2022年9月22日に開催された大阪府訪問看護ステーション協会の研修会に運営スタッフとして企画から関わった。
3回目となる研修会で、今回のグループワークで出た意見の一つが、「担当制」についてのメリットデメリットみたいなご意見。
訪問看護ステーション協会の研修会なので、看護師さんもご参加されています。
訪問の看護の場合は多くは複数担当制であることが多く、計画書や報告書の担当は決まっていても、一人の利用者さんに看護師さんが単独でずっとかかわるということは少ない。
だけどリハビリテーションの多くはセラピストが複数いるような事業所であっても、個別担当となることが多い。
訪問業務だけじゃなくて、病院でも通所系の事業所でも同じような弊害はあると思う。
個別担当制の弊害
一番困るのは、退職などでケースを引き継ぐときや、担当スタッフがお休みで代行で訪問するときなどで
リハビリテーションの中身が全く違うから元の担当に戻してくれ
みたいな感じで言われることかな。
グループワークではマッサージ中心の前担当者のケースを引き継ぎ、運動能力が高いので運動系のプログラムを中心にしたらクレームが来たとか、その逆のパターンもあったりもするようです。
提供されるプログラムの内容を事業所として普段から情報を共有しおくことを怠っていると、こんなことになるのかな。
病院でやっていたリハビリテーションをそのままして欲しいっていうのも、入院時のリハのシステムが個別担当制であれば、退院後のリハではよくある話。
担当が変わったり、病院から生活期に移行した時に担当したセラピストのリハの手段やアプローチのほうを気に入ってくれる患者さんもいるけど、過去の担当者の手段やアプローチを気に入っている人もいるので悩ましい所。
なんでこうなるの?
看護師さんの場合は、処置のことや薬のことなど比較的医師から細かな指示が出ることが多い。
それに比べると、リハの指示の多くは「リハビリ進めてください」みたいな感じが多い。
訪問看護のリハの指示書であれば「週〇回、〇分」の記載さえあれば問題ないわけだ。
どんなリハビリテーションの内容を実施するかという部分がセラピストに任される。
その任される相手によって提供されるプログラムは大きく変わることが、弊害になることもあるんだろうと思います。
SNSなどでは、
しっかり考えてプログラムを提供しているセラピストよりも、何も考えずモミモミと世間話だけで40分終わっているセラピストのほうが利用者さんからウケがいい
みたいな話題をよく見かける。
PTOT法には、PTの役割としてマッサージとの記載はあるので、モミモミ行為がマッサージなら問題はないのかもしれないが、ずーっとやり続けるのはどうかと思う。
特定の手技への批判などもあるが、そういったことも含めて、リハビリテーションは担当者の判断により提供されるプログラムが大きく異なることがあるというのが、この業界の課題なのだろうと思う。
事業所としての方針が必要
病院でも訪問系の事業所であっても、リハビリテーションの提供にあたっては、どのような方針で実施するのかという部分についてしっかりとしたコンセプトや指針を作るほうが良いと考えている。
個人的には、訪問看護のリハや病院や診療所の訪問リハにおいては、事業所の指針を明確にすべきだ。
- 病院とは異なり在宅で提供すべきリハとはいったい何なのか?
- 事業所としてどのようなリハビリテーションを提供するのか!
この部分については、事業所の管理者さんも含めてしっかり検討して方針を決定するほうが良いと思う。
訪問看護ステーションで、リハ職を在籍させているほうがケアマネさんからの依頼も増えるというような感じで雇用している事業所もあるようですが、診療報酬改定や介護報酬改定の流れを見ていると、地域でどのようなリハビリテーションを提供すべきかということをきちんと吟味していない事業所はこれから生き残れないと考えています。
地域のリハビリテーションにおいては以下のようなスライドのことをしっかりと吟味しながらのリハビリテーションの提供が必要だと考えているのが私の主張です。
訪問看護のリハのことについては、以下の動画でもいろいろお話していますので興味ある方は是非ご覧ください。資料のダウンロードはどなたでも可能です。
- 2022年度から始める訪問看護ステーションにおける「新しいリハビリテーションの形」
- リハビリテーションの今と予測できる未来の話とこれから実践すべき訪看リハの話
- 「リハビリテーションマネジメントについていろいろ考えていること」
私は非常勤掛け持ちの作業療法士であり、コンサルタントなどではありません。
しかしこれまでの経験を活かしながら、病院のリハや生活期領域のリハ関連部門に対して、これからのリハビリテーション部門の在り方などに対してアドバイスや助言をすることはできると自負しています。
収益を上げるための助言はできませんが、より良いリハビリテーションを提供するためにはどうすればよいかということを、一緒に考えることはできると思います。
興味ある方はお気軽にお問い合わせください。
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