リハビリテーション業界で最も注目されているであろう、訪問看護ステーションからのリハは減算となりました。そんな情報が出たところ、SNSでは訪問看護ステーションでのリハを看護師さんも実践する方がいいのではないかというご意見に対して、私なりの意見をXに投稿しました。
訪看リハ
看護師さんに指導というか教育というか伝えることで、看護師さんが対象者さんにリハビリテーションを実践することはできる。… pic.twitter.com/I8kzKxvBpo
— 山田 剛(50代の非常勤掛け持ちOT&個人事業主) (@yamada_ot_labo) January 23, 2024
もしかしたら、看護師さんや介護職さんがリハビリテーションを実践するという事に対して違和感を感じるセラピストも一定数いるのかなと思ったので、そのことについて私の考えを書いてみたいと思います。
リハビリテーションに対しての基本的な考え方
上記のXのポストでも書いたのですが、
- 理学療法士が提供するのは理学療法
- 作業療法士が提供するのは作業療法
- 言語聴覚士が提供するのは言語聴覚療法
であって、リハビリテーションのすべてではないのです。
介護報酬の資料の中にも以下のスライドような文言があります。
リハビリテーションは多職種で実践すべきものなんです。このことをきちんと理学療法士や作業療法士、言語聴覚士さんたちは理解しておくことが必要です。
訪問看護と訪問介護
週1回の勤務を10年間続けた事業所でのことです。訪問看護ステーションに勤務していましたが、併設で居宅介護支援事業所、訪問介護事業所、福祉用品貸与の事業所などがありました。
お昼休みお弁当食べていると、訪問介護のスタッフさんたちが
「○○さん最近おむつ交換に時間がかかり大変」
と話していました。そのケースは私も担当している方。詳しく話を聞くと、
「やまださんに教えてもらった方法で介護しているけど、関節が硬くなってきていて少し大変」
私も訪問で可動域訓練をしているのですが、訪問介護のスタッフさんはちょっと苦労しているとのことなので、おむつ交換の際の姿勢とか、下肢の動かし方の方法について色々と意見交換し、新しい方法を決めました。
それ以降大変とは聞いていないので、その方法が合っているようでした。
継続して介護スタッフさんに実践してもらうことで、可動域の維持も行えていました。
作業療法士として担当ケースのリハを実践していますが、生活のすべてをきちんと評価でいているわけではありません。このケースのように、訪問介護のスタッフさんの話を聞くことで、より生活に根差した介入を検討することができるし、自分が評価しきれていない部分の活動について話を伺い対応できたことは、多職種連携の在り方の一つですし、おむつ交換で下肢をしっかり動かしてもらうことは、立派なリハビリテーションだと考えています。
子ども園での勤務のこと
2024年1月現在月1回子ども園さんに勤務しています。子ども園と併設されている児童発達支援事業所の両方にかかわっています。
作業療法士として勤務していますが、子ども園で、マンツーマンリハしてる訳じゃないんですよね。
何らかの支援が必要な子供さんを評価して、子ども園の普段の生活や活動の中で、課題となっている動作の改善の方法を保育士さんと検討しています。
オムツ交換、食事、お着替えの活動をどうしたらよりよいものに出きるのかということを保育士さんと共に考え、ふだんの保育場面で実践してもらってる。私が勤務しているときだけ何かをするのではなくて、普段の子ども園での保育の場面で、保育士さんに実践してもらうアプローチを伝えている。
立位のバランスが苦手な子供さんには壁にもたれてズボンの着替えの練習をしてもらったり、集中できない子供さんには環境を調整してもらったりしています。
作業療法士が勤務しているときだけではなく、普段の保育の現場の中でもいろいろ取り組んで実践してもらっています。
これもリハビリテーションだと考えています。
セラピストだけがリハしてる訳じゃない、作業療法士として介入の方法を考え、普段の生活の場で工夫し実践していただく。
そうすることで、作業療法士が個別で介入すること以上の効果をリハビリテーションとして提供できる。
これもリハビリテーションの多職種連携の一つの在り方だと思います。
セラピストの真似をしてもらうのではない
多職種と一緒にリハビリテーションを実践するといっても、セラピストのまねごとをしてもらうことではありません。
作業療法士としての評価から考えることのできる、アプローチを他職種さんの業務の中にうまく組み込んでもらえるような提案をしたり、多職種の方が困っていることを一緒に考え解決していくことも多職種連携によるリハビリテーションだと考えています。
上図のように、セラピストと看護師の訪問回数で減算となる2024年介護報酬改定ですが、リハの訪問回数を減らして看護師の訪問回数を増やすことを検討している事業所もあるでしょう。
そうして、リハを減らす代わりに看護師が訪問してリハビリテーションを実施することを考えている事業所もあるでしょう。
でもね看護師さんはリハスタッフの代わりではありません。
そもそも訪問看護ステーションにおける理学療法士や作業療法士や言語聴覚士の訪問は
「訪問看護の一環として、看護職員の代わりにリハビリテーションを中心とした訪問看護を提供するもの」
何ですよね。
セラピストの代わりに看護師さんがリハを提供するのではないのです。看護師さんがリハビリテーションを提供することに問題はない。でも、セラピストのまねごとをするものでもないと思うのです。
看護師さんの代わりに積極的なリハが必要だから作業療法士として私が訪問しているのです。
そもそも、看護職員の代わりとしてのリハが必要ないのであれば看護師さんのみの訪問で十分なのです。
普段の連携の結果として、セラピストの訪問と看護師さんの訪問があるのです。
看護師さんのみの訪問でリハも含めて対応できるのであれば、セラピストの訪問は不要なのです。
何を目的に訪問するのかということをきちんと考える必要があると思います。
リハビリテーションの提供
リハビリテーションは多職種連携で進めるものです。
誰もがリハビリテーションを提供できる。そんな中で私は作業療法士としての専門性を発揮しながらより効果的なリハビリテーションが提供できるよう多くのスタッフと協力したいと考えています。
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