訪問リハビリテーションの卒業(終了)に向けた取り組みに必要なことを考えてみた。地域で働く訪問セラピストはまだまだ少数派。だから訪問の事業所は多かれ少なかれこの問題を常に考えているはず。僕の見解をまとめてみた。
※2022年3月9日追記
◆こちらもお勧めです
ホントは病院リハビリに変わってほしい
訪問かどうかに関係なく、リハビリテーションはやがて卒業するべきものなのだと利用者さんやその家族に対して、理解してもらうためにはリハビリテーションのスタート地点である病院のリハビリテーションが変わらなければならない。リハビリテーションはずっと継続するものだというイメージを患者さんや家族に植え付けているのは、病院リハビリテーションだからだ。
だけど、それを今訪問に関わっている利用者さんに対して言うわけにもいかないので、現在の状況に応じた訪問リハビリテーションの卒業への取り組み方について考えてみる。
◆【講義動画2022-2】「2024年の同時改定に向けて病院と生活期のリハビリテーションのコラボに必要なこと
1、リスタートする
すべての利用者さんを卒業・終了させることはできない、簡単ではない。
だから、卒業することのできる利用者さんから卒業計画を立てることが望ましい。
- 要支援の利用者さん
- 整形疾患で比較的回復予後が良好な方
- 虚弱、廃用性など運動機能よりも体力面での回復がメインの方
といったような、卒業につなげることができる利用者さんをまずピックアップすることが必要だ。こういった利用者さんの卒業は道筋を立てやすいし、ケアマネジャーさんの理解も得られやすいからだ。
ここで大事なのは、リ・スタートの発想だ
対象となる利用者さんがいれば、まず一人でもいいから卒業をさせてみる。
そうして、また対象者が現れれば卒業への関わりを開始する。
いつ始めようとかで悩むのではなく、全部の利用者さんを卒業させようとか大げさに考えるのではなく、卒業することが可能な利用者さん一人からまず始めて見ることだ。
ちょうどいい新規利用者さんがいればそこがスタートライン。
リ・スタートの開始だ
そうやって開始すると、少しずつでも卒業させることのできる利用者さんの割合が増えてくる。
1年とか2年単位で行えば、事業所の業務を大きく変化することなく新しい取り組みを始めることができる。
それが、リ・スタート
2、最初が肝心であること
ある日突然、
「そろそろ訪問リハビリを終了にしましょうか」
って担当の利用者さんや家族さんに伝えると、きっと不安になることでしょう。
ずっと訪問してくれると思っていたのに、急に来ないって言われたら不安ですよね。
そう、終了するには最初が肝心なんだ。
訪問リハビリテーションはいつか終了することが前提のサービスなんですよ
ってことをきちんと利用者さん本人や家族さんに伝えなくてはいけない。
つまり、訪問初期のころに、きちんと目標を設定して、その到達時期をあらかじめ伝えて、その時期、もしくは目標を達成した時点で終了であるということを、明確にする必要がある。
そうして、訪問するたびに目標への到達度合いを説明しながら、経過が順調であるかどうかを確認する。
経過が順調であれば、そのたびに
「ここまで来ればあと一カ月くらいで終了できますね」
という風に時期を明確に伝える必要がある。
ここをきちんと伝えずに、毎週毎週決まった時間に訪問していると、訪問することが利用者さんや家族さんの中でルーチン化してしまい生活の一部に組み込まれてしまう。
卒業するサービスだという理解が薄れてしまうのだ。
- 最初にきちんと伝える
- 定期的に到達度合いを確認し、残りの期間をきちんと伝える
こういった関わりをしないと終了という意識を持ってもらうことはできない。
3、ケアマネさんへの意識改革をすること
訪問リハビリテーションが終了しないってイメージを持っているのは、利用者さんや家族さんだけでなく、ケアマネジャーさんもまた同じイメージを持っていることが多い。
だから、ケアマネジャーさんの意識を変えていく関わりも必要だ。
ここでもやっぱり最初が肝心。
初回訪問で利用者さんの評価をして、おおよその訪問期間の目安を立てることが出来たら利用者さんや家族さんだけに伝えるのではなく、ケアマネジャーさんにもきちんとそのことを伝えよう。
訪問リハビリテーションの卒業を目標にして関わっていくということを明確に伝える。
担当者会議、訪問リハビリテーション事業所ならリハビリテーション会議においてそのことを明確にしておく必要がある。
訪問リハビリテーションからの卒業に取り組んでいる事業所は少ないので、ケアマネジャーさんも慣れていない。継続すると思っている。
だから積極的に情報交換したり、リハビリテーションの進み具合を連絡しておくことが大事。
4、多事業所連携での長期的フォローをすること
ここまでの実践だけでは卒業することはできない。
卒業するのに大きな課題は、訪問リハビリ卒業後も利用者さんがその機能を維持することができるかどうかにかかっている。
リハビリ終了しました、でも徐々に状態が悪化しました。
っていうようなら訪問リハビリテーションを卒業することはできない。卒業の時期が早いってことだ。
卒業後もその機能を維持するためには、少なくとも運動や活動の場を確保する必要がある。
通所介護や通所リハビリなどの利用がそれに該当する。
他のサービスを利用開始する、もしくはほかのサービスの利用回数を増やすなどして、訪問リハビリテーションで獲得した機能を維持できるようにする必要がある。
利用者さんの状態によっては、訪問看護師や訪問ヘルパーさんに介護方法を指導することもあるでしょう。
訪問看護師さんにリハビリを依頼することもあるでしょう
そうしてなにより、利用者さん、やご家族さんが自宅で実施することのできるホームエクササイズやホームトレーニングなどを指導する必要があるでしょう。
訪問リハビリで獲得した機能を維持、出来ればさらなる向上を目指すための「道筋」をつけたり、「方向性」をきちんと導き出してあげる必要がある。
「ハイ卒業です」
って放り出すわけではないのである。
5、いつでも再開できるという柔軟な対応をすること
そうして、いったん終了した利用者さんであっても必要に応じて、訪問リハビリテーションを再開できることを伝える必要がある。
終了してから、病気が再発したり、半年後に加齢によるレベル低下があったりすることは想定される。
だから、終了後に状態が変化した場合は事業所宛に連絡をもらったり、ケアマネジャーさんに連絡してほしいってことを本人や家族に伝えておく必要がある。
けっして放り出すわけではないのだ。
このような関わりを1ケースだけでもいいから始めてみる必要がある。
いつかどこかでり・スタートなんだ。
こんな話を聞いてみていって興味ある方はお気軽にお問い合わせください。
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