2019年12月22日追記
段階付け、治療やアプローチ、プログラムの難易度の設定に苦労している理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は多い。いくつかこのblogで段階付けの例を取り上げているが、考え方の基本について書いてみた。ここでいう「段階づけ」っていうのは、リハビリテーションやリハビリテーション看護の場面において、患者さんへの取り組みや治療プログラムにおける「課題」にたいしての難易度の設定に変化をつけていくことを「段階づけ」と表現することとしています。
段階付けにとってメチャクチャ大事な動作分析やアクティビティの分析について動画にしてみました。
⇒運動分析や動作分析、アクティビティの分析のこと (聴くブログ10)
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段階づけの基本的な要素
リハビリテーションやリハビリテーション看護などで、看護師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が患者さんへの取り組みや、治療プログラム、介護方法などを立案するときには、比較的達成が容易な課題から開始して、徐々に難易度を高く設定した課題へと変化させていくことが多い。この課題に対して徐々に難易度を高く変化させていく、このことを「段階づけ」って表現することが多い。
階段のステップのように、一段一段徐々にレベルアップした課題や治療プログラムに取り組むってことです。レベルの高い目標を設定したときに、そのレベルに達するまでに、どれくらい細やかなステップを用意することができるかどうかっていうのが、治療者としての腕の見せ所でもあります。
ある目標に達するまでに、3つのステップの段階づけを考えるセラピストよりも、10のステップの段階づけを考えることのできるセラピストの方が優秀だと思います。
その段階づけを検討する際に必要な要素としては
- 対象となる課題(例えばADL動作など)やアクティビティの分析
- 患者さんの運動能力などの分析
この要素をどのように組み合わせるのかってことが、治療の段階づけでは重要になってきます。
リーチ動作の段階づけという記事とボタンをとめる動作の段階づけという二つの例を挙げているのですが、この二つの段階づけを組み合わせることで、治療プログラムの段階づけが可能となります。
患者さんのリーチ動作の現在の状況と、更衣動作としてのボタン留めを分析することによって、更衣動作に問題がある患者さんの、『服を着てボタンをとめる』という目標に対して、リーチ動作とボタン動作とを組み合わせた段階づけをすることが可能となります。
対象となる課題やactivityの分析
更衣動作であれば、更衣の手順や衣服の種類などの分析をする必要があります。課題分析とか活動分析と呼ばれるものです。
前開きシャツとトレーナータイプの衣類では動作に必要な可動域や着る方法が異なります。前開きシャツでは袖を通すことで服を着ることができますが、トレーナータイプでは頭の部分を通さなければ着ることができません。「着る」という動作そのものに違いがあるので、それに伴って行為に必要な運動的要素も異なってきます。
課題を分析したり、活動を分析するっていうことは
- その課題を遂行するのに必要な運動機能や認知機能、感覚機能を分析すること
- その課題を構成している活動やactivityの要素を分析すること
この2つの分析が必要となってきます。
前述したボタンをとめるという動作の段階づけでは
ボタンをとめるという課題を構成しているボタンに対して
- ボタンの大きさや厚みなどに変化を持たせる
- ボタン穴の大きさや固さに変化を持たせる
ということで段階づけが可能となることを書いているのですが、「ボタン留め」っていう課題を構成しているボタンやボタン穴のことを分析する訳ですよね。
また、「ボタンどめ」に必要な運動機能の分析としては
- 手指の巧緻性や、運動機能
- ボタンの向きや位置に合わせた上肢の運動機能
袖口のボタンをとめるときに必要な運動機能と、首元のボタンをとめるときに必要な運動機能は異なりますので、それぞれの動作についてアプローチを考える必要があります。
このように課題やactivityそのものの分析と、その課題を実行するのに必要な人間側の能力としての運動機能や感覚機能、認知機能の分析をする必要があるのです。
患者さんの能力の分析
現時点での患者さんの運動機能、感覚機能、認知機能をしっかりと評価することが必要です。
現在の患者さんの能力に適した、課題やactivityを設定する必要がありますよね。
手指の巧緻性や協調性の改善が不十分な患者さんに対して、ボタンをとめるという課題は設定しないことが多いですよね。だから、更衣としてはまずトレーナータイプの衣類の着脱を行う事が選択肢として上がってきます。
そして、患者さんの座位バランス能力、座位保持能力が不十分であれば、端坐位でのトレーナーの着脱は危険を伴いますので、車いす上で行うとか、車いすに座ってさらにテーブルを前においた状態で、座位の安全性を確保した場面で、トレーナーの着脱を練習するということになります。
課題の分析や、課題の遂行に必要な運動機能の分析を行い、その課題を遂行する患者さんの能力に合わせたプログラムを選択するというのが段階づけの基本となります。
分析とマッチングが段階づけの基本なんだ
- 課題やactivityの分析
- その課題を遂行するのに必要な運動機能や感覚機能、認知機能の分析
- 患者さんの能力の分析
この3つを組み合わせて、今の状態の患者さんに最もマッチングする段階の課題を選択するというのが、段階づけを考慮したアプローチの基本なんです。
患者さんの能力を評価、分析したりする事が得意な理学療法士や作業療法士、言語聴覚士たくさんいると思いますが、課題の分析になるとものすごく苦手というか、大まか過ぎるというか、アバウトすぎる方が非常に多いので、そこの分析をしっかりできるようにしてほしいなって思います。
段階付けにとってメチャクチャ大事な動作分析やアクティビティの分析について動画にしてみました。
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