臨床実習は学年の違いで指導内容は異なる

理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーションの臨床実習はその学年によって、実習の指導内容は異なります。実習の目的や到達目標が異なるからです。その事をきちんと理解して実習指導してますか?見学実習に力を入れていますか?

学年による実習内容の違い

詳細については各養成校や大学の実習指導マニュアルなどを確認してほしいのですが、おおよそ

見学実習(1年または2年)
評価実習(2年または3年)
臨床実習、長期実習(3年または4年)

3年制の専門学校や短期大学と4年制の専門学校や大学で臨床実習の履修時期はずれますが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の実習の種類はおおむね上記の3種類だと思います。
学年の違いによって実習目的や実習期間は異なります。実習期間が異なれば当然、実習における学生の到達目標や、学ぶことのできる量や内容にも差が出てきます。

まず到達目標を確認しよう

当然ですが長期の臨床実習と評価実習では、単純に実習期間が長い・短いというだけの差ではありません。

見学実習には見学実習の到達目標があり、評価実習には評価実習における到達目標があるのです。到達目標が異なれば、当然指導すべき内容も変化する必要があります。

評価実習では、評価の技量の確認や評価の選択が適切なのかどうかということが到達目標になるのではないでしょうか?

その辺りのことを、きちんと養成校に確認して指導内容を合わせていく必要があります。

実習指導者が指導すべきと考えている内容と、養成校が求めている実習、学生の学習内容の到達段階、それらをうまく勘案して実習は行われるものだと思います。養成校にはそれらのことを実習施設に伝えてほしいし、実習を受け入れる施設側でも把握する努力をすべきだと思います。

見学実習でしてほしいこと

1年生や2年生の見学実習に来る学生さんは、知識や技術もまだまだな卵の状態。これから自分のなろうとする理学療法士や作業療法士、言語聴覚士について十分理解していません。

だからこそ、それぞれの職種の魅力を伝えたり、これから養成校で学習していく知識や技術が何のために必要なのかってことをきちんと伝えてほしいんですよね。

  • 目指すべき職業人像の形成
  • 職業に対しての理解を深める
  • 今までの学習とこれからの学習が臨床とどのように結びつくのかを理解する

養成校で学ぶことのモチベーションを高める、あんな風なセラピストになってみたいと思わせる魅力ある職業人としての姿を見せる、実は見学実習が一番重要だと思いますよ。

見学実習は学生に見てもらうだけだから簡単だって思っている理学療法士や作業療法士、言語聴覚士も多いのではないでしょうか?

でも、実際には違うと思います。知識や技術のない1年生や2年生に対して、臨床で行っていることをわかりやすく説明するのは結構難しいのです。あなたが普段臨床で行っていることを、解説するのです。

おそらく見学実習に来ている学生の多くは、目の前のセラピストが実践していることの半分も理解できないでしょう。それをわかりやすく丁寧に説明することで理解してもらわなくてはなりません。

けっこう難しい。

適当に見学だけをさせるのではなく、セラピストの魅力を伝えるために力を入れてほしいです。

評価実習でしてほしい事

私が実習を引き受けたくないのがこの「評価実習」です。最終学年で行う臨床実習(6週~8週くらい)の手前に行われる実習ですね。実際に初めて学生が患者さんを担当することになる実習です。

引き受けたくない理由は実習期間が短いために、十分な指導を行えないからです。実習の内容が難しいためではありません。

この実習での課題は

  • 患者さんを担当するといことを実践する
  • 評価の知識・技術を確認する

私はこの2点がこの評価実習というものの課題であると考えています。おおくの実習指導者の方は「評価技術の確認」に重点をおいておられるのではないかと思うのですが、それよりも患者さんを担当することを実践する事のほうが重要だと私は考えています。

患者さんを担当するってこと

評価の技能などの確認よりも、学生にとって評価実習の最大のミッションは患者さんを担当することで学ぶさまざまな対応なのです。

  • 対人的なコミュニケーション能力
  • 多職種との連携
  • 一日、一週間、一ヶ月という期間でのルーチン業務の流れ
  • 本人や家族への対応

等のような「評価」として実施するいわゆる検査・測定に付随するような能力を試される初めての場がこの「評価実習」というものだと理解しています。

単純に「検査・測定」だけの実習であれば指導は大変楽です。そこだけをピンポイントに指導すればよいのですから。

そうではなくて、「評価」に付随してくることのほうがはるかに、学ぶことが多く、学生を悩ませる種にもなるのです。

常に学生の指導について回ることは、コミュニケーションを中心とした対人技能ではないでしょうか?

  • 患者さんとコミュニケーションをとる
  • 患者さんに必要なインタビューをする
  • 家族さんに話を伺う
  • 実習指導者に報告、指導を受ける
  • 他職種に情報を収集する

等々多くのコミュニケーションを学生はとらないといけないのです。このコミュニケーションに関する指導をしっかりできるのかどうかが評価実習の成功の分かれ道だと思います。

基本的には

  • 毎朝、口頭でその日の予定を報告させる
  • 他部署に行くなら、事前にその内容を確認する
  • 患者さんとのできごとを報告させる

このような事を繰り返し学生に実践させることで、学生のコミュニケーション能力を確認し、フィードバックしてあげる必要があると思います。指導者と学生との間でコミュニケーションの機会を確保することが必要だと感じています。

これがきっちりできれば、評価実習はかなりスムースに進むと思いますよ。

長期の臨床実習のこと

評価実習の期間が長くなり、患者さんとのかかわりが長くなるのが最終学年の実習ですね。

この時期の指導論についてはいろいろあるので、指導者の個性が発揮されると思います。

私が意識しているのは

長期実習の学生指導と新卒1年目の指導とを混同しない事

ときおり、学生に対して新卒1年目の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士への指導と同じことをしているという話を聴きます。学生と有資格者は違うので、おなじ指導内容は良くないと考えます。

新卒1年目と同じ達成目標を学生に要求してはいけないということです。

また、ここで書いていますが中堅の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は自分の部下のような感覚で指導している方もいるようですが、それもまた違います。学生は学生であって部下ではありません。

  • 毎日遅くまで学生を残して疲弊させない
  • 残るときと早く帰るときのメリハリをつける
  • 到達目標をしっかりと確認する
  • 定期的に養成校と連絡を取る

6週間~8週間という長丁場の指導ができるのが「長期の臨床実習」のメリットです。これまでの実習期間溶離もはるかに長いのです。そのことを考慮した指導体制を構築することが必要です。

学生であるということをしっかりと考慮してあげてください

臨床実習に関してはやまだリハビリテーション研究所において年1~2回ほど研修会を開催していますので、ご興味のある方はご参加ください。

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