不平等な作業療法士が目指す活動と参加

(当サイトの記事内にはアフェリエイトなどの広告が表示されています)


今年からかかわっている通所介護事業所。不定期出勤で月に4~5回関わる。3時間2回転の通所介護なので、1日いることもあれば、半日のみの関わりの時もある。

先日の勤務では、午前中は8名、午後は11名の参加がありました。

こんな一日

3時間2回転なのですが、3時間フルに作業療法士として個別対応しているかというとそうではなくて、体操の時間や集団レクなどの取り組みもあり、実質的に個別的な対応として取り組めるのは1時間~1時間半くらい。

その1時間半くらいを使って利用者さんの評価やプログラムの立案や個別的対応をしている。

新規の利用者さんがいれば、お話聞いて評価してプログラムを考える。

その日は午前中8人だったけど、新規の方1人、会うのが2回目の人が1人おられるので、少し長めに関わる。

残りの人は時間内にパパっとかかわる。

午後は、11人で新規の方が2名おられるのでそこに長めに関わる。そうすると残り1時間弱くらいで9名に関わらないといけない。

そんな僕のかかわりは、時間的なかかわり方で言うと全く不平等だ。

声かけるだけで直接的にマンツーマンで対応しない利用者さんもいれば、15分くらい関わる利用者さんもいる。黙々と僕の立案しているプログラムを実施している利用者さんに、ちょっとした声掛けと、メニューの変更や姿勢の確認で5分関わる。

不平等ですね。

不平等だな

時間的配分だけで言うと、与えられている時間を均等割りにしてその日の利用者さんに関わるという方法もある。

均等に関わるほうが平等かもしれない。

今のことろそうはなっていない。僕の関わる時間は均等割りでもないし、個別的に徒手的な対応する利用者さんもいれば、声掛けとか見守りみたいな対応をしている利用者さんもいる。

不平等だ。

公平ではないな。

事業所のために一応書いておくと、その通所介護では、機能訓練加算の算定に必要な人員は看護師さんが確保されている。僕が出勤している日にも看護師さんは出勤しているので、僕が声掛けだけで済ませている人に看護師さんが対応してくれている。

僕が何もせずに事業所が加算を取っているわけではない。

活動と参加

僕がその通所介護で目指していることは

新規利用者さんのプログラムは僕が評価して立案するけど実施するのは看護師や介護職員さん。

不定期出勤の僕は、新規中心に関わり、その後は定期的なチェックをすること。

僕のことを作業療法士であり、リハビリする人で、マンツーマンで徒手的なことしてくれる人っていう認識をしている利用者さんはたくさんいる。病院などでのリハビリ経験のある利用者さんは、僕に徒手的な関わりを求めてくる人もいる。

だけど、必要なケースを除いて極力徒手的な関わりではなくて、自宅でもできそうな運動系のプログラムを提案している。

ある日のこと

利用者さん:最近こんな自主トレしてるんだけどどうかな?

と言ってくれたので、動作を確認して修正すべきところを伝えると、再び自分でその自主トレを続けてくれる。

その関わりわずか3分くらいかな。

短時間で済んだので、新規の人の評価に時間を当てることができる。

要支援~要介護2

軽度の方ですけどね。

自分で移動できる方はなるべく自分で動いてもらえるようなプログラムを立案する。

自分で出来そうにないことには僕や職員が支援する。

自分で動くことが一番のリハビリテーション。

やりたい活動が生活の中にあって、それを継続して実施するために通所介護にきている。

そんな風なことを目指している。

円背のおばあちゃんは自力では背中を伸ばせないから、僕が介助して1回だけ背中を伸ばすとメチャクチャ喜んでくれる。その時間わずか1分。

だけど、背中がそれ以上丸くならないために、筋力を維持したり姿勢を改善するための見守りだけで出来そうなメニューにも取り組んでくれていて、僕に対して依存してくることはない。

自分のことは自分で何とかする、そのために作業療法士が作業療法士の視点でかかわる。

マンツーマンの関わりに依存的にして、通所利用しないと悪くなるって思わせるために関わるのではない。依存心を高めるかかわりはしない。

そんなことを目指しています。

活動と参加を利用者さんが実践すれば、僕のかかわりは不要になる。

そんなことを考えています。

こんなお話をリアルに聞いてみたい方はこちらからどうぞ
⇒⇒講演依頼のこと

気に入ったらフォローしてください

Twitter
フォロワーさんは200名くらいです
https://twitter.com/yamada_ot_labo

Facebookページ
フォロワーさんは2000名くらいです!
https://www.facebook.com/yamada.reha.labo

私が書くもう一つのコラムサイト「note」
フォロワーさんは200名くらいです!
https://note.mu/yamada_ot/

やまだリハビリテーション研究所のLINE@を開設しました
友だち追加
ID検索の場合は
@yamada-ot.com
(@を含めて検索してね)

