制度の壁ってありますよねえ(2011.10.15.記)

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今月に入って相次いでぶつかってしまった制度の壁について書いておきます。
訪問看護ステーションで勤務していると介護保険だけでなく、医療保険を使っての訪問を行う事ができます。

  • 医師の指示書があること
  • 週3回までの訪問であること
  • 他の訪問看護ステーションの利用がない事

というような条件があるのですが、医療保険を使っての訪問看護を利用できます。私のように訪問看護ステーションに勤務している作業療法 士や理学療法士もこの制度を使って訪問することができます。今回制度の壁により訪問することを 断念したのは、上記の条件に引っかかってしまったのです。

「他の訪問看護ステーションの利用がな い事」 医療保険では指定されている疾患を除いては基本的に1か所の訪問看護ステーションしか利用できません。今月に入って依頼が入った2件の訪問は どちらも小児のケース。2件とも重度の障害を抱えていて生まれた時から入院していてようやく退院することとなり、私の勤務先ではない訪 問看護ステーションから看護師の訪問を受けながら在宅生活を送ることになったケースです。そして、リハビリを受けたほうがよいだろうと 主治医や看護師や保健師からのアドバイスがあり私の勤務先に連絡がありました。

医療保険では一部の疾患を除いて一か所の訪問看護ステーションしか利用できない この条件があるために、依頼のあった2件の小児のケースへの訪問はお断りすることになりました。 もしこのケースで訪問を行おうとす ると現在訪問されている看護師の訪問を中止しなければならないからです。

このことをご存じない医療関係者が多いんですよね。現 在利用されている訪問看護ステーションにリハビリスタッフがいない場合は他の事業所を利用しようと思うのは自然な流れ。ところがこの制 度のために訪問を断念したケースは結構あるんですよね。特に小児の訪問リハビリを実施していない事業所が多く、リハスタッフを抱えてい ない訪問看護ステーションではこういったことがよくおこります。 一番いいのは、訪問看護ステーションにリハスタッフがいることがいいんだろうけどなかなか充足していません。リハスタッフがいても看護 師さんが小児の訪問を受けない場合もあるようです。

医療の発展とともに重度の障害を抱えた子供たちが在宅で暮らすことも可能となってきました。看護とリハビリが両輪となりそれをサポート することが理想なのですが、両方をそろえている事業所は大変少ない状況です。何とか医療保険でも複数の事業所がかかわることができるよ うに、制度が変わらないでしょうか?介護保険では複数の事業所の訪問が認められているのに医療保険ではダメ!っていうのはおかしいよう に思います。
もともと訪問看護は「老人訪問看護」としてスタートしていること、医療保険では「二重診療が禁止」されていること等から制度設計がこん な風になっているのかもしれません。何とか変わらないかなあ。

コメント

  1. […] 1つの訪問看護ステーションに看護師だけではなく、リハビリに対応できる理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が在籍していれば1つの事業所しか関わることができなくても問題ないのですが、訪問看護ステーションにリハビリスタッフが在籍している事業所は少ないので、超重症児が看護だけでなく、リハビリも必要だとなるとこの、1か所の訪問看護しか関わることができないということがネックになります。ここの記事にも同じようなことを書いています。 […]

  2. […] 【関連記事】 「超重症児の支援の課題」 小児領域の訪問看護・リハビリのこと その2 制度の壁ってありますよねえ(2011.10.15.記) […]

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