機能強化型訪問看護ステーションと訪問リハビリのこと

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2014年度(平成26年度)の診療報酬改定で、訪問看護ステーションに関して新たな基準が打ち出された。機能強化型訪問看護ステーションである。筆者の私見ですが、医療法人系の大規模訪問看護ステーションに有利な算定条件であると思える。じゃあ、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などが設立している「リハビリテーション」中心型の訪問看護ステーションに対しては何か影響があるのでしょうか?そのあたりを書いてみました。

(注意してね!)
算定要件などは
厚労省のホームページに掲載されている資料を参考にしている。この中でも、機能強化型訪問看護ステーションについてはこちらの資料の中に記載されています。PDFの67枚目、資料の中に記載されているページ数では63ページ目を参考にしています。

資料は厚生労働省から引用していますが、運用にあたってはそれぞれの責任の元で運用をお願いします。万が一転載ミスや今後新たな資料が公開された場合などの責任については当ブログでは保障致しません。


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機能強化型訪問看護ステーション

今回の機能強化型訪問看護ステーションでは訪問看護療養費の算定で2パターンが新設されている。

機能強化型訪問看護管理療養費1

算定要件は下記の通り

  1. 常勤看護職員7人以上(サテライトに配置している看護職員も含む)
  2. 24時間対応体制加算の届出を行っていること。
  3. 訪問看護ターミナルケア療養費又はターミナルケア加算の算定数が年に合計 20 回以上。
  4. 特掲診療料の施設基準等の別表第7※に該当する利用者が月に 10 人以上。
  5. 指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること。
  6. 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい。

機能強化型訪問看護管理療養費2

算定要件は下記の通り

  1. 常勤看護職員5人以上(サテライトに配置している看護職員も含む)
  2. 24 時間対応体制加算の届出を行っていること。
  3. 訪問看護ターミナルケア療養費又はターミナルケア加算の算定数が年に合計 15 回以上。
  4. 特掲診療料の施設基準等の別表第7※に該当する利用者が月に7人以上。
  5. 指定訪問看護事業所と居宅介護支援事業所が同一敷地内に設置され、かつ、当該訪問看護事業所の介護サービス計画が必要な利用者のうち、当該居宅介護支援事業所により介護サービス計画を作成されている者が一定程度以上であること。
  6. 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい。

算定できる点数は下記の通り(医療保険)

算定の点数はこちらを参考にしています。

  • 月の初日の訪問の場合

機能強化型訪問看護管理療養費1
12400円(従来は7300円)

機能強化型訪問看護管理療養費2
9400円(従来は7300円)

機能強化型ではない従来のステーションの訪問看護管理療養費
7400円(従来は7300円)

  • 月の2日目以降の訪問の場合(1日につき)

2980円(従来は2950円)

改定で何が変わる?

機能強化型訪問看護ステーションを算定できない事業所がすぐに不利になるわけではない。算定できない事業所であっても診療報酬そのものが大きく変わっていないからだ。(微増している)

だから、慌てて何かしないといけないということはないと思う。

しかし、長期的な事業計画では機能強化型訪問看護ステーションに対しての対応というか対抗策は必要になってくる。

機能強化型訪問看護ステーションの最大の強みは居宅介護支援事業所を併設しているということです。これ、見方を変えると居宅介護支援事業所のケアマネジャーが併設している訪問看護ステーションに利用者を誘導することができるってことですよね。

リハビリメインの訪問看護ステーションに居宅介護支援事業所が併設されていない場合、機能強化型訪問看護ステーションに利用者を奪われる可能性が出てくる。そんな可能性はありませんか?

医療保険では2か所以上のステーションの併用に制限がある

リハビリテーション中心の訪問看護ステーションの場合「自分たちは理学療法士や作業療法士、言語聴覚を抱えてリハビリテーションを売りにしているから大丈夫」って思っている事業所も多いのではないでしょうか?

よく考えてみてください。今回の改定は医療保険の診療報酬の改定なんです。

医療保険では基本的には1ヵ所の訪問看護ステーションしか利用することができません。2か所以上の訪問看護ステーションの条件にあてはまる場合は問題ありませんが、1ヵ所の訪問看護ステーションしか利用することができないような利用者さんが、機能強化型訪問看護ステーションに奪われてしまうと、利用者数は減少することになりませんか?

機能強化型訪問看護ステーションのリハビリ

機能強化型訪問看護ステーションの算定要件、特に機能強化型の1を算定できる事業所はそれなりに規模の大きな事業所であることが予測できます。

多くの看護師を抱え、居宅介護支援事業所を併設し、24時間対応している。このような体制は小さな規模の事業所ではなかなか組むことができません。

そうすると、スタッフを多く抱えている病院に併設されているような、医療法人系の訪問看護ステーションが機能強化型を取得することが考えられます。

スタッフを多く抱えている医療法人が運営する訪問看護ステーション・・・・

そんな医療法人はきっと、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったスタッフも病院に抱えているとは思いませんか?そこからリハビリの訪問が可能になるのではないでしょうか?

そうなると、リハビリ中心の訪問看護ステーションに利用者さんを紹介するメリットはかなり下がるのではないでしょうか?

2014年4月になってすぐに利用者さんが減ることはないと思います。

しかし、機能強化型訪問看護ステーションの基準を満たした事業所が増え、理学療法士や作業療法士などをその事業所が抱えるようになると、「リハビリ」中心型の訪問看護ステーションには打撃になるのではないでしょうか?

地域ではリハビリと看護の協業が重要

地域では、リハビリテーションだけで何とかなるというものではなく、訪問看護ステーションにおいては看護師とリハビリテーションの協力が不可欠です。しかし、こちらの記事でも紹介しているように、リハビリメインの訪問看護ステーションおいて、すべてではないにしろ、看護師との協業や連携がうまく実施できていない事業所もあるように思います。

今回の改定においても、基本的には看護師がかかわる部分の報酬が増えています。訪問看護ステーションの本来の役割である、看護師の働きが評価されているのだと思います。

このことをしっかりととらえて、長期的な視点に立った事業計画を立てないとリハビリテーション中心型の訪問看護ステーションの未来は少し暗くなると思います。

何よりも連携が重要なんですよ。

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