起き上がりの基本的な介助の方法

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ベッドから起き上がるっていう動作は、離床に必要な動作です。この「起き上がり動作」が自立するってことは、1人で動くことができるってことにつながります。「起き上がり動作」ができないってことはベッド上にずっといることになります。自分で動きたいときに動くためには、「起きる」「起き上がる」ってことが必要になるんですよね。だから、早期から起き上がりの練習をしたり、起きることが難しい患者さんに対して介助する必要があります。そんな「起き上がり動作」のことを書いてみました。ベッドからの起き上がりのリハビリ、起き上がりの介助、起き上がりの練習の参考になるのではないでしょうか?


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ベッドからの起き上がり動作

臥床している状態から、ベッド上端坐位をとるまでの動作をここでは「起き上がり動作」として書いています。だから、臥床している姿勢から端坐位の姿勢になるまでの動作としては

  • 上体を起こす(腰から上を起こす)
  • 体の向きを変える
  • 下肢(足)をベッドから下ろす

この3つの動作が必要になります。起き上がりの介助をする、起き上がりを練習するにはこの3つの動作を組み合わせるってことになるんですよね。ワンアクションっていうか、簡単な介助でできるものではないということを理解してほしいです。

起き上がり動作の危険予測

起き上がり動作で最も気を付けるべきリスクといえば、ベッドからの転落だと思います。だから起き上がりの介助や起き上がりの練習では患者さんというか寝ている本人さんがベッドから転落しないような介助を実践する必要があります。

ベッド上に寝ている状態では、不穏で落ち着きがない、暴れているというような状態の患者さんをのぞけば一般的には転落するということはありません。ちょっと危険そうな場合は、ベッド柵をしておけばだいたい転落しないですからね。

ベッドから足を下ろしたり、上体を起こすという動作の過程の中で転落してしまったり、ベッド上端坐位が不安定なために起きるときには問題なかったのに、座ったとたん滑り落ちたなんてこともあります。

ベッドから滑り落ちたり、ベッドから転落しないために注意するために気を付けるべき点としては

  • 患者さんの座位バランスを把握しておく
  • 起き上がり後に車いすなどに移乗する場合は、きちんと車いす適切な位置にセットしておく
  • 介助する際に、介助者は自分の体を使って患者さんが滑り落ちることをブロックする

このことを気を付ける必要があります。

起き上がりの介助方法

電動ベッドならスイッチ一つで体を起こすこともできます。だけど、体の向きを変えたり足を下ろしたりっていう動作はスイッチ一つではできないので、起き上がり動作が自立していない方の場合は介助する必要が生じます。

介助してベッドから起き上がる場合はいくつかのパターンがありますが、私が最も多用する介助方法は

  1. 寝ている患者さんを横向きにする(側臥位にする)
  2. 足をベッドの下におろす
  3. 足を下ろす動作に合わせて、上体を起こす

体を横向きにして、側臥位にする時に両下肢を少し屈曲(膝を曲げる)させると側臥位が安定します。

次に足を下ろしながら、肩や首のあたりを介助しながら体を起こします。

足だけ先におろす、そのあとで上体を起こすっていう介助の仕方もありますが、足を下ろしながら、上体を起こすっていう風に同時にするほうが下肢の重みを利用してシーソーのように上体を起こすことができるので介助的には楽だと感じています。

同時にやるといっても勢いをつけると足がベッド端やベッド横の車いすにあたると危険なので、注意点としては

  • 側臥位にしてから、膝から足もとまでをベッドの外側に出す(大腿部はベッドに残っている状態)
  • 患者さんの腰のあたりを固定しながら上体を起こす

腰のあたりを固定するっていうのは、側臥位になった時に上側にくる腰の骨のぐりぐりの部分(骨盤)を介助者が固定することで、起き上がるときにお尻の位置が前方にずれたりしないようにするためです。腰というか骨盤の部分ををしっかり固定すれば固定した部分が支点となり、シーソーみたいに足を下ろしながら上体を起こしやすくなります。

一方の手を患者さんの肩や首のあたりに、反対の手を腰のぐりぐりのあたりにおいて介助するような感じになります。

患者さんの体が起き上がってきたら、患者さんの両膝の前に介助者がしっかりと立つようにします。

患者さんのベッドからの転落を防ぐ

ベッドで寝ている患者さんを起こすときに考えられるリスクとして、ベッドからの転落があると書きました。それを防ぐのに重要なのは、介助する人の立ち位置と介助の方法です。

ベッドから転落のパターンとして経験しているのは

  • ベッドの端に患者さんがよりすぎていたために、側臥位で介助して両下肢をベッドから下ろした際に大腿部部もベッドの外に出てしまってそのまま足元へ滑り落ちてしまう
  • 起き上がりには成功したけど、座った時のお尻の位置が浅すぎて前方に滑り落ちてしまう

このパターンです。

側臥位で足を下ろすときに、両下肢全部をベッドの外側に出してしまうと下肢の重みでお尻が前方にずれてしまって両下肢に引きずり込まれるようにしてお尻もすべり落ちてしまうことがあるのです。

起き上がりの時に側臥位で下肢を下ろすときには

  • ベッドの端に患者さんを寄せすぎない
  • 起き上がりのために、下肢を下ろすときは足先から膝のあたりまでをベッドの外側に出すようにする
  • 体を起こし始めたときには、腰のぐりぐり(骨盤のあたり)をしっかりと押さえるようにし、お尻が前方にずり落ちないように固定する

患者さんの体が段々と起き上ってきたら

  • 患者さんの両膝の前に介助者が立つようにする
  • 介助者の足で、患者さんの膝頭のあたりをブロックする
  • 患者さんの膝頭のあたりをブロックすることで前方へのずり落ちを防ぎます
  • 介助者の両手は患者さんの状態をしっかりと固定する

こうすれば起き上がり介助の際のベッドからの危険を防ぐことができます。

文字で書くとなんだか大変そうですが、慣れてくればこの流れがスムースに行えるようになります。

起き上がりの介助で最も重要なのは、ベッドから転落させることなく安全に起き上がる事なのです。

ここでまとめているのは主として介助して起き上がる方法です。患者さん自身が起きる練習する際の方法はまた別に書くようにします。

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