先週ようやくQ&Aが出されたことで、少しずつ加算の算定要件などの概要がわかってきました。ここでは、公開されている情報と私見をもとにして生活行為向上しリハビリテーション実施加算の算定要件や研修会の必要性について書いてみた。
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生活行為向上リハビリテーション実施加算のセラピストの要件と研修会
算定要件は次のようになっている
※ 算定要件等
○ 指定通所リハビリテーション事業所が、生活行為の内容の充実を図るための目標及び当該目標を踏まえたリハビリテーションの実施内容等をリハビリテーション実施計画にあらかじめ定めて、利用者に対してリハビリテーションを計画的に行い、指定通所リハビリテーションの利用者の有する能力の向上を支援した場合には加算する。○ 次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
(1) 生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識若しくは経験を有する作業療法士又は生活行為の内容の充実を図るための研修を修了した理学療法士若しくは言語聴覚士が配置されていること。(2) 生活行為の内容の充実を図るための目標及び当該目標を踏まえたリハビリテーションの実施頻度、実施場所及び実施時間等が記載されたリハビリテーション実施計画をあらかじめ定めて、リハビリテーションを提供すること。
(3) 当該計画で定めた指定通所リハビリテーションの実施期間中に指定通所リハビリテーションの提供を終了した日前1月以内に、リハビリテーション会議を開催し、リハビリテーションの目標の達成状況及び実施結果を報告すること。
(4) 通所リハビリテーション費におけるリハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)を算定していること。
○ ただし、短期集中個別リハビリテーション実施加算又は認知症短期集中リハビリテーション実施加算を算定している場合は、算定しない。
この中で多くの理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が注目しているが
又は生活行為の内容の充実を図るための研修を修了した理学療法士もしくは言語聴覚士
これに対しての解釈であろう。ようやくQ&Aが出てそれが明らかになった。
生活行為向上リハビリテーション実施加算要件のセラピストとは?
Q&Aの問105にそれが書かれている
まず
専門的な知識若しくは経験を有する作業療法士とは単に地域リハビリテーションに従事した経験があるということを指しているのではないようだ。
Q&Aの問105に対しての回答の中で、この要件を満たす作業療法士として
生活行為の内容の充実を図るための専門的な知識や経験とは、例えば、日本作業療法士協会が実施する生活行為向上マネジメント研修を受講した際に得られる知識や経験が該当すると考えている。
と書かれている。現時点では、日本作業療法士協会が主催する生活行為向上マネジメント研修会を受講している作業療法士が該当するようだ。
また、理学療法士や言語聴覚士が受ける研修会としては
例えば、全国デイケア協会、全国老人保健施設協会、日本慢性期医療協会、日本リハビリテーション病院・施設協会が実施する「生活行為向上リハビリテーションに関する研修会」が該当すると考えている。
と書かれています。
すでに、これらの団体のホームページによると団体ごとに研修会の開催がどんどん決まっています。
それぞれに研修会の開催予定が掲載されています。
リハビリテーションマネジメント加算II(2)も加算要件
多くのセラピストや事務系の管理職は、加算を算定するのに必要な要件の研修会に目がいっているようであるが、生活行為向上リハビリテーション実施加算を算定するにはリハビリテーションマネジメント加算II(2)を算定していることが前提である。
通所では毎月リハビリテーション会議を開催
リハビリテーションマネジメント加算II(2)を算定するには1月に1回以上のリハビリテーション会議を開催する必要がある。しかも、その会議には本人・家族を加えるとの記載がQ&Aにはある。この記載は当初の資料には書かれていなかった。
利用者及びその家族を基本としつつ、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、居宅サービス計画に位置付けた指定居宅サービス等の担当者その他の関係者が構成員となって実施される必要がある。
しかも、リハビリテーション会議を通所リハ施設外で行う時には、その時に施設外に出ているセラピストを通所リハビリ運営に必要な人員基準に含めることができないと読み取ることができる記載がQ&Aある。
リハビリテーション会議の実施場所が事業所外の場合は、提供時間帯を通じて専ら当該通所リハビリテーションの提供に当たる従業者が確保されている、又は、専らリハビリテーションの提供に当たる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が1以上確保され、従業者以外の人員がリハビリテーション会議に参加する場合は含めなくてよい。
通所リハビリテーションのためにリハビリテーションスタッフがカツカツで運営しているような事業所の場合、通所リハを提供している時間帯に外出することができない。だから、施設外でのリハビリ会議開催が難しくなる。
さらには、リハビリテーションマネジメント加算II(2)では利用者の居宅訪問が必要とされているが、その居宅訪問についても訪問時間については通所リハの人員に含めることができない。
訪問指導等加算と同様に、訪問時間は、通所リハビリテーション、病院、診療所及び介護老人保健施設の人員基準の算定に含めない。
となっている。
リハビリテーションマネジメント加算II(2)を算定するために実施しなければならない、リハビリテーション会議や居宅訪問で通所リハビリテーションに配属されている理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が施設外に出てしまうと、人員基準の算定に含めることができない。
そうなると、人員に余裕のある施設でしか算定が出来ない。カツカツでは通所リハビリテーションのサービス提供時間帯以外に行う必要がある。そんな時間帯には他事業所の関係者が集まらないだろうから、人員カツカツの事業所では算定そのものが難しくなる。
サービス担当者会議の合わせ技でも可能
出されているQ&Aではサービス担当者会議に合わせてリハビリテーション会議を開催してもよいとの記載が出ている。
だが、これまでも十分にサービス担当者会議に参加できているとは言えないのが、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士だ。しかも、リハビリテーション会議では、参加するだけではダメなんだ。
リハビリテーション会議を主催すべきなのは加算を取っている通所リハビリ事業所や訪問リハビリ事業所だ。単に情報収集するだけではなく、
介護の工夫に関する指導及び日常生活上の留意点に関する助言を行う
きちんと利用者の状況を分析評価して、助言をする必要がある。だから、セラピストが欠席するようでは成立しないだろう。
セラピストが行う助言ってなんだ
リハビリテーションマネジメント加算II(2)では他サービスを提供している事業所のスタッフに対して必要な助言を行う必要がある。
上着の着衣に時間がかかるけど、10分くらいかけると着ることできますよ
さて、こんなアドバイスを訪問介護のヘルパーさんにするとどうだろう?
