リハビリテーションの評価を進めるにあたって大事なことは、「事実」と「推測」の違いをきちんと区別することです。「事実」は自分で確認できていること、もしくは自分で収集した他部署の情報など、自分で確認することができている対象者さんに関する対象者さんに関する情報・データ・評価結果などです。「推測」とは自分で確認できていない事柄です。「たぶん〇〇だろうなー」って感じのことですね。評価を進めていると、いつも間にか「たぶん〇〇だろうなー」って思っていたことがいつも間にやら確認もしていないのに「よし!〇〇に違いない!」ってなってしますことがあるんですよね。これは間違い、事実と推測を常に区別しながら評価を進めます。
カルテに記載されている情報
理学療法、作業療法、言語療法いずれの場合も、担当になったらカルテは確認しますよね。しかし、カルテを見て確認するだけでは不十分なんですよ。カルテは評価にとって重要な情報になります。
『カルテに記載されている内容と患者さんの話が食い違う』
こんな時どのような事を考え、どのような判断をしますか?
- この患者さん認知症かな?
- カルテの記載ミスかな?
- 何も感じない
- 患者さんが勘違いしているのかな?
コミュニケーションに問題のない患者さんと会話をしていて、住所とか既往歴とかについて患者さん自身がお話しされていることと、カルテ記載内容が違っている場合はそのまま放置してはいけないのです。
記憶障害や認知症の可能性もあるし、まれに記載ミスということもあります。
この場合「カルテの記載内容」も事実ですし「患者さんの会話の内容」も事実として捉えるわけですよね。
この二つの事実の違いから生じる「あれ?記載内容と違うなあ、認知症かな?」っていうのは推測なんですよね。だからこの推測が妥当なものなのか否定すべきものなのかをこれからの評価の過程の中で確認する必要が生じます。
1つの評価の過程の中から次に評価すべきことが出てくるんですよ。
介助量が多く家族さんの介護大変だろうなあ
学生さんの実習ノートによく書いてあるフレーズですね。ここには「事実」と「推測」がまじっています。
このフレーズに含まれている「介助量が多い」というのは、実際に学生さんが評価の過程で確認することができた事実なんですが、
「家族さんの介護が大変」
っていう部分は実際に家族に会って確かめたことなんでしょうか?
家族に会って、家族自身から「介助が多くて大変なんです」と情報収集できているのであれば問題ありません。
しかし、家族に会っていない場合は、家族が介助量が多くて苦労しているのかどうかということについては推測の域を出ないのです。
だから本当に家族の介護が大変なのかどうかってところは、家族に確認する必要があります。
問題点として「家族の介護負担が大きい」と記載している学生がいますが、その記載は「推測」なのか、家族に確認したうえでの「事実」なのかという差は大きいですよ。
事実であれば、患者さんや患者さんの家族が抱える問題点として、担当者として解決すべき課題となりますが、推測であれば課題とはなり得ないのです。
1つの評価から次の評価へ
評価を進めていると、「関節が固いな」「感覚が低下しているな」「指示が入りにくいな」などと感じることがあります。
たとえば「指示が入りにくいな」ということからは
- 聴力の低下
- 認知能力の低下
- 失行や失認
などのような症状があるのではないかという推測が生まれてきます。そうすると、これらのことを確認するために次の評価を実施するということになります。
実習の初期段階では、あらかじめ計画しているような評価の手順を実施してもよいのですが、評価が進むにつれてこのように「1つの評価から次の評価」を展開するようになってきます。
じっさいに臨床で働いている現役の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は学生さんほどには綿密は評価スケジュールを立てている人は少ないでしょう。患者さんの臨床像を見ながら、その状態に合わせて「事実」と「推測」を区別しながら、得られた情報をもとに評価のパターンを決定しながら進めていくことの方が多いと思います。
推測を確認する習慣を身につける
経験を重ねると、その経験に基づいた考え方が身につくようになります。
そのため「推測」から導き出す答えが正しいものになることが多くなる。
しかし、それは経験に基づく「予測」であって、100%当たるわけではないのです。
あくまでも、推測は推測でしかないので確認する作業は必ず必要になります。
推測のまま放置するのではなく、かならず新たな評価を加えて確認する習慣を身につけましょう。
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