【↓↓週末にゆっくり読んでみてください↓↓】
生活期リハの視点で病院リハと地域リハをつなぐ・変えるマガジン


(スポンサー広告)

コメント

  1. パラダイムシフト より:

    いつも興味深くご意見拝聴しています。
    現在8年目の理学療法士ですが、1年目の時20分が1単位と教えられ、それだったら上下肢それぞれ10分ずつストレッチやったら2単位で残り1単位をぐるぐる歩くでいいじゃんと冗談で言っていたのですが、今の法人に来てストップウォッチで20分図ってリハしてるのをみてびっくりしました。老健なんですが病院から来た自分ですら考えたことがなかった真面目さでした。病院で3年も経験積むと今自分がやってるリハビリが何なのか自問自答するセラピストとそうでないのに分かれるのをよく見ます。時間かけたから良いというものではないことが分かるからだと思いますが、私はその老健で20分行っていないから法律違反だと非難されました。彼ら真面目なセラピストからすれば20分のいわゆる触るリハビリが個別対応なんだと思います(私の20分はほとんど寝せない、触らないものだったのですが)。
    もちろんその20分を自分が有効に使えているかどうか自問する必要があると思いますが、それを客観的に評価するにはその方の生活機能が向上したか、老健であれば何人在宅復帰させたかが勝負になるはずです。ただそれを出されるのが怖いセラピストは20分をストップウォッチで測る真面目さでなければ勝負できないのだと思います。
    今後セラピストは多くなり今でも1年目から老健に就職する人たちも数多いです。でも1年目から老健に来ても教えてくれる先輩のほとんどは、病院に就職して対人関係に悩みたくない、勉強会などで縛られたくないといって就職してる人が多いと思います。その人たちは、利用者さんたちが20分間も自分に関わって痛いところを触ってくれる、話を聞いてくれるから感謝されるし、止めようもない老化や完治しない後遺症、進行性の疾患をリハ単独の力でどうすることもできないことを知っているのでしょう。だからこその他職種連携なのでしょうが、元々人づきあいが嫌いで介護保険に来ている人たちなので考えが変わらないと思います。
    ただ自分は諸悪の根源は1単位=20分の量的評価だと思います。未だに老健は20分で240単位と高い報酬に評価されています。それに制約はかかってきても量的評価であれば雇う側も誰を雇っても利益は一緒になるので黙々と20分やるセラピストの方を選択するように感じます。

    • 入所も通所も老健のセラピストは大変だと思います。

      そんな風に動かないといけないセラピストさん達の気持ちもわからなくもないなあ。

      セラピストがどうこうではなくて、事業所として何を目指すのかってことの意思統一を図りたいですね。

      • パラダイムシフト より:

        事業所は利益を上げなければ事業ができません。利益を上げるためには病院や老健は在宅復帰率を向上させなければならないし、そのためにセラピストが何ができるかと考えると、現実的には何もないような気がします。よく現場ではリハで生活機能を向上させてもケアスタッフや看護師の協力が得られない、ケアマネが理解できていないという話をよく聞くし、自分でも同じような経験をしてきました。とどのつまり病院や老健はベッドコントロール=在宅復帰という結論に陥りがちで、真にすべての人が住み慣れた地域で生活を継続できるよう支援するという本来の目的のため仕事をするのは難しいのだと思います。
        自分は老健でリハを行っているとき、例えば自分の晩飯を利用者さんに作って頂いてました。食べたいものを伝え新聞広告をもっていって必要な材料や調理器具を確認して、いつの何時に作り始めるから用事をすませてもらうなどして計画を自分で行って頂き、その中で評価できる活動や心身機能について普段の個別リハで対応するようなサイクルを作っていました。ある時その利用者さんが「自分はここにきてリハビリを受けたことがない。」と訴えてこられました。話を聞くと入所前に利用していたデイではホットパックをリハビリと言われていたとのことで自分の説明不足が大きいのですが他スタッフから不正だとか、利用者さんのクレームだとかいろいろ言われました。
        その方は入所中別の有料が空いたとのことで自宅復帰がかなわずでしたが最後に「いままで受けたリハビリの中で一番よかった。」と言われたのが唯一の喜びでした。
        自分のリハビリがまっとうなものとは思いませんが、その方が自宅で必要な活動やそのために必要な心身機能をみているつもりです。客観的な評価から言っても在宅復帰率をあげているので文句言われる筋合いにないのですが、確かに自分のリハビリの結果在宅復帰できたのではなくたまたま有料が空いたからなのでそれを考えると複雑な思いです。
        現場のセラピストも同じような思いの方が多いのではないでしょうか。

        • パラダイムシフトさんへ

          なんだかお悩み多いですね。
          食事を作ってもらうということについては、賛否量両論あるでしょうね。例えば食事費用の負担は誰がするのか?出来上がったものを食べるのが職員のみなら、職員のためにその活動はあるのかというあたりが突っ込まれそうな部分ですよね。

