リハビリ病院退院後の患者さんの不安

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訪問看護や訪問リハビリに関わっている方やケアマネさんなら必ず経験するのが、退院後の利用者さんに「毎日リハビリしてほしい」という依頼。制度的にはかなり難しいので毎日訪問はできないのですが、なんでそんなことになってしまうのかってことを書いてみた。


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入院中のリハビリのこと

回復期リハビリテーション病棟・病院に入院していると、ほぼ毎日リハビリテーションを受けることができる。しかも40分とか、1時間とかのリハビリを理学療法士、作業療法士、言語聴覚士ごとに受けることができるので、患者さんによっては平日なら毎日3時間のリハビリを受けることができるのが、今のリハビリテーションの制度だ。

入院リハビリの特徴として

  • 専門職が協力して
  • 集中的なリハビリテーション

っていうのに反論するつもりは全くありません。患者さんの立場からしても、リハビリ目的で入院しているのですから、毎日たくさんリハビリテーションを受けることができるのはいいことだと思います。

退院してからの患者さんの不安

毎日、3時間もリハビリテーションを受けるような入院生活が3か月とか4か月とか続く。そうして、入院期間が終わって自宅に戻ったり老健施設に転所したりすることになる。

そのようにして退院した患者さんは、退院後にこんな不安を抱えることになります

  • 毎日リハビリしてたのに、突然やめたら悪くなってしまうのではないか?
  • 訪問とか老健とかのリハビリだけで大丈夫なのか?
  • リハビリって毎日続けるものじゃあないのか?
  • こんな状態で大丈夫なのか?
  • 毎日リハビリテーションしてたから良くなったのに、毎日しなくて大丈夫なのか?

外来に通ってくる患者さんに会ったりしているセラピストなら多かれ少なかれこんな訴えをされる患者さんに出会う経験もあるかもしれません。

でも、回復期リハビリテーション病棟だけに勤務している理学療法士や作業療法士、言語聴覚士のかたなら、多くの患者さんがこんな不安を抱えたまま退院しているという現実をご存じない方も多いのではないでしょうか?

退院後の実際の状況

筆者は作業療法士として働いて24年目のシーズンを迎えています。病院で7年、老健で7年、訪問で10年働いてきました。
その経験から言わせていただくと、

リハビリテーション病院退院後の患者さんが毎日リハビリテーションを受けることができないような状況となっても

  • 急激に状態が悪化することはない
  • 時間はかかるが少しずつ回復していく方もいる
  • 進行性疾患や加齢により少しずつ状態が悪化することはある

80歳の方が10年後に90歳になったら体力も低下するので、ADL能力は低下する可能性が大きい。だけど、退院した直後に機能が著しく低下することはあまりない。

  • 退院直後にADL機能が低下する方の多くは、病院の環境と自宅の環境との違いになじむことができなくて、一時的に残存能力を十分に発揮することができない場合であって、その人自身の能力が著しく低下する訳ではない

患者さんが退院して不安を感じるのは仕方がない。リハビリテーションが必要な状態になるってことは、その人生において大変な出来事だからだ。

だからこそ、回復期リハビリテーション病棟や病院に勤務している理学療法士や作業療法士、言語聴覚士や看護師さんたちには、患者さんが入院している間に何とかして退院後の不安や、リハビリテーションがなくなるという恐怖を軽減するための取り組みをしてほしい。

不安を軽減するための取り組み

まず、入院中のリハビリテーション事情と退院してからのリハビリテーション事情とについて、しっかりと患者さんにオリエンテーションしてほしい。

そのためには、病院近隣の退院後のリハビリテーション事情について理学療法士や作業療法士、言語聴覚士さんたちはしっかりとした情報収集をしていただきたい。

また、退院が近くなってきたら退院後の生活について具体的にどんな風になるのかということをしっかりと考えて、本人や家族さんに伝えてほしい。

また、退院したら当然リハビリテーションは減るのですから、減ってしまったらとーなるのかってことも、しっかりと伝えてほしい。

そのためには、法人内の介護保険部門のスタッフや、近隣の介護保険関連の事業所のスタッフさんときちんと連携することで、退院後の患者さんの生活の様子や状態の変化とかを知る努力をしてほしい。

そうすることで、退院後の患者さんの生活を予測することができるようになるし、より適切なアドバイスを患者さんや家族さんにすることができるようになる。

退院後を考えたリハビリテーション

患者さんのリハビリテーションは、回復期リハビリテーション病棟や病院だけで完結することはほとんどない。

地域で継続して行われる、いわゆるシームレスな取り組みが当たり前のようになりつつある。だけど、シームレスの必要性を考えている回復期リハビリテーション病棟で働く理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は少ない。

自分達の入院リハビリテーションでいっぱいいっぱいのセラピストが多いようだ。

でも、もはやリハビリテーション病棟や病院だけでリハビリテーションは完結しないのだから、その事に早く気づいて目を向けてほしい。

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