ヘルパーさんは手伝うことが仕事と利用者から考えられている。いくらリハビリのスタッフからの助言とはいえ手伝うことなく「10分間上着の着衣を黙って見ているだけ」という訳にはいかないだろう。
着衣の自立を目指すために介量を減らすのだけど、単に見ているだけではなく積極的に介入できる部分と、介入しない方が効果的な部分をもっと分析して伝えないとだめだと思う。
他職種の役割をしっかりと理解したうえでの助言が必要になる。
特にヘルパーさんたちは限られた時間で多くの業務をこなさなければならないことが多い。その中でどのようなアドバイスをして協業するのかってことが重要になる。
こんな状況で、生活行為向上リハビリテーション実施加算を算定する施設はどれくらいあるのだろうか?
加算を取るならこうすべき
生活行為向上リハビリテーション実施加算やリハビリテーションマネジメント加算II(2)を算定するのに理想的なのは
- リハビリテーション会議に参加したり、居宅訪問する管理職的な理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を配置する
- 上記のリハスタッフは他のスタッフと利用者の情報を共有する
- 上記のリハスタッフは人員基準に含めずに訪問リハや通所リハ業務を運営出来る体制をとる
- 上記のリハスタッフは所属事業所の医師とかなり密な連携を取り、リハビリテーション会議を主催する
- 上記のリハスタッフは医師が利用者や家族に説明し同意を取る場面に同席して、一緒にリハビリテーションに関しての説明を行う
マネージメントを一手に引き受ける人材を配置しない事には、加算を算定するのは難しいと思います。その為の優秀な人材がいますか?
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コメント
急なメールで失礼しております。
先日はありがとうございました。
生活行為向上リハ加算(研修)についてどうしても分からないことがあります。
①平成28年度の研修会が、まだどこの協会も開催予定されていないこと
②デイケア協会・老健協会・リハビリ病院協会などの研修会と作業療法士協会の研修内容が違い、作業療法士協会の研修会が非常に細かく28年度からは、算定すなら、基礎と実践を統合された研修に合格した者しか算定できない・・・的な内容が記載されていましたが、
今後、生活行為向上リハ加算を算定する予定があるなら、OT協会主催の研修に合格しないと
従来の他協会主催の2日間で終了する研修では算定できないと言うことなのでしょうか?
お忙しい中、いきなりの無知な質問ですいません。
やすおか りょうすけ さんへ
コメントありがとう。
平成28年度の研修会の件について
現時点で開催日程が公開されていない点については、僕が研修会主催しているわけではないので理由はわかりません。定期的に関係団体のHP見るしかないですよね。
これについては、加算の研修会が始まる前(平成27年4月位以前)の研修内容と、加算の研修会始まった後(平成27年4月以降)の研修会で内容が少し変わってるからこのようなアナウンスをOT協会はしてるんだと思いますよ。古いスタイルのOT協会の研修会を受けただけでは平成28年度以降は算定できないってことじゃあないのかな?(確かなことは協会に問い合わせてください)
僕は加算の紹介をしていますが、僕が何でも知っていて、研修会の開催などを仕切っているわけじゃあないんですよね。
だから
不安なら、研修会受講にあたって主催団体さんに直接問い合わせて「受講後は算定可能ですか」と確認してください。
基本的にはOT協会以外の団体主催であっても「算定は可能です」
貴重なご意見ありがとうございました。
協会等へ尋ね見解と相違がありましたらまたコメントさせて頂きます。