          個人的にはその行為に関する是非を判断する立場にはないのですが、実施する前に職場内で検討することは必要かな。

          リハビリしっかりしても施設を転々とする方もいるし、自宅に戻れない方もいる。

          老健の運営スタイルについても利益生まないと運営できないからなんとなくわかります。私はかつて上司ともめて老健を退職してフリーになりましたので。

          どこかの事業所に所属している限り、同僚や上司との付き合いや、事業所の方針からは逃れられないですよね。

          • パラダイムシフト より:

            公正という話題が出ていましたが、自分のリハビリの結果が在宅復帰、社会復帰のどこに関連しているのかを証明できない限り公正であることが求められると思います。私は20分の使い方が他のセラピストと違うことで齟齬が生まれたのですが、自分のリハビリの結果よりベッドコントロールができる方が優先されると早い話入院、入所中は事故のないように、病状が悪化しないようにした、四肢それぞれ10分ずつのストレッチで2単位残り1単位で歩行訓練という図式であれば公正さを保てるし、利益も上がり、利用者さんも満足されるのが現状ではないでしょうか。
            ただ自分のリハビリの結果を証明するためにはカンファ等で本人はもとより家族やケアマネ、他職種へ発信しなければ伝わらないでしょうしそのためには、20分の個別リハをストップウォッチで測ることができるようなものにしなければ、カンファへの参加の時間の確保もできないと思います。特に経験の浅いセラピストはそうだと思います。
            自分は最初で言ったように20分=1単位の量的評価を辞めない限り、触らないリハビリは実現しないように思います。FIMなどの客観的評価が導入され始め、量より質がしっかりと評価されるようになれば”触らないリハビリ”とうい概念が重要なことに業界が気付くと思います(私も触るリハビリを否定しているわけではありません)。
            因みに上で述べた方の調理に関しては、食事の材料費と調理器具はは自分が出して、感染などが起きないよう食べるのはあくまで自分にしていました。

          • パラダイムシフトさんへ

            ここでパラダイムシフトさんが書かれているのは、触らないリハビリのことというよりも、組織の中でどのように行動すべきかみたいなことなのかもしれませんね。

            きっちり20分はかるかどうか、カンファの時間を確保すること、個人で出来ることもあれば事業所の方針や、リハ部の方針などもあると思います。パラダイムシフトさんの立場がどのようなものかはわからないけど、組織の中で仕事をしているなら、組織の中で動かなければならない部分もありますよね。その中で自分のやりたい方向性があるなら、その方向性を認めてもらうような働き方も必要かなと思います。

            それが難しいなら組織から離れることも一つの方法かもしれませんね。

  2. バイアス より:

    老健の通所リハでご利用者さんと関わっている作業療法士です。
    いつもコラムで学ばせていただいています。
    私は公平でなくて公正であるように関わっていけるようにしてます。
    なかなか平等、公平は難しい。

  3. パラダイムシフト より:

    私は北斗の拳が好きで北斗神拳の究極奥義の中に「天破活殺」というのがあります。触れずして秘孔をつく技なんですが、歩行が目的で心身機能に限って言えば自分が関わったほとんどの患者さんや利用者さんは歩行不能と言われた状態から何とか歩くことができられています(今のところ)。もちろん最初はどんな疾患にせよ身体に触れて歩行の形を作っていきますが、自立の芽が出てくればほぼ触らず日頃どの関節をどう動かすか、どういう姿勢をとるかなどを一緒に考え、実践できるようになったら買い物や調理などその人が目指す活動の訓練を行うようにしています。病院時代は訓練室だけの評価だったので、自分の行ってきたリハビリが在宅生活でどのように発揮されてるのかを知りたくて介護保険に移ってきました。老健では上に述べたような感じだったので出てゆき、今は短時間2回転の通所介護で管理者しています。
    2015の改定があったとき、ある勉強会の資料で、これからのセラピストの在り方を記したものがあり、そこにはこれからのリハビリは直接実施する必要がある方にのみ提供し、それ以外は本人や家族、他職種へ訓練や生活内容を示しそれを定期的に評価するという文言をみて触らないリハビリという言葉を意識するようになり、山田さんのコラムに行きつきました。
    自分としては今年ケアマネ資格を取得し、ケアマネさんや他職種、他事業所の方たちと地域包括ケアシステムについての思いを共有しているところです。ただ色々な方たちとお話しして思うのは現実的に利益が追及できなければ事業所などからは必要とされないし、セラピストとして活動しようと思えば選択肢は病院か老健というのが大多数ではないでしょうか。私は他人の悪口を言うのが大好きなのですぐ言ってしまいますが、我々の業界を支えるシステムが変わらない限りはどんなに良い考えをもっているセラピストも活かすことはできないと思います。
    毎回長々とくだらない話ばかりしてすいません。これからも山田さんの活動を応援しております。

タイトルとURLをコピーしました