患者さんや利用者さんの多くは、「リハビリテーションはしてもらうもの」とイメージしていることがあると思います。そういったイメージの多くは、過去のリハビリテーションがそのようなものだったから「してもらう」と感じてしまったからなのではないかと考えています。
2024年に向けて「活動と参加へのアプローチ」に着目してリハビリテーションを実施しようと考えているセラピストさんは、「してもらうリハ」から「するリハビリテーション」へ切り替えて、当事者さんが主体的にリハビリテーションを実践していくことが必要になると考えています。
私は地域で非常勤掛け持ちで働いている作業療法士です。
◆筆者のプロフィール
してもらうリハビリテーションのこと
地域リハの現場で、初めてリハビリテーションのサービスを利用する利用者さんにはリハのイメージがなく、私が訪問で関わってもすぐにベッドに横になって体を動かしてもらおうとする人はいません。
「リハビリテーションではどんなことをするのですか?」
と尋ねられることはあっても、こちらが説明するまでは待っておられるのが普通です。
しかしながら、病院リハなどを経験していたケースや、訪問や通所などでも他のスタッフから引き継いだケースなどの場合は、治療台に横になったり、自宅のベッドで待っておられたりします。
この差は一体どこから生まれてくるのでしょうか?
私は、リハビリに先入観があるのかないのかの違いだと感じています。
リハビリを実施するときは、ベッドや治療台に横になるという先入観を持っているから、こちらが指示をしなくても横になるのだと思います。
そうしてその先入観というものは、これまでのリハビリテーションによって植え付けられたのだと思っています。ベッドに横になって体を動かしてもらうというのがリハビリてションだと思っておられるのです。
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時期によって関わり方を変えることが必要!
「退院後の生活に向けたアプローチ」と「触らないリハビリテーション」のことで触らないリハビリテーションのことを少し書きました。そのコラムでも、時期により介入の方法に変化を持たせることが必要だと書きました。
関わる時期によって、対象者さんの状態によって、心身機能と活動と参加へのアプローチの割合とか、触るリハと触らないリハの割合に変化を持たせていくことが必要だと考えています。
例えば入院初期のころには下図のような関わりが必要です。
ここ数年、在宅ですでに介護保険のサービスを利用している利用者さんの入院も増えてきています。情報収集の対象は家族だけではありません。
そうして、早い時期に「活動と参加へのアプローチ」に向けた目標設定をすることが必要となってきます。その目標に対して心身機能への介入の方法を検討していくことが必要になります。
同時に、病棟での生活状況を整えるために看護師さんや介護職さんとの連携を始めることが必要です。
そのうえで多様なリハビリテーションのあり方として以下のような視点を持ってリハビリテーションに取り組むことが必要なのです。
入院後期になるといつまでも同じような介入ではダメだと思うのです。
入院後期ということを意識せず触り続けていると、「リハビリ=ベッドで横になって体を動かす」というイメージが植え付けられます。
「退院後の生活を想定した本人の主体性を発揮したリハビリテーションの実施」が必要になります。
退院後の生活では、筋緊張を整えてから歩いたり、体の状態を整えてから更衣動作したりするということはありません。
だから、自分の心身機能を発揮するための主体的なリハビリテーションの実施が必要になってきます。
- リハ実施後にADLの遂行状況を確認するのではなく、40分とか60分の介入の最初にADLの確認や設定している目標の達成度合いの確認という作業を行う
- 退院後に実践する自主トレメニューを実際に継続的にリハの時間や病棟で実践する
このようなことを通しながら、何のためにリハビリテーションを実施しているのかということを対象者さん自身にも考え知ってもらう必要があります。
この時期の病院リハビリテーションのあり方についてはこちらの動画でも詳しく話しています。
移行することが求められる
これまでのリハビリテーションの多くは、「してもらうリハビリテーション」だったのではないかなと思います。
2024年以降のリハビリテーションは、活動と参加へのアプローチを行いながらの主体性のあるリハビリテーションの実践が求められるようになると考えています。
主体性のあるリハビリテーションへの意向が求められています。
病院であっても地域リハであっても、依存させるリハビリテーションではなく主体性のあるリハビリテーションへの移行が必要となっています。
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