理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の学生さんが実習レポートで一番困るのが「統合と解釈」だろうなあ。でもここを乗りきらないと臨床では通用しない。学生さん向けの、実習の進め方とレポートの書き方の第2回は問題点の抽出や解釈と統合のことを書いてみました。
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担当開始~評価のまとめ
この「担当開始~評価のまとめ」の部分は、同じ患者さんであれば、誰が担当しても同じ結果が出るはずです。よっぽど検査・測定の手技が間違っていない限り、同じ患者さんの評価であれば誰が実施しても結果は同じになる。
よく実習で指導者が
「私の書いたカルテやカンファレンスの資料とあなたの書くレポートが同じ内容にならなくても問題ないから、気にせずにレポートを仕上げなさい」
ってやさしい言葉をかけてくれたりする。だけど評価の結果が大きく異なることはあり得ない。せいぜい、実施した検査の数や種類が違う程度だ。
同じ検査を同じ時期に実施しているのに、検査の結果が大きく違っていればどちらかの検査が不適切なのだ。
同じ検査でも、実施時期が異なれば結果は異なるけどね。
「気にせずにレポートを仕上げなさい」
って言うのは、評価のまとめより後にに書かれている部分が同じてなくても構わないってことなので、誤解しないで下さいね。
問題点の抽出と統合と解釈
同じ患者さんを担当しても、ここからは担当者によって差が出てくる。
「問題点の抽出」~「アプローチ」の部分っていうのは担当者の考え方によって、おなじ患者さんを担当したとしても違いが出てくるんです。
問題点に対しての優先順位の付け方や問題点に対しての解釈の仕方が異なる可能性があるからです。
問題点の抽出
- あなたが捉えている問題点
- 患者さん本人が感じている問題点
- 家族が感じている問題点
- 他職種が捉えている問題点
こうして書いてみると、患者さんには問題点が山積みだ。
ここで重要なのは、あなたが主観的に捉えている問題点以外にも問題が存在すると言うことです。
あなたが患者さんにとって問題だと捉えていても、患者さん本人は問題と感じていないこともあれば、患者さんは大問題だと感じているのに、あなたは問題と捉えていないこともある。
例えば
歩けなくなって車イスで移動すること
こんな問題に対して、あなたは「解決すべき問題」と捉えているかもしれないが
患者さんは
「歩けないことは問題だけど、車イスあるからそれでいい。むしろ車の運転できないことの方が問題だ」
と捉えているかもしれない。
だから、問題点に対しては
あなたの主観的な問題点だけを取り上げるのではなく、客観的にとらえる必要がある。
また、解決する問題や課題に対して優先順位をつける必要がある。
入院や通院、訪問などリハビリテーションの手段はいくつあるが、あなたが担当できる期間は限られいる。
とくに、病院のリハビリテーションの場合は入院期間が限られているので、解決する問題点について、優先順位をつけてアプローチを実施する必要がある。
統合と解釈
統合と解釈が一番困る、学生を悩ます部分だ。ここで挫折する学生が多い。でもこの部分が、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の楽しさなんです。
パッと浮かぶものではない
評価を実施して、問題点を列挙すると、頭の中に自然と統合と解釈が浮かび上がってくるって言う風に、思い込んでいる学生さんもいるようですが、自然と統合と解釈が浮かび上がってくることはありません。
評価の進め方の記事でかいたが、検査を実施したり、患者さんに関わったりしているうちに色んな疑問や考えが頭の中に渦巻いてくる。
それらを整理するのが解釈と統合なんです。
だから検査・測定や、患者さんとの関わりの時に何も考えずに関わったり、検査を実施したりしていたら、統合と解釈なんてできない。日々感じたことや疑問に思ったこと、考えたことを、デイリーノートや症例ノートに担当初日からきちんと書いておく必要がある。
それがレポートのまとめの段階で、統合と解釈の部分につながってくるんです。
材料はそろっている
統合と解釈で述べたり、論じたりするための材料は、このレポートを書くために実施したすべての事柄やあなたの考えなので、材料はあなたの前にそろっている。
逆に言うと、実施していない検査や、会ってもいない家族のことなどを統合と解釈に入れない方がよい。
統合と解釈は、空想の産物ではないからだ。
痛みに関することを問題や課題として捉えてレポートに書こうとしても、評価結果の項目に痛みに関する評価がなかったり、患者さんが痛みに関してどのように感じているのかという記載がないと、なぜ痛みに関して「統合と解釈」で述べようとするのかってことがわからないからだ。
だから、統合と解釈で述べようとしていることは、これまで患者さんにかかわったすべての情報から導き出したものなのである。その為の材料は、ここまでの、デイリーノートや症例ノートに書かれているはずなんです。
因果関係をスッキリさせる
たとえば
「ペットボトルを持つことができない」ことが問題の患者さんがいたとしよう。
ペットボトルを持つことができない原因なんていっぱい考えられる。
- 手指の筋力の低下
- 手指の可動域の制限
- 手の部分の感覚の異常
等々いくつでも上げることができる。
じゃあ、目の前にいてる患者さんがペットボトルを持てない原因が何であるのかを知るために、検査や測定を実施する。
そして、その原因を明らかにするからこそ、その原因に対してプログラムを立案してアプローチを開始する。
このように原因を明らかにしてプログラムを立案する過程が「統合と解釈」なのです
(2015.1.18追記)
「統合と解釈」と「考察」の違いについてこちらにまとめました。⇒⇒「統合と解釈」と「考察」の違いってあるのか?
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