小児の領域の教科書の多くは「発達障害の作業療法」とか「発達障害のリハビリテーション」ってなっているものが多いけど、それは正確性に欠くんじゃあないのかなってことを書いてみた。
(スポンサー広告)
「発達障害」という用語の意味の変化
私が学生の頃、えー少なくとも20年以上前は小児領域の授業のタイトルは「発達障害の作業療法」でした。
だけど、2015年現在、「発達障害」という用語はアスペルガー症候群や自閉性スペクトラム障害というような疾患の一群を指す用語として用いられるようになってきました。
「発達障害者支援法」という法律があるのですが、ここで規定されている「発達障害」という用語も自閉性スペクトラム障害やアスペルガー症候群などを指しています。
だから、一般的な教科書や授業のタイトルでリハビリテーション系の学校で用いられている「発達障害の〇〇」っていうのとは少し意味が異なるように思います。ここで言う「発達障害」っていうのは発達する時期のなんらかの疾患や障害が生じることになった方へのリハビリテーションって意味で用いられているはずです。
「発達障害」という言葉の意味が変化してきているので、臨床の場や学生指導するときに用いる用語について変えなければいけないと感じています。
「発達期」という表現を用いています
私が講義を担当している授業では、生まれてから成人するまでの間に生じた疾患や障害に対してのリハビリテーションという意味で用いる用語としては
発達期障害と表現するようにしています。
これは、高齢者の講義としてよく用いられる老年期障害という用語と対で用いることができると考えているからです。また「発達障害」という用語が特定の疾患群を指す用語として一般的に用いられるようになってしまっているので、それと区別するようにしています。
・発達障害
発達障害者支援法で述べられているような特定の疾患群をさす用語として用いる
・発達期障害
生まれてから成人するまでの年齢による障害の区分を指す用語として用いる
このように区別していますし、学生にもこの違いを必ず説明しています。その上で、講義や研修会などで講師が「発達障害」という用語を用いるときにはどちらの意味、ニュアンスで用いられているのかを区別しなさいと指導しています。
専門家だからこそ区別したい
細かなことかもしれませんが、リハビリテーション関係者が古くから使ってきた年齢的な意味合いを指す「発達障害の〇〇」という表現は、現在異なる意味、疾患の一群を指す用語として用いられることが一般的となってきました。
私達リハビリテーションに従事する専門家は、専門家だからこそこれらの用語をきちんと使い分ける必要があると思います。
皆さんは、このような表現についてどのように思いますか?
コメント