PT・OT・STさんといったリハビリテーションのかかわるスタッフの方に知っておいてほしいのが、リハビリテーションのマネジメントのことなんですよね。
上記のコラムや動画でも伝えているのですが、目の前の患者さんの治療・リハビリテーション40分とか60分の関わりだけのことに限定したリハビリテーションやその時間だけの手技や技術ではなくて、もっと対象者さんの生活をトータルに考えたリハビリテーションが2024年同時改定以降には必要になってくると考えています。
だけど多くのセラピストは、細かな治療技術やハンドスキルみたいなことの研鑽には熱心だけどリハ全体のことを考慮したマネジメントは不勉強だと思うのです。
むしろ中堅や管理職のセラピストさんたちがもっとこのことを意識して若いセラピストに伝えないといけないと考えています。
※「マネジメント」という言葉が適切かどうはわからないけど、リハビリテーションをマンツーマンの介入時のことだけの狭義のものとしてとらえるのではなくて、間接的な介入や環境設定や多職種連携や多事業所連携なども含めた、もっと広義の意味でリハビリテーションをとらえて、そういったものをコーディネートしたり調整したりすることをここではリハビリテーションのマネジメントとして表現しています。
歩行機能のこと
例えば歩行機能のことだ。
私が月1回かかわっている回復期リハ病院では積極的には「伝い歩き」の練習はしていないことが多い。歩行器歩行や平行棒内歩行、介助歩行などの練習をしてはいるが、廊下の手すりを使った伝い歩きはあまりやらない。
床頭台やテーブルをいろいろ配置して伝い歩きの練習をするという場面設定もあまりない。
普段訪問リハや通所リハに関わっていると、実用的な移動手段としての伝い歩きを日常的に実施している患者さんはたくさんいる。むしろ歩行器や杖を室内で使いずらいこともあるので、伝い歩きを行うことが多くなることもある。
ちょっと極端に書くと、何とか杖や歩行器で独力での移動できる手段を目指している病院リハと、とにかく何でもよいから自宅内を安全に移動する手段を使う患者さんとの間では目標とすべき行動に差があるわけだ。
どっちがどうというわけではないのですが、実用的な歩行手段の獲得の見込みがないのであれば、伝い歩きを病院リハで行う必要性が出てくる。もしくは、実用的な歩行手段の獲得に時間を要するのであれば、杖や歩行器での移動の練習と並行して伝い歩きの練習を行うことも必要だろう。
ICFとは実用性
診療報酬や介護報酬の改定の中でたびたび議論されている、「活動と参加へのアプローチ」はその時点での心身機能や環境や道具(時には必要な支援)などを用いていかに自身でやりいたいことを実現するのかという事だと解釈している。
しかしそうではなく、あくまでもリハのマンツーマンの時間だけの関わりで何とかしてやろうと考えているセラピストがいるとすれば、それはセラピストのエゴであり、リハビリテーションのマネジメント無視してるといえる。
ブログや動画でも話していることだが、このことは「患者さん自身が何とか自身の力で出来るようになりたいと考えている患者さん自身の思い」を無視するものではない。
公的なサービスとして提供する診療報酬や介護報酬のリハビリテーションであれば、「適正なリハビリテーションの提供」が必要になってくる。介護報酬改定の資料においてはそんなことも文書として出されている。
上記スライドの文言は以下からの引用です。
◆リハビリテーション・個別機能訓練、栄養管理及び口腔管理の実施に関する 基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について
上記の文言にも記載されているが、「リハビリテーションは必要な時期に必要な期間実施する」のが適正なサービスの在り様なのです。
病院リハでも生活期リハでもそのことを考えていかなければならないのが、2024年以降のリハビリテーションなのです。
マネジメント
病院リハでいうところの「自宅退院」というのは目標ではなく、帰る場所がどこなのかってことだけなのです。転院なのか施設なのか自宅なのかってことだけ。
退院先の場所でどんな生活をして、どのように過ごすのかってことがリハビリテーションの目標として設定されるべきことなのだと考えています。
自宅に戻るのに実用性のない車輪付き歩行器の練習を延々と行っても、自宅では使われることはありません。
だからこそ、退院後の生活をイメージした目標設定が必要となるのです。
そのための、目標設定でありその目標を達成するためのリハビリテーションなのです。そうして目標達成のために必要なのが、マンツーマンのリハビリテーションだけなのではなく、リハビリテーションのマネジメントなのです。
こんな研修会を企画してみたい事業所さん、リハ部門さん、団体さんがありましたらすべての資料を以下のリンク先からダウンロードして研修会の開催などをご検討いただけます。
◆2024年同時改定に向けてリハビリテーション専門職がすべきこと
私は非常勤掛け持ちの作業療法士であり、コンサルタントなどではありません。
しかしこれまでの経験を活かしながら、病院のリハや生活期領域のリハ関連部門に対して、これからのリハビリテーション部門の在り方などに対してアドバイスや助言をすることはできると自負しています。
収益を上げるための助言はできませんが、より良いリハビリテーションを提供するためにはどうすればよいかということを、一緒に考えることはできると思います。
興味ある方はお気軽にお問い合わせください。
◆筆者プロフィール
フォローしてね
- Facebookページ
やまだリハビリテーション研究所Facebookページ - Twitter
https://twitter.com/yamada_ot_labo - インスタグラム
https://www.instagram.com/yamada_ot_labo/?hl=ja - メインのブログ
やまだリハビリテーションらぼ - YouTube
やまだリハビリテーション研究所のYouTubeのチャンネル - noteサイト
https://note.com/yamada_ot - やまだリハビリテーション研究所公式LINEアカウント
note
作業療法士のやまだが全力でお届けしている「コラム」「動画」「講義資料」満載のnoteサイト
2022年版note
2021年版note
◆https://note.com/yamada_ot/m/m94135b67f4bc
2021年1月にスタートしました。2021年12月までどんどんコンテンツを掲載していきます。
2020年版note
◆https://note.com/yamada_ot/m/m1f991727b13b
2019年版note
◆https://note.com/yamada_ot/m/m0cbce4fae6d2
コメント