担当しているALS(筋萎縮性側索硬化症)の利用者さんやその奥さんとお話していると、実は僕は担当セラピストとして気付いていなかった【祖父としての役割】を果たせているということを知ることになった。介護保険の改定で話題となっている「活動と参加」に絡めて、そんなことを書いてみた。
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こんな利用者さん
ALSなので、現在は呼吸器も付けていますし随意的に動かせることのできる部分はほとんどなく、額につけたセンサーを用いてパソコンの操作を「伝の心」というソフトを用いて行われています。
私はIT関連が得意な作業療法士なので、関節拘縮の予防と合わせてパソコンの操作の練習や「伝の心の設定」を行ったり、新しいソフトの設定とかその使い方の練習などを行っています。
奥様との簡単なコミュニケーションは、奥さんが質問形式で行いそれに対して本人さんが合図を送るって感じで行い、文字盤などは使っておられません。複雑な事柄を伝えるときは「伝の心」を使います。
テレビの操作なども一応「伝の心」で出来ますが、奥様との呼吸もぴったりなのでテレビ操作などは奥さまがすることも多いかな。
動画サイトなども見ておられるし、radiko等も使いこなすなどなかなかネット得意な利用者さんです。
【祖父】という役割
お孫さんは3人います。
同居はされていないので、子供さんが時々お孫さんを連れてやってくるって感じ。そして、全てのお孫さんはまだしっかりと動けない時期に、おじいちゃん(ALS)のお腹の上にのせられて、おじいちゃんとのスキンシップをされているそうです。
抱っこしたりすることができないから、お腹の上にのせているそうです。
そこまでのお話はよく奥さんから聞いていたのですよね。なかなかいいことしてるんだなって感じでした。
段々と成長する孫
おじいちゃん(ALS)のお腹の上にのせられて成長した孫がどうなっていくのかってことを先日奥様から伺いました。
どうなると思いますか?
這い這いとかするようになると、さすがにおじいちゃんのお腹の上にのせることはできないし、呼吸器にいたずらしようとするので時期的に大変な時期はあるそうです。
だけどその時期を過ぎると、呼吸器をつけたおじいちゃんのお部屋で孫と二人っきりにさせても、孫が不安がったり嫌がったりすることはなくなるそうです。
もちろん呼吸器にイタズラすることはありません。
そうして、おじいちゃんが「伝の心」で音を鳴らしたり、メッセージをパソコンの画面に表示させたりすると、成長した孫がその内容を別室にいるお母さんやおばあちゃんに伝えに行ったりするそうです。
孫の面倒を見るという役割
そう、これって孫の面倒を見ることができているってことですよね。
だっておじいちゃんのお部屋でおじいちゃんと二人きり。それで何ら問題は発生していない。
コミュニケーションは伝の心で伝えることができるし、テレビのチャンネルを孫向きのものに替えてあげることもできる。そうしてしばらく孫と二人で過ごすことができている。
「祖父」としての【役割】を果たせているのではないでしょうか?
私は「伝の心」の操作や設定を中心にコミュニケーションに対しての支援を行っていますが、それを用いてこのようなかかわりをお孫さんとされているってことは、作業療法士の関わりが祖父としての役割の一部に貢献しているってことなんではないかと実感したのです。
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