地域リハの現場では2015年の介護報酬改定以降「活動と参加」が重要だって言われている。だけど、地域リハの現場でそれに取り組もうとしても、病院退院直後の患者さんたちは「心身機能」へのこだわりが強い。何故そうなるのかってことを中心に病院リハビリについて考えてみた。
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心身機能だけじゃあない!
病院リハビリテーションで実践すべきことは、心身機能への関わりだけではなくて、在宅を意識した活動と参加への関わりも積極的に行うことが必要だってことを書いてきた。
だけどなかなかそれは進んでいない。
病院で心身機能中心のリハビリテーションが進められるから、退院してからもそれをしてほしいってことになる。
リハビリテーションしてもらうことに慣れてしまった患者さんに、地域リハビリの現場で興味関心チェックリストなんかを用いて、実践してほしいことを聞いても、答えなんてなかなか返ってこない。
「リハビリしてください」
って答えの方が圧倒的に多い。
心身機能と活動と参加へのアプローチは常に並行して同時に行われるべきなのに、心身機能中心のリハビリが病院で展開されてしまうから、患者さんも依存的になる。
患者さん自身がやりたいことを見つけるのではなく、リハビリテーション専門職が主導して目標を設定する。一応実施計画書で同意してもらってはいるだろうけど、その目標設定にどこまで患者さんが主体的に関わっているのかは疑問だ。
どこでこうなってしまう?
たとえば、病気や障害をお持ちでない高齢者の方は、健康で長生きしたいからってことで
- 高齢者向けのフィットネスに通ったり
- フラダンス教室に行ったり
- ラジオ体操に毎日早起きしたり
- 万歩計つけて歩いたり
- これからの季節は婦人会で盆踊りの練習したり
こんな風に、超具体的に自分のやりたいことを実践している高齢者は多い。
だけど、入院してリハビリテーションが必要な状態になった途端、やりたいこと、目標の設定はセラピストが主導的になってしまいがちだ。
心理学的にとか、障害の回復過程的にとか理論的にはいろいろあるんだろう。だけど現場目線で考えてみるといくつかの要因がここには潜んでいるように思う。
どんなことが転換点なんだろう
ここが変わるべき!
急性期や回復期リハビリテーションの現場で、医師はどのように予後を患者さん自身に伝えているのだろう?
あとはリハビリテーション頑張ってください!
ってことだけを伝えているんじゃあないかな?
医師の役割
心身機能の回復がどの程度回復するのかってことの予後予測をきちんと伝えているのだろうか?
高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会報告書
この報告書に記載されているデータでも、医師からきちんと説明を受けている患者さんは少ないようだ。
だから、自分の回復の程度がわからないままリハビリテーションに突入してしまっている患者さんが多い。
リハビリテーションのことも知らないから、リハビリテーション専門職に言われるがままのリハビリが展開されてしまう。不満を言ったら退院させられるのではないかって不安を抱えている人もいるかもしれない。
患者さんが自分の置かれている状況をしっかり把握するためには、医師がきちんと予後を伝えることが必要だと思う。
リハ専門職の役割
そのうえで、きちんと心身機能と活動と参加の両輪にアプローチすべきなんだ。
どちらかに多くの比重を置くことはあるでしょう。だけどどちらか一方に全くアプローチしないなんてことはない。
- 入院早期からの退院先情報の把握
- 超具体的な短期目標の設定
- 利用者さん自身と選定する目標設定
- 退院後にやりたいことの確認
そうして、なんといっても触らないリハビリテーションの実践だと思う。
変わらないといけない!
おそらく急性期病院や回復期病院が今のままのリハビリテーションを続けていたら、いつまでたっても活動と参加へのアプローチなんてできやしない。
僕たちリハビリテーション専門職が変わらないといけない!
そんなことを考えているセラピストはどれくらいいるのかな?
2016年5月28日に続編的な記事を公開しました。
⇒触らなくてもリハビリテーションは実践できる!
こんなお話をリアルに聞いてみたい方はこちらからどうぞ
⇒⇒講演依頼のこと
2018年の同時改定に向けて不安なセラピストはこちら
⇒「2018年同時改定に向けてリハビリ専門職がすべきこと」のご案内
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