利用者さんが言うてたから書いてみた。複数の事業所が関わっているケースなんだけど、相談事やプランの変更などをヘルパーさんとか訪問看護師さんとかに伝えると、「ケアマネジャーに確認してからお返事します」「まずケアマネジャーさんに伝えてください、それから検討します。」「こちらでは判断できないので、ケアマネジャーさんに先に連絡しておいてもらえますか?」って言われてしまうのだそうだ。それってどうなんだ?ってことを書いてみた。
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ケアマネジャーとの関係
利用者さんとケアマネジャーさんは契約していますよね。居宅介護計画の立案したり、月間のプラン立てたり、点数の管理をしたりするんですよね。
利用者さんと訪問看護や訪問リハビリなどのサービス提供事業者はそれぞれにサービスを利用するための契約をしています。私が所属している訪問看護ステーションも管理者さんが中心になって、新規訪問の利用者さんとは必ず契約を交わしてからサービスの提供を開始しています。
じゃあサービスを提供している事業所、訪問看護ステーションや老健などの通所リハビリ(デイケア)、訪問介護や通所介護(デイサービス)等の事業所とケアマネジャーさんはどんな関係なのか?
サービス提供事業所とケアマネジャーの事業所は契約している訳でも何でもありません。それぞれ別個の独立した関係なんですよ。
プランに組んでもらえないとサービス提供できない
私は訪問看護ステーションに勤務しています。訪問看護ステーションからのサービスを希望する利用者さんがいる場合は、訪問看護ステーションと利用者さんがサービスを利用するための契約を行います。
さらに、医師からの指示書が必要です。
医療保険のサービスの場合、「利用者さんとの契約」「医師の指示書」があれば訪問することができます。利用料の支払いが、普通の健康保険なのか特定疾患などの医療証なのかによって金額が変わってきたりするから他にもいくつか書類のコピーとか必要なんだけど、基本的には「契約」「指示書」があれば訪問できる。
だけど、介護保険の場合「契約」「指示書」だけではサービスの提供を開始できません。ケアマネジャーさんの居宅介護計画に組み込んでもらって月間のサービス提供予定に入れてもらわなくてはいけません。そうでないと訪問できないのです。
ちょっとややこしい話なのですが、、、
介護保険の利用料金は利用者さんから1割をいただきます。残りの9割は自治体などから支払われるんだけど、それにはサービスを提供している事業所が毎月毎月書類を作って請求しないと残りの9割をいただけないんですよ。その9割をいただくときに、サービス提供している事業所の書類と、ケアマネジャーが提出している書類を突き合わせてマッチしていて初めて事業所にお金が入ります。
だから、ケアマネジャーさんの書類に「サービスを提供していますよ!」ってことが書かれていなかったら、実際にサービスを提供していたとしても9割のお金は事業所には入ってこないのです。
だから、ケアマネジャーさんがプランに組み込んでくれなかったら利用者さんと契約が終わっていても訪問できない、訪問したとしても事務所にお金が入ってきません。
情報が行ったり来たりする
利用者さんがサービスを提供している事業所のスタッフや管理者さんよりも、ケアマネジャーさんに信頼をおいているようなケースでは利用者さんの相談事やサービス内容の見直しなどは
利用者⇒⇒ケアマネジャー⇒⇒サービス提供事業所
っていうようなパターンで情報が流れるから、あまりややこしくならない。
だけど、利用者さんや利用者さんの家族さんがケアマネジャーよりもサービスを提供している事業所のスタッフに信頼をおいている場合がややこしくなる。この場合、サービス変更の相談や困りごとなんかのお話はまず看護師さんとかリハビリスタッフとかヘルパーさんなどのサービスを提供している事業所のスタッフに入ってくる。そうすると
利用者⇒⇒サービス提供事業所⇒⇒ケアマネジャー
こうなると、最初に書いたように「ケアマネジャーに確認してからお返事します」「まずケアマネジャーさんに伝えてください、それから検討します。」「こちらでは判断できないので、ケアマネジャーさんに先に連絡しておいてもらえますか?」ってことになる。
サービス内容を変更すると・・・
【例】
- 訪問看護ステーションからのリハビリを提供している私の訪問回数を利用者さんが増やしたいって思った時に、利用者さんが私にその話を伝えたとする
【普通の場合】
利用者さんが回数を増やしたいって希望を、自分の事業所管理者に伝えて空き枠あれば、利用者さんに「回数増やせますよ」って連絡しつつケアマネジャーさんにも連絡して了承してもらう。
【限度額いっぱいサービスを使ってたり、回数を増やすと他のサービスとかぶってしまう場合】
訪問の回数を増やすと、他のサービスの時間と重なったりしそうな場合は、利用者さんに「他のサービスと重なる可能性が高くて、こちらの都合だけで回数を増やせないから、まずケアマネジャーと相談します。その上で改めて連絡します」ってなる。
極力情報があっちこっちに飛ばないように、利用者さんの希望を聞いたうえで私がケアマネジャーとやり取りすることで、もしくは私の事業所の管理者とケアマネジャーがやり取りして、その結果を利用者さんに伝えるようにしています。
利用者さんに話を差し戻したり、利用者からケアマネに希望を伝えてくれないと動けないとかは言わないように配慮している。限度額管理とか他のサービスとのかぶり具合とかの調整となると利用者さんや家族さんが混乱することもあるので、こちらで話を引き取ってケアマネジャーに伝える
サービス提供のルールを把握しておく
限度額に余裕があって、他のサービスともかぶらないようなケースの場合はサービス内容の変更をケアマネジャーさんに事後報告することになっても、ものすごくお怒りになるケアマネジャーさんはほとんどいない。
問題になるのは
- 限度額いっぱい使っている
- 多くの事業所のサービスを使っている
- ケアマネジャーさんと利用者さんとの関係性がイマイチ
- 医療保険のサービスや、障害者支援関連のサービスも使っている
っていうようなケースでしょうね。こんなケースの場合には、利用者さんとサービス事業者だけでサービス内容の変更を決定するのではなく、ケアマネジャーさんに調整してもらう必要がある。
だけど、それであっても情報の受け渡しをイチイチ利用者さんを間に挟んで行ったり来たりするようなことは避けたい。
サービスの提供に関する最低限のルール
- 限度額のこと
- 同時に併用できるサービスの種類
- 請求業務はケアマネの書類も必要
このあたりのことを把握することができていれば、利用者さんに対して「まずケアマネジャーさんに伝えてください、それから検討します。」「こちらでは判断できないので、ケアマネジャーさんに先に連絡しておいてもらえますか?」って言わざるを得ない回数はかなり減ると思う。
地域リハビリテーションの領域で働きたいと思っている若手の看護師さんや理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の方たちはこのあたりのことも理解して訪問に関わってほしいと思う。
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