨンとかの操作を出来る子供さんでも手首(手関節)中心の操作しかできません。
実際にやってもらえばわかりますが、この握りでは塗り絵をしてもスプーンを操作してみても細やかな操作をすることは大人でもかなり難しい。塗り絵とかトライしてみるとすぐにわかります。指先使えない握り方なんですよ。
指先は動いてる?
鉛筆やクレヨンやスプーンやフォークなどの道具を操作するときに、どの部分まで手を使って操作していますか?
たとえば、大人が鉛筆で字を書くときには手を机の上にのせて、3指握りで鉛筆を持って、指先を動かして字を書きますよね。手首や肘を大きく動かして書いたりしませんよね。
筆で大きな字をお習字の時間に書いたりするときには3指握りはするけど、腕全体を持ち上げて肘とか肩の動きで筆を動かして字を書きますよね。お習字する時のような動作で鉛筆を持って細かな字を書くことって難しいですよね。
道具を操作するときに、
- 指先が動いてますか?
- 手首(手関節)が動いていますか?
- 肘とか前腕が動いていますか?
- 上肢全体で動いていますか?
「握り」や「つまみ」や「持ち方」だけを変えてみても上手に描画活動やスプーンの操作が上手にならないケースの多くは、指先とか手首の運動が上手に行えていないことが多いのです。
だから、回外握りをしている時期の子供に無理やり3指握りをさせてみても上手にスプーンとかを操作することはできません。指先を上手に動かすことができないからです。
だから、
「持ち方」だけじゃあなくて「どんな動かし方」をしているのか!
握りの「形」と「動作」
回外握りの時期は指先ではなく、肩とか肘を動かすことが中心の時期です。
手指回内握りの時期は、前腕とか手首(手関節)で道具を操作するようになってきています。
指先が上手に使えるようになってくると徐々に手指回内握りから3指握りへと変化するのです。
この握り方は指先が使えるようになってくるから操作しやすいのです。指先を上手に動かせない子供にとっては手指回内握りとか手掌回内握りの方がスプーンや鉛筆やクレヨンの操作は行いやすいのです。
握り方だけを練習しても道具の操作が上手にならないケースというのは、このあたりの練習をしていないことが多いのです。
運動の発達が順調であれば無理に持ち方や握り方を変更しなくても自然と変化してきます。
発達の遅れや異常がある場合は、握り方だけを強制的に変えるのではなくて、手首(手関節)や指先の動きの練習を同時進行で行わないと、道具の操作は上手になっていかないことが多いのです。
だから、握りの形だけを見て判断するのではなくて、手や上肢や指先の動きを見てリハビリテーションを進める必要があるのです。
スプーンや鉛筆の握り方が上手ではない場合、握り方を強制的に変えるよりは指や手を動かす練習をする方が効果的な子供さんも多くいます。
スプーンやフォークなどの持ち方についてのコラムはこちらにもあります
⇒スプーンやフォークの持ち方のこと
動画でもスプーンの握りについてお伝えしています。
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[…] リハビリを中心としたアプローチ方法はこちらの記事を参考にしました。 […]