退院してからの体力の回復のこと

なんらかの病気のために入院すると、体力が落ちることが多い。作業療法士として多くの方のリハビリテーションに関わってきましたが、生活の範囲や活動が制限される病院生活では運動不足になりやすいため、リハビリテーションを実施している患者さんでも体力が低下してしまうことを多く見てきました。特に高齢者の退院後の生活と体力のことについて書いてみたい。

病気ではない、健康な方の体力低下の予防についての記事を追加しました
⇒⇒体力が低下したと感じたら、簡単でもいいから何かを始める

入院中に体力は低下しやすい

なんらかの病気のために入院していることが多いので、その病気でも体力は低下していきます。骨折など体は元気な若い患者さんであっても、行動範囲は病院内に制限されることや、運動する機会が減ってしまうことで体力は低下します。

筋力は筋肉を使う機会が少ないと低下してしまいます。宇宙飛行士のように体をものすごく鍛えているようなスペシャリストであっても、無重力空間の宇宙に長期滞在していると筋力が低下してしまい、地球に戻ってきてすぐは一人で立つことさえできないと言われています。重力の影響を受けない宇宙では筋力をさほどつかわずに運動できてしまうからですね。

リハビリテーションしてるから大丈夫!

って思う方もいるかもしれませんが、入院中の1日の生活の中でせいぜいリハビリテーションは多くても3時間くらい、それ以外の時間はベッドで寝ているか病院内をうろうろするかくらいしかすることありませんよね。リハビリテーションも、スポーツ選手のトレーニングのようなハードなリハビリをするわけではなく、病状に合わせた内容となるためどうしても体力は低下してしまいやすいんですよね。

退院すれば体力は戻るか?

病気の種類にもよりますが、入院前の状態に回復して、入院前の生活に戻ることができれば徐々に体力は回復していく方が多いように感じています。

入院前と同じ生活をすることで、入院している時よりも運動量は増えますので徐々に体力は改善していきます。だけど、時間はかかります。入院期間が長ければ長いほど体力は低下していますので、その回復にも時間はかかる傾向があるように感じています。

高齢者の体力は回復が遅い

入院が長期になった患者さんや高齢の患者さん、退院後も後遺症があり入院前のような生活状態に戻ることが難しいような脳卒中の患者さんのような場合は、なかなか体力が戻ることがありません。

とくに、退院後の生活で後遺症が残っている方の場合は、退院して自宅に戻ってきてからの運動量を増やすことが難しいので体力が戻りにくいのです。

体力が低下しているので、退院後は何をするにしても疲れやすいのです。疲れやすいから動くとすぐに休んでしまう、休んでしまうから体力が回復しない、体力が回復しないのでやっぱり疲れやすい。

私は訪問リハビリテーションという仕事に従事しながら、退院した脳卒中の患者さんや高齢者の方のリハビリテーションに関わっていますが、皆さんなかなか体力が回復しない方が多いです。私の経験では、入院した期間が長ければ長いほど体力の回復に時間がかかります。訪問のリハビリテーションを受けながら、なるべく家の中で動く時間を作るようにしても、入院期間の1.5倍から2倍くらいの期間かけてゆっくりと体力が回復する方が多いようです。

体力をするために退院後に家の中でできること

**ここから先は一般論です、お読みの方の病状に合わせて書いておりませんので、必ず主治医やリハビリ担当の方の指示に従ってください**

病状が安定していて、主治医から「家の中で動いてもいいですよ」といわれている方なら、少しずつ動くようにしましょう。

寝ているよりは、起きている、起きているよりは座っている、座っているよりは歩いてみる、そんな感じでできる範囲のことから少しずつ始めてみてください。

朝起きたら着替えてみる

朝起きたら、パジャマから普段着に着替えてみましょう。簡単なことかもしれませんが、パジャマのままでは外に出ることはできません。

外に出る気分になれないかもしれませんが、これから外に出るための第1歩として着替える習慣を身につけておくことは大変重要です。私が担当している訪問リハビリの利用者さんたちも、朝起きて着替えている利用者さんほど活動性の高い方が多いです。

ここていう活動性が高いっていうのは運動能力が高いという事ではありません。車いすに乗って家族と外出する方など動くということに対して積極的な方が多いという意味です。

着替えることで気分は変わるものです。

家の中でかまわないから体を動かす(簡単なトレーニング)

  • 手すりにつかまって立つ
  • 車椅子をテーブルの前まで移動させてテーブルに手をついて立ってみる
  • 立てないなら、座ったままでいいから足踏みしたり、バンザイしたり体を動かす

訪問のリハビリテーションって長くても1時間くらいなんですよね、リハビリしていない時間の方が長いんです。だから、自分で体を動かす習慣を身につけて欲しいなって思っています。薬を飲むような感覚で、食後に少しだけ体を動かす時間を作ってみてください。

10分の時間を毎食後に運動する習慣を身につければ合わせて30分の運動する時間を作り出せます。

簡単なことでいいから体を動かす時間を増やすことが、体力の回復に役立ちます。体力が回復すれば、もっと動きたいと思う気持ちが出てきます。

特殊な運動でなくてもかまわないのです、体を動かすことが重要なのです。

  • トイレに行く
  • ベッドでなく、リビングやキッチンで食事をとる
  • テレビを見るならベッドからリビングまで移動する
  • 玄関に出て外を眺める

何でもいいんです、とにかく動くことが重要なのです。

歩ける人は歩いてみよう

家の中でも構いません、歩けるなら歩いてみましょう。とにかく、じっとしていたのでは体力の回復はあり得ません。薬を飲んで体力が回復することはないのです。サプリメントのんでも体力は回復しません。

体を動かして、運動して、少しずつ体力は回復するのです。

散歩いいですね。10分だけでもいいから毎日散歩してみませんか?

散歩するならパジャマでは無理ですよね、だから着替えましょう。着替えるためにはベッドから起きないといけません。ベッドから起きるためには座らないといけません。こんなふうに、歩くってことはそのために準備しなければならないことが多くあります。10分の散歩をするためには、その前後に1時間くらいは体を動かす必要が出てくるのです。

散歩の10分っていうのは10分だけの運動ではなく、1時間体を動かすことができる可能性が隠れているのです。

半年~1年計画で体力を回復させましょう

年齢や病気の種類によっても異なりますが、体力の回復には時間がかかります。

1ヶ月や2か月では回復しません。だから、焦ることなくじっくりゆっくり頑張る必要があるのです。

まずは自分の身の回りのことが少しずつできるようになる

それが毎日できるようになる

家の用事ができるようになる

外に出かけるようになる

それが習慣になる

こんな感じでじっくりゆっくり活動範囲が拡大することが、体力の回復には重要なんです。

あせらず、1年間くらいかけてゆっくり焦らず、トレーニングに取り組んで回復させてみるつもりの心構えが必要です。


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やまだリハビリテーション研究所noteサイト

2018年同時改定や2025年問題、地域包括ケアシステム、子どものリハビリテーション、そんなテーマでさらに価値あるコラムを書いています。

2 件のコメント

  • サッカーを高校でやっているんですけどテスト期間で2週間くらい動いていないのでテスト期間中に体力を戻す方法はなにかありますか?

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