訪問先でゆっくりとコーヒーを飲む

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訪問先でお客さんが淹れてくれたコーヒーをゆっくりと飲む。訪問業務ならではのシーンかな?
この話を研修会なんかで講義で話したりすると結構賛否両論、いろいろ言われることが多いのです。皆さんはどう思いますか?

利用者さんの家に入れてもらうってこと

訪問先でコーヒーやジュースを飲んだりすることって経験したことありますか?

私は先日しぼりたてのゆずジュースをごちそうしてもらいました。病院で働いていた時よりも、頂き物に対する価値観は大きく変わっています。ある意味頂き物に対する「ハードル」というか「ガード」は下がっています。

病院時代には上司からよく言われました

「入院患者さんから、モノをいただくという行為は禁止されています」
「受け取らないようにしなさい」

このことの背景にあるのは

「入院や実施したリハビリテーションの対価として患者さんはお金を支払っている。そのお支払以上のサービスを提供しているわけではないので対価以上のものを受け取らない」

ってことなんだと思う。
介護保険のサービスについても基本的には同じだと思う。サービスの対価として利用料をいただいている。1割の実費と残りは保険から。それ以上のサービスを提供しているわけではない。

でも、訪問リハビリテーションというのはそれだけではないんだって思うことも多い。

私達はお金をもらって訪問させていただいていると同時に、利用者さんから見れば自宅に来ている「お客さん」という側面でとらえてもらっていることもある。

見方を変えれば、利用者さんからすれば私たちはお客さんであって、コーヒーや茶菓子はお客さんに対しての「おもてなし」なのである。
もてなそうって思ってお出しいただいたものを断るのもちょっと大人げない、って思うことがある。

けっして「もてなしてほしい」とか「コーヒーや紅茶くらい出してほしい」って思っているわけではない。

でも病院ではなく、ここは利用者さんの自宅なのである。訪問リハビリをするには、家に入れてもらう必要がある。

家に入れてもらうからには家に入れてもらだけのことをしないといけない。私たちはリハビリテーションというサービスを提供するために家に入れてもらっている。だけど、継続して家に入れてもらって、人間関係が構築されるためには、おもてなしを断らないって選択肢もあるのではないかなって思うのです。

まずコーヒーを飲む

普通は、リハビリが終わった後にコーヒーを出してくれたりすることが多い。でも私はこんな経験をしたことがある。

昼間独居の男性の利用者さんが、私が訪問するのに合わせて豆を挽いてコーヒーを淹れてくれているのだ。だからその利用者さんの家に訪問するとまず、15分くらいかけて雑談しながらコーヒーを二人で飲むのである。そのあと、リハビリがスタートする。

この場合、コーヒーを飲む時間を訪問時間に含めるのかどうかということが問題になる。

私は、本人と家族と相談してコーヒーを飲む時間を訪問の時間に組み込むことにした。

研修会で講師としてこの話をすると、訪問経験のある方からは賛否両論の意見が出る。皆さんはどう思いますか?

この利用者さん、外出するときは家族が押す車いすに乗って外に出ます。日中は独居なので自宅で過ごします。自宅では何とか歩行器と伝い歩きで屋内を移動しています。日中は基本的にはベッド上で過ごします。

だから、コーヒーを淹れるってことは利用者さんにとっては結構な活動量なんですよね。

ベッドからキッチンに行って、食器棚からコーヒー豆を出して、コーヒーメーカーにセットして、けっこういいコーヒーカップとソーサ出してくれて、美味しいコーヒーを淹れてくれるんです。時々間に合わなくて、私が到着してからその活動が始まることもあります。

私は作業療法士なので、これを一連の活動としてリハビリテーションに組み込めたらいいなって思いました。だから、最初にコーヒーを飲むことにしました。そしてこれを訪問の時間に含めることにしました。

活動の拡大

私が訪問しなければ、トイレに移動する以外はベッドで過ごしています。私が訪問するから、ベッドから移動してコーヒー淹れてくれます。ちなみにケアマネジャーさんにはコーヒー淹れないそうです。

男同士でコーヒー好き同士で飲むのがいいんだそうです。

私が訪問することでこの利用者さんの活動量が増える。ADLが拡大しているんですよね。

だから、私はこの活動を拒否しないですし、熱いコーヒーを時間をかけていただきます。じっさい美味しいコーヒーですしね。堂々といただきます。

家に入らないことには始まらない

継続して、訪問する体制を整えなくてはいけないのです

  • サービス事業者として
  • その家のお客さんとして
  • 時には実際の家族よりもたくさんの回数お会いする

訪問リハビリとしてかかわる理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の方にはきっといろいろな側面があるんだと思っています。

だから、時にはコーヒーやジュースのおもてなしを断ることもあります。時にはコーヒーにケーキまでいただいちゃうこともあります。自宅の庭でとれたジャガイモを袋一杯いただくこともあります。

利用者さんと家族と私と、いろんな関係があるんです。だから、何でも一律に

「コーヒーはいただけません」
「じゃがいもはいただけません」

とは言えない微妙な関係があるんです。

あなたはどうしていますか?

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