難しいテーマだ。だけど先日の府立大学のコアプロでも質問をいただいたし、他の病院さんとの打ち合わせでもこのテーマは僕の意見と先方の意見は平行線をたどり交わることはなかった。だからこのテーマに関する2017年3月時点での僕の見解を書いてみたい。
リハビリテーションは1カ所で完結しない
回復期リハ病院でも「活動と参加」にアプローチすることが必要というコラムを書いた。
でも、急性期でも「活動と参加」にアプローチすることは必要だと考えている。
だけどね、急性期病院には急性期病院の役割があり、回復期リハ病院には回復期リハ病院の役割がある。
それぞれの職場で勤務しているリハビリテーション専門職の果たすべきミッションは当然異なる。だから、どのような形で心身機能のアプローチを実践したり、どのような方法で活動と参加にアプローチするのかってことはそれぞれの職場で異なる。
だけど、急性期病院だけでリハビリテーションは完結しない。急性期だけでリハが完結するケースもいるだろうけど、多くのケースは回復期リハ病院に引き継がれるでしょう。
1カ所で完結しないってことは、急性期病院はリハビリテーションのスタート地点ってことになる。
以前回復期リハ病院は地域リハビリテーションのスタート地点ってコラムを書いたけど、急性期病院はリハビリテーションのスタート地点なわけですよ。
スタート地点で出来る事
地域では活動と参加がクローズアップされている。だけど、なかなかうまい具合に活動と参加へアプローチできている事業所は少ない。
2017年3月に公開された厚労省・介護給付部会の資料でもそのことはわかる。
だから、地域リハの現場ではなく回復期リハ病院でも活動と参加への関わりが重要だってことをブログに書いたわけですよ。
そう言った視点から考えると、リハビリテーションのスタート地点としての急性期病院で出来る事っていうのは何かってことなんですよね。
- 入院期間が短い
- スタッフも少数
とにかく入院期間が短いのが急性期病院。平均在院日数が短い訳ですよね。短い人だと、数回のリハビリテーション、長い人でも1カ月もいないでしょう。そんな中で心身機能にアプローチすることは当たり前。
だけど、「活動と参加にどう取り組むべきか」ってことは難しい課題です。
以下は急性期に勤務したことがない作業療法士の見解です。
1、オリエンテーション
1つはオリエンテーションだ。患者さん自身、家族さんに
リハビリテーションっていうのは〇〇なんですよ
ってお話するときに、どんな説明をするのかってことが大事になる。スタート地点なのでリハビリテーションに対してのイメージを作っていく場所だと思う。
これからどんな風にリハビリテーションが展開するのかってことを伝えてほしい。「セラピストにしてもらうリハビリ」なのか「患者さん自身が積極的に関わるのがリハビリ」なのかってことを知ってもらうだけでも意義があると思う。
1人でもいいから始める
リ・スタートのことはこのブログでもいつも書いている。
組織として、システムとしてどうするのかってことを論じると新しい課題に取り組むスピードは遅くなる。
どの時期、どの場所、どんな疾患であっても1人くらいは活動と参加に取り組むのにピッタリな患者さんが時々は目の前に現れる。
それならその人だけにはせめて心身機能だけにこだわるのではなくて、活動と参加に対してアプローチしてみてはどうだろう。
ちょっとでもいいから、実践することで活動と参加に取り組むための課題や問題点を確認することが出来る。
次のリハビリのことを知っておいてほしい
リハビリテーションは1カ所で完結しない。
急性期でのリハビリテーションの後には、回復期や生活期といった現場でのリハビリテーションが待ち構えている。
だから、回復期や生活期で今どんな課題があったり、どんなことに取り組んでいるのかってこと知って歩いてほしい!
急性期病院を退院した患者さんたちがどのようなリハビリテーションを実践しているのか、回復期や生活期で働くセラピストがどんな課題を抱えて、何に取り組んでいるのか?
そんなことを知っておくだけでも、急性期病院で何をすべきかってことを考えるヒントになると思う。
時代は変わっていく
急性期だけ今までと同じようにリハビリテーションを継続できるわけではない。
リハビリテーションを取り巻く環境はダイナミックに変化する。
急性期、回復期、生活期、どこの現場でも変化していく。
そのためには今と同じことだけを継続するだけでは通用しなくなっていく。
そんな時代の変化にどう対応するのかってことは常に考える必要がある。
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