2019年12月16日追記
病院で働いているセラピストは是非読んでほしい。あなたの担当している患者さんは退院してから老健や訪問や通所のリハビリの担当者に対して「病院と同じリハビリをしてください」って伝えている現実があるってことを知っていますか?そんなことを書いてみた。
※このコラムは作業療法士のやまだが、地域で働いている立場から、病院で働いているリハビリテーション専門職に対して書いているコラム・メッセージです。リハビリテーションを受けておられる患者さんを批判しているわけではありません。日本のリハビリテーションシステムに対しての個人的見解です。リハビリテーションを受けておられる患者さんが自分のやりたいリハビリを受けるということを否定している記事ではありません。
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知ってますか?この現実を!
- 病院から老健に転所してくる
- 退院後に訪問リハビリを開始する
- 通所リハビリ(デイケア)を利用する
回復期リハビリテーション病棟を中心に病院で理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のリハビリテーションを受けておられた方が、退院して自宅の近くでリハビリテーションを継続したいと考えるのは当たり前。だから、地域リハビリテーションの最前線である、老人保健施設や訪問リハビリや通所リハビリテーションなどのサービスを利用する。
だけど、その初回評価とかオリエンテーションとかで、けっこうな割合で利用者さん本人や家族さんから言われる言葉がこれだ。
- 病院と同じリハビリテーションをしてください
- 病院と同じくらいのリハビリテーションしてください
この言葉にはだいたい二つの意味があって
ひとつは、「リハビリテーションの内容とかプログラムは病院の時とだいたい同じものがいい」ってこと。もう一つは「病院では毎日リハビリテーションを受けていたから、なるべくたくさんしてほしい」っていう意味が込められています。
以前にも
毎日「リハビリ」と言う問題について
っていう記事にも書いたが、退院後に病院で実施されているような時間とか頻度のリハビリテーションサービスを利用することは今の制度ではほぼ不可能だ。
だけど病院のリハビリテーション専門職は、そんなことも伝えずに患者さんのリハビリテーションを実践しているでしょう。
同じリハビリって何?
同じリハビリをしてください
っていうニュアンスは、何を伝えているのかな?
病院で実施するリハビリテーションと、地域リハビリテーションの現場で展開しているリハビリテーションはそのベースになっているものが少し違うことがある。
特に回復期リハビリテーション病院などを退院してきた患者さんの場合
- 発症からの時期も違う
- リハビリテーションの時間や頻度、回数も異なる
とくに発症からの時期が異なっている。地域で見るときには発症から期間が経過していることが多い。発症からの期間が経過していても心身機能が回復することはあるが、回復期リハビリテーション病棟に入院していた時期のそれと比較すると回復の幅とかは小さくなることが多いし、回復するとしてももう少し長期的な期間が必要となる場合もある。
だから、病院と同じリハビリテーションアプローチが効果的ではない場合もある。
そもそも病院と同じリハビリって何なんだ
例えば
具体的に実践したい活動や課題がある場合
○○ってことやりたいので、それに対してリハビリしてほしい
ってなるよね。
だけど、「病院と同じリハビリしてください」ってことは、リハビリテーションを受けることそのものが目的になっていることが多い。
そういうニュアンスを伝えてくる患者さんやご家族さんがさしているリハビリテーションっていうのは
徒手的に体を動かしてもらったり、さすったり揉んだりしているようなこと。介助して体を動かしてもらうこと
ってことが多い。
だいたいメニュー的なものがあって「こんな動作」を5分くらいして「あんな運動や動き」を10分くらいして、そのあと「介助して体を動かしてもらうこと」を20分くらいする。
みたいな感じでコースになっていることが多いね。
だから、老健や通所や訪問でそれをしてほしいって伝えられることが多い。
なんでやねん?
病院と同じリハビリがいいなら、病院で続けてほしい。だけど入院期間が決まっているのでそれは無理だ。
だけど、この「病院と同じリハビリをしてください」問題は
患者さんに問題があるのてはなくて、こんな風なことを退院後に言わせてしまう病院リハビリに問題がある
と考えています。
おそらく、病院で働いているリハビリテーション専門職の多くは
退院後に病院と同じようなリハビリテーションをする必要はないと考えている。だけど、そのことを伝えているセラピストは少ない。また、退院後にどのような見通しをもってリハビリテーションに取り組むべきかということをしっかりと考えて患者さんに伝えている人は少ない
今の時代、退院後にリハビリテーションを継続する可能性が高いということはなんとなく病院のリハビリテーション専門職も理解しているでしょう。
だけど、退院後にリハビリテーションを継続することを前提として「病院でやるべきこと」「退院後に地域でやるべきこと」を意識しているセラピストは少ない。
退院後にどんな生活をするのかってことを具体的にイメージできていないでしょう。
退院後のことは次に出会うリハビリテーション専門職と考えてねって人が多いのが現実なんですよね。
あまりに無無責任だと思う!
すこし長くなりそうなので、続きは別の記事に書きます。
⇒病院と同じリハビリ問題2「なんでこんなことになるのか?」
⇒病院と同じリハビリ問題3 「退院後のことまで考えた病院リハビリの実践が必要」
⇒【動画】「病院と同じリハビリをしてください問題」をご覧になった方へ
こんなお話をリアルに聞いてみたい方はこちらからどうぞ
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