活動と参加へのアプローチには、理学療法士も作業療法士も言語聴覚士も試行錯誤しながら取り組んでいる。
ADLへのアプローチなら、具体的に項目や目標を列挙できる。
- 更衣動作
- 食事動作
- 排泄動作
- 整容動作
- 起居動作
わかりやすいし考えやすいからこのことにアプローチしているセラピストは非常に多い。
しかし、活動と参加のアプローチというものは患者さんや利用者さんの個別性に基づいて展開されるので、ADLのようなアバウトな目標ではない。
例えば、更衣動作であれば
TPOに合わせた対応ができるのかということまで考える必要がある。ワイシャツやネクタイのことまで考える場合もあれば、和装へ挑戦することも必要になるかもしれない。単なる前開き と かぶりシャツの練習だけをしていればよいというわけではないのが、活動と参加へのアプローチだ。
興味関心チェックリストのこと
だから、より広範囲なアプローチを考えるために、患者さんの興味ある活動を知るために「興味関心チェックリスト」がある。
だけど興味関心チェックリストを使ってもすべての活動を網羅できない。
「興味・関心チェックリスト」と活動と参加
興味関心チェックリストで満足していては活動と参加にアプローチできません。
だからこそ、体験や経験を蓄積することが必要です。
活動と参加を蓄積する
経験の浅いセラピストには活動と参加へのアプローチが無理だといっているわけではない。
世の中には無数の活動と参加があるわけだ。だから自分が担当した患者さんや利用者さんの、これまでの経験や体験から学ぶことが必要だ。そんな中から自分がアプローチしたことを蓄積することも必要だ。
サラリーマンの患者さんの就労支援に関わったとして、サラリーマンとしての経験がないセラピストであっても、本人さんから話を聞いたり家族から話を聞いたり、会社の人から話を聞いて仕事の中身を評価しながらアプローチする。
そうすることで、経験や体験を蓄積することができる。
次に、同じ年代の患者さんを担当すれば頭の中に「就労支援」というキーワードが出てくるはずだ。
そうすれば、そこへの関わりに早くからスタートを切れるかもしれない。
先日新規で担当した患者さんの手を見て感じたのは
骨太でごっついてをしてはるなあ、柔道とか格闘技とかしてたのかな?
もしそうだったら、そこに取り組むリハビリテーション展開できるかもしれないからね。
本人さんに格闘技してた経験ありますか?と確認したところ
「そんなんしたことない」
っていう回答。だけどよくよく話を聞くと、鉄鋼関係の現場仕事をしていてかなりの力仕事だったということだったので納得した。
私は以前格闘技をしていたから手がごっつくなったというケースを担当したことがある。だからその経験から、手が大きく骨太のケースを担当すると必ず、趣味とか若い時に何をしていたのかってことを確認するようになった。
色々なケースを経験したり、患者さんの体験から学ぶということを蓄積してきたから、いろんな視点で対象者を評価できる。
定型的な興味関心リストだけでチェックするのではなくて、活動と参加へのアプローチに必要な自分なりのオリジナルな興味関心チェックリストを自分の頭の中に作り上げることも必要なんだ。
経験が浅くても蓄積できる
若手や新人の経験の浅いセラピストは蓄積する量は少ない。
だけど、それをカバーすることは出来る。
先輩や同僚のケースの事例から学ぶことは出来るはずだ。
今自分で担当して悩んでいるケースと同じような人はいないかもしれない。だけどほかのセラピストがアプローチしているケースからも学べることはたくさんある。ほかのセラピストが担当している患者さんの人生体験や経験からも学ぶことはたくさんある。
きちんとした事例検討会でなくてもいい、昼休みとかちょっとした時間にも他のセラピストの担当しているケースのことを知る努力をすることは必要だと思う。
それと、自分の担当したケースをきちんと振り返ることも必要だ。
- 自分の実施した評価と目標
- アプローチ
- 結果
そういったことを簡単でもいいからまとめる努力をしてほしい。1カ月に1症例振り返れば年間に12症例。1カ月に2症例振り返れば年間で24症例。
活動と参加へのアプローチを実践すること、それを蓄積することが必要。
アプローチしたことがない人はいつまでたっても蓄積できない。だから難しいと感じる。
難しいと感じるなら、とりあえず最初に一歩を踏み出すことだ。
そういったコツコツとした積み重ねが活動と参加へのアプローチには必要だと感じる今日この頃。
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