2019年12月22日追記
姿勢や動作の分析で悩んでいる理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は多いのではないでしょうか?でも患者さんの動作の分析っていうのはリハビリにテーション業務にはついて回るもので、これを避けて通ることはできない。文献や教科書もたくさん出ていますが、日々臨床の現場で学生さんを見ていて「動作分析」のことで知っておいてほしいってことを書いてみた。
このコラムを動画にしてみました
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患者さんはロボットではない
学生の動作分析のレポートを見たり、動作分析で悩んでいる学生さんに話を聞いて良く返ってくる返事は
観察して分析するたびに、患者さんの動作が違う
っていうのが最も多い。
そんなんあたり前ですよ。患者さんはロボットじゃあないんだから、同じADLでもやるたびに微妙に動作が変わってくるよ。これを読んでいる皆さんも、靴下のはき方や服を着るときの動作だってその時によってまるっきり同じ動作になることはないでしょう。
変化して当たり前、いつも同じように動く訳でない
ってことを、動作分析を行う前にしっかりと理解しておいてほしい。だからといって動作分析ができないってことではない。動作のたびに患者さんの動きがちがうと言ったって、全く別のものになってしまっているわけではない。
可動域が少し変わっていたり、握り方が少し違っていたりするかもしれないけど、大まかな「動作」っていう点では同じだと思います。
体調の良い日もあれば悪い日もあるから、微妙な点では動作が変わっているかもしれないけれど、基本的なところを持ってみていくと共通するところは多いと思います。
見るべきポイントはこんなところ
365日毎回動作パターンが変わるなんてことはあまりありません。
見るべき視点としては
- 動作の手順や順序
- 動作時の姿勢
- 動作の時の上肢や下肢の動き
こんなところを観察して記録することができればよいのではないでしょうか?
動作の手順や順序
上着の着衣なんかで考えると、前開きシャツとかぶりシャツでは当然手順が異なったりすることもあります。
だからといって、何百通りもの手順があるわけではないので、どんな手順で更衣を行っているかという事が観察できればよいと思います。そうして、それぞれの手順の時にどのような動作で行っているかということが記載できればよい分析だと思います。
更衣以外ののADL動作についても同じで、それぞれ動作のパターンが異なっているとしてもせいぜい数パターンだと思います。それぞれについて手順をしっかりと確認しておけば、分析に困りません。
動作時の姿勢
座位で行っているのか、立位で行うのか、座ったり立ったりを繰り返しながら行うのかっていうところを観察します。
で、それぞれの姿勢は介助しなくても安定しているのか不安定なのかを見ます。たとえば、椅子座位では背もたれのある椅子では安定していても、ベッド端坐位のような背もたれのない座位では不安定な患者さんもいます。
姿勢をしっかりと保持できるからこそ、安定して上肢を操作に用いることができるのです。
不安定なバランスになればなるほど、上肢はそのバランスの代償としてものにつかまったり、何かに頼ったりすることに使われるため目的とする動作に上肢を使うことができなくなります。安定したバランスを保つことで動作が改善することも多いので、沿い打った点を観察・分析するとよいのではないでしょうか?
動作時の上肢や下肢の動き
手順、姿勢をきちんと観察することができれば、その次に動作時の上肢や下肢の様子を観察しましょう。
手順、姿勢、四肢の動きを同時に見よう、同時に観察しようとすると混乱してしまって何から観察すればよいのかということが分からなくなります。
私として、手順、姿勢をしっかりと観察してから四肢の動きを見るほうが分析しやすいと思います。上肢や下肢の動きは対象とするADL動作によっては複雑な動きを伴うことがあるので、手順や姿勢の観察を分けてみるほうがわかりやすいと思います。
座っているときの手の動き、立っているときの足の動きという風に分けて観察すればポイントを絞ってみることができるのではないでしょうか?
スマホなどの動画を活用する
患者さんと実習指導者の方から許可をもらえるなら、スマホなどの動画でADLを撮影すれば動作分析には効果的だと思います。何度も同じ動作を患者さんに実施してもらう必要がなくなるからね。今どきのスマホは動画をかなり良い画質で撮影することができます。分析にはかなり効果的。
ただし、
