理学療法士も作業療法士も移動手段とか歩行のことをどう考えているんだろうって、参加している症例検討で考えたのでそのことを書いてみる。理学療法士が目指す歩行能力が、必ずしも本人にとって実用的とは限らないってこと。
これは私がサポート業務としてかかわっている中でアドバイスしていることをまとめています。
⇒サポート業務のこと
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院内での移動
看護サイドから見れば、院内で安全に移動することができるかどうかの評価を理学療法士や作業療法士に対して期待している。
特に入院直後の移動が安全に行えるかどうかってことは、転倒予防という視点でも必要だ。
だから、車いすを使えるのかどうか、歩行器のほうが良いのかどうかってことを評価する。
またどのような手段を用いた移動であっても、1人で行えるのか介助や見守りが必要なのかっていうことの評価も必要になる。
マンパワー的なことを考えると、見守りも介助も1人分の人員をそこに割くことになるから、一人で出来ることなのか、そうでないのかの差は大きい。
だからこそ実用的な移動手段の獲得というか、見極めは必要になる。
症例検討会のケースは
院内での移動手段は車椅子だが実用性がなく介助してもらっている。理学療法士は歩行器を用いた歩行を練習しているが、見守りが必要で一人での歩行器移動は危険。症例検討会は作業療法科であったけど、作業療法士は起き上がりとか移乗動作に焦点を当ててアプローチしていた。
だからその時点で、安全に実用的に移動できる手段を持っていない。結果的に臥床で過ごすか、介助して車椅子に移乗したのち車いすでじっと過ごすかというような病棟生活を送っている。
しかも、退院後は施設入所予定。その施設に歩行器があるのかどうかは確認できていなかった。だけど退院予定は一か月後。
実用的な目標設定がない
理学療法士は退院先で歩行器が使えるのかどうかも確認せずに、歩行器歩行の自立を目指している。だけどその時点では実用性は低い。移乗も車いすでの移動も実用性が低いから、結果的に活動性の低い日常。
退院先は施設になるので、自分から動かなければ活動性が低い状態は継続してしまうことは容易に予想できた。
だけど、その時点では実用的に移動できる手段の検討はされておらず、退院後の移動手段の検討などは皆無であった。
このケースの活動性が低いのは移乗も含めた移動手段がないためであり、座位で出来そうな活動はいくつかあった。
僕が提案したのは雑誌とか新聞を坐って読んだりすること。極端な意欲の低下もないから、提案すればいろいろなことをやってくれそうな方でした。
早期に移動手段の獲得
残り1カ月の入院期間での最大の課題なのに、実用的な移動手段を持たずに、歩行器練習する必要性がわからない。
病棟と協力して電動車いす導入
ケース検討会終了後、リハサイドと病棟の看護師さんが話し合いを持った結果、ヤマハの電動車いすを導入してみることが決まった。何より病棟サイドで師長さんが積極的に協力してくれたのはありがたいことだ。
1週間ほどの練習で、院内の移動が可能になりました。施設転院後も同じタイプの車いすを使うことができるように転院先や担当のケアマネさんと協議をするとのことでした。
入院中のリハの限界と実用的な目標
このケース、検討会に上がらなければ延々と歩行器歩行の練習をして、転院先では車いすでじっとしている生活を送っていたでしょう。
理学療法士や作業療法士の目標設定の基準が、院内の生活にしか着目していないんですよ。
1人で歩けないから、歩行器で練習するというような安直な目標設定。
しかも退院予定が近づいてくるのに達成できそうにないにもかかわらず、目標の変更もしない。
きっと多くの回復期リハビリテーション病院でこのようなリハビリテーションが展開されているのではないでしょうか?
リハビリテーション専門職が考えた、独りよがりな目標設定。
病棟内や施設内での過ごし方というような視点が全くない。このケース電動車いすを操作できるようになった結果、病棟ナイトの看護師さんとの会話も増えたそうです。表情も良くなったらしい。
活動と参加が大事だって言っても、実用的な中身をことを検討もできないようなセラピストが多い。
現在立案している治療目標は、現実的ですか?
その目標設定は患者さんにとって必要なのかどうかを本人に確認してみましたか?
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