特定看護師とか特定行為のこと 2013年11月時点でのこと

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看護師の特定行為に対しての研修について新聞等で報道されていましたが、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の皆さんはご存知でしたか?

看護師の業界のことで、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション業界とは無関係って思っておられる方はちょっと情報不足ですね。実はリハビリテーション業界にも無関係ではないのですよ。

特定看護師制度のこと

当初は特定看護師制度の創設を目指していた日本看護協会。でも、それに反対する医師会を中心とした各種団体の対立が激しくて特定看護師制度は、当初もくろんでいた内容よりはトーンダウンしているようです。詳しくは 厚生労働省の審議会の記録 等をご覧いただければ、経緯を把握できると思います。

この記録を見ていただくとわかるのですが、かなり以前から特定看護師については議論されているのです。

日本看護協会はかなり突っ込んだ議論をしていて、看護師の業務拡大についてかなり強い要望を出していました。

記録をご覧になっていない、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の皆さんにとってはあまり興味のないことかもしれませんね。

でも実はそんなことないんですよ。

リハビリテーションの指示という特定行為

じつは、厚生労働省の審議会の記録 をご覧いただくとわかるのですが

訪問リハビリテーションを仕事としている私にとって、実はこの特定看護師制度にはちょっと期待していることがありました。

それは、特定看護師がリハビリテーション等の指示を行うという項目が含まれていたからです。この項目については 日本理学療法士協会は反対 していました。

今回の新聞等に掲載されている資料や、関連資料を読んだところ、現時点では看護師の特定行為にリハビリテーション等の指示は含まれていないようです。これからどうなるかは不明ですが。

私は、訪問現場に携わっている、いち作業療法士として看護師さんがリハビリテーションの指示を出すことに大変期待していました。

ですので、この項目が削除されていることが残念でなりません。

訪問のリハビリテーションの指示の現状

病院でリハビリテーションの指示書を書くのも、訪問領域でリハビリテーションの指示書を書くのも、どちらも医師です。

病院の場合、入院している患者さんに対して医師がリハビリテーションが必要だと判断したケースについて指示書を書くことが多いわけですよね。

ところが、介護保険業界では、家族から医師に対して、「訪問リハビリをうけたい」という希望に基づいて医師が指示書を書いたり、ケアマネジャからの依頼によって医師が訪問リハビリの指示書を書くということが多いんです。

仮に、ケアマネさんが、医師に訪問リハビリの指示を依頼したけれども、医師がリハビリの必要なしと判断してリハビリの指示書を書くことを断って来た場合、そのケアマネさんはどうすると思いますか?

たぶん、別の医師に依頼して書いてもらうでしょうね。指示を書くのは医師であればだれでもいいんですから。

最終的には医師の判断で指示書を書いているとはいえ、利用者の希望によって指示されているという現状があるのです。

利用者さんの状態を把握しているからこそ指示書を書く

だから、訪問業界において、利用者さんの状態を十分に吟味してリハビリテーションの指示書を発行している医師は少ないと思います。ケアマネジャや家族の希望に基づいて発行している医師のほうが多いのではないでしょうか?

タイムリーな指示書の発行

訪問看護ステーションに、ケアマネ事務所が併設されているところは結構あると思います。

そんな事業所に勤務していると、ケアマネさんや看護師さんから

「今日か明日リハビリの訪問に入ってほしいんだけど、指示書がまだ来ていない」

って言われることが時々あります。でも指示書は主治医の診察がないと発行できない。すぐに利用者さんが受診できる体制を組めない場合、2~3週間程度待ちぼうけをくらうこともあります。

そうしている間に、利用者さんが転倒して骨折、入院してしまったってことありませんか?

タイムリーな指示書さえあれば転倒防げたかもって思うんですよね。

だから、看護師さんの特定行為に期待してたんです。

訪問業務を通して患者さん、利用者さんの状態を最も把握しているであろう、看護師さんが必要に応じて、訪問リハビリテーションの指示書を発行できるほうが、よりタイムリーで実情に沿った訪問リハビリテーションが展開できるのではないかと、私は特定看護師制度に期待を寄せていました。

医師抜きで仕事をしたいというのではないのです。

訪問リハビリ事業所と訪問看護ステーションでの指示書の取り扱いの違いなど、現在の訪問業界における訪問リハビリテーションの指示書にはいろいろ課題があります。

訪問看護ステーションの看護師さんってものすごく利用者さんの状態を把握していると思います。

すでに訪問を開始しているケースであれば、その状態に応じて看護師がリハビリテーションの必要度を判断して、同じ事業所の理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などに指示を出してリハビリテーションを開始する、こんな流れがあれば地域でのリハビリテーションはスムースに動くのではないかという期待を特定看護師制度に持っていたんですよね。

 

リハビリテーション業界では、おそらくこのリハビリテーションの指示書を看護師が書くという行為については反対するのでしょうが、個人的には期待しています。何とかして―。

コメント

  1. 箕浦 大介 より:

    姫路で訪問リハビリをしている理学療法士です。

    看護師の指示…

    現実的には、現場で医師の指示を待たずにセラピストが動けるのは魅力的ですね。

    ただ、看護師にリハビリテーションの事がどれだけ理解しているか? というのが、本質的な問題点だと考えます。
    現場で働いている看護師を批判するのではないですよ。
    看護協会は、患者のために権限を拡大したいのではなく、ただ単に権力を持ちたいだけに思えるので、理学療法士協会が反対するのは当然だと考えます。

    患者の爪を剥がして有罪判決を受け、出所後、再び患者の爪を剥がした看護師でも、資格の剥奪をしないような協会では、「まともな」医療を行えないと考えます。

    同じ医療者として「恥を知れ」と思っています。

    あ、決して現場で一生懸命働いている看護師ではないですよ。あくまで協会の姿勢の問題です。

    • 箕浦さんへ
      コメントありがとうございました。

      「看護師がどれだけリハビリテーションのことを理解しているのか?」
      ということですが、看護師さんの努力も必要ですが、理解してもらうために理学療法士や作業療法士が現場で何をするのかってことの方が重要だと思います。
      他職種に自分たちの仕事を理解してもらうために動いていないセラピストは多いように思います。もっと頑張ってほしいと思っています。

      資格はく奪のことですが、協会にはそんな権利ないと思いますよ。資格を与えているのは国なので、医道審議会とかが審議すべきことなのではないかと思います。

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