講義に行っている学校の学生から、「事例検討の課題に対してどのような評価するのかをグループで考えているのですけど、難しいです」って質問というか相談されたので、少しヒントを出してみた。こんな風な思考パターンで考えるんですよ。
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事例検討の課題って?
私も講義で時々やりますね、事例を通してのグループワーク。
ビデオ映像を見せて、評価項目を考えさせたり、本人や家族さんへのインタビュー項目を考えさせたりします。
今回学生さんから質問された課題は、教員から架空の事例のレジメを見せられて評価項目を考えるグループワークのようでした。
架空事例ってこんな感じかな。
架空の事例
- 年齢 30代・男性
- 疾患名 右橈骨遠位端骨折
- 家族構成 既婚 子供二人(3歳と6歳)
- 職業 会社員・プログラマー
担当教員から聞いたのではなく、学生から聞いているのでこの架空事例のグループワークという授業の意図するところは不明ですが、こんな感じのケースを担当したら、どのような評価計画を立てるのかってことをグループで考えるようです。ちなみに3年生の専門学校の2年生の課題。
ちょうど、その日の私の講義で
評価や治療目標の優先順位の考え方について講義していたんですよね。だから質問に来たんだと思います。
この架空事例でグループワークしているんだけど、評価項目を何とか列挙しているんだけど「何からすべきなのかがわからない」ようでした。
これだけの情報しかないような事例検討でもね、検討すべき優先順位っていうのはあるんですよ。それを考えられないっていうのは、提示されている情報をしっかりと吟味できていないし、生活背景をしっかりと読み込めてないんだよ!
生活背景をしっかりと考える
学生さんたちは、
疾患名の「橈骨遠位端骨折」に対しての評価項目を列挙していました。
それはそれで間違いではないのですが、橈骨遠位端骨折に対しての評価項目列挙しても、優先順位は決められないよね。骨折にしか目が向いてないから項目を列挙できても、優先順位を判断する根拠がないからね。
私がこの事例を検討するとすれば、こんな風に考えます。
家族構成
男性で既婚だけど、子供さんはまだ小さい。
ってことは、この方の嫁さんは子育て、家事、骨折した旦那の面倒を見る、って大変な状況。
とりあえず、情報収集として
- 近所に両親がいるかどうか?
- 両親は育児などを手伝ってもらえるのかどうか?
- 家庭内での、本人の役割
などを聞くね。
この事例ケースがもともと家事や育児に無関心な人間なら、奥さんは困ってないだろうけど、しっかり分担していれば骨折した旦那の面倒も見ないといけないからかなり生活大変だ。
両親が協力してくれるかどうかってことはかなり重要な情報のはず。
仕事のこと
右手が利き手の人が多いけど、プログラマーの仕事で片手骨折っていうのがどの程度仕事に影響するのかって情報収集が必要ですよね。
キーボードやマウスの操作を片手で行うだけで仕事は済むのかな?
入院中に休職したら復職できるのか?
情報をしっかり集めて評価
ある程度評価に時間をかけられるなら、思いつく評価を手当たり次第にやってもいいだろうけどね。臨床的に考えると、そんなにたっぷりと評価に時間をかけることができない場合もあるから、担当患者さんの生活背景などの情報をしっかりと吟味して評価することが重要だと思うのよ。
心身機能の評価の優先順位を決めるには、「活動と参加」に関しての情報が大事なんだ。
職業とか家庭のこととか、周囲の関わりとか、そんな情報を収集して評価の優先順位を決めることもあるってことですね。
事例検討って課題
学生にとっては、情報収集、評価項目の列挙などのように
何を実施すべきか
ってことを考えることが多いんだけど、事例検討っていうのは
担当のケースに対してのセラピストの思考パターンを学ぶ
そんな授業なんですよね。「何をするか」ではなくて「どのように関わるのか」っていうことを考える授業です。少なくとも学生に事例検討をさせるときに、私の講義ではそのあたりに事を強く伝えています。
「何をすべきか」っていうような思考パターンになってしまうと、ちょっと違った症例や事例を担当するときに応用が利かないことがよくある。パターン化した思考回路ではだめなんだよ。
柔軟な考え方を身に着けるには「セラピストとしての思考パターン」を身に着ける必要があります。
学生さんにはぜひそのようなスタンスで事例検討という授業を受けてもらいたい。
ちなみにここで取り上げている事例に対しての思考パターンは、この事例についての思考パターン。ケースが変われば着眼点も変わりますので、そのあたりのことも理解しておいてください。
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