介護保険領域では、ケアマネジャー、看護師、介護(ヘルパー)、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、福祉用品関連などなど様々な職種、多くの事業所との連携が必要となってきます。訪問看護ステーションからの訪問リハビリに従事している作業療法士として、地域での連携の基本的な考え方について書いてみた。
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連携がなかなか浸透しないわけ
リハビリにしろ、介護にしろ、看護にしてもその多くの従業員は歩合制で働いている方が多いと思います。時給単位とか、件数単位でお仕事をすることになるので、スケジュールに空き枠をおく作るわけにはいきません。
スケジュールに空き枠があるということは、その分お給料が減るということです。だからなるべく空き枠を少なくするようなシフトを組むことになるので、連携に必要な他事業所との打ち合わせやカンファレンスに参加する時間を確保することが難しくなります。
その結果、件数や時給に給料が左右されない常勤スタッフが事業所の管理者としてカンファレンスに参加したり、各部門の管理職者が参加したりすることになります。その結果、実際に担当しているスタッフではなくまた聞きスタッフ同士のカンファレンスになったりすることも多く、当事者同士の濃密な連携が浸透しないのです。
それでも連携は必要なんです
じゃあ、担当者同士が直接会うことが少ないから連携は不要かというと、そんなことはありません。
介護保険領域では、1人の利用者さんに対して一つの事業所だけで関わることは少なく、複数の事業所で支援を行っていることが一般的であるからです。
ケアマネジャーさんが組んでいる計画の達成のためには、複数の事業所がしっかりと連携することが目標達成のためには必要なんです。
それに、担当者同士が顔を合わせた関係になるということは、より連携がスムースになるので、常勤・非常勤に関係なく多少なりとも他事業所のスタッフとは顔見知りになっておきたいものです。
連携に必要な要素
訪問看護ステーションから訪問リハビリに関わっている作業療法士として、連携のために大事にしていることは
- 連携することにメリットがあること
- 連携する相手(他事業所や他スタッフ)の情報がある事
- 共通の目的がある事
- 共通言語がある事
連携することにメリットがある事
他事業所や他機関と連携することで、メリットがあるからこそ連携するんですよね。
連携することによるメリットがなければ、誰も私と連携しようなんて思ってくれないわけです。「連携」したいのなら私と連携することによって得られるメリットがないといけないのです。
「連携してほしい」って待ち望んでいるくらいなら、あなたと連携することによって得られるメリットをアピールしなければなりません。
私の場合は作業療法士として、必要な情報や介助方法を他職種に伝えることで、他職種の方にメリットが発生するよう努力しています。
連携する相手の情報がある事
連携するってことは、自分以外にだれかが関わっているということです。
- 自分以外のだれがかかわっているのか?
- その他機関や他職種はいったい何をする人・機関なのか?
そのような情報がないと連携ってできないですよね。他機関に対して必要な情報を提供するからこそ、長期的に見て連携が効果的に行われるわけです。
必要な人に必要な情報を提供することが連携には欠かせません。有益な情報であってもそれを利用する機関にその情報を届けないと意味がないのです。必要な情報であっても、それを利用することができない職種に情報を提供しても意味はありません。
適材適所な情報発信が必要なのです。
共通の目的がある事
介護保険の地域連携の多くは、ケアプランに基づいた計画に則って行われることが多いんですよね。
だから、共通の目的は共有できていることが多いと思います。
共通言語がある事
作業療法士として、訪問リハビリに関わるようになって10年以上が経過します。
もう病院で働くことはできません。私のカルテには専門用語が一つもないからです。訪問看護ステーションで看護師さんや、ヘルパーさんなどとかかわるようになって、私のカルテは会話に使う用語からは専門用語がどんどん削られていきました。
ときどき、自分の能力を誇示するかのように専門用語を乱発する理学療法士や作業療法士、言語聴覚士を見かけます。
おそらく専門用語を乱発することで自分に酔っているのでしょうね。自己陶酔に浸っているのでしょう。
相手に伝えるからこそ連携ができるのです。相手に伝わることのない専門用語を乱発しても意味はないのです。
相手がわかる言葉で話すことが、連携の第1歩なんですよ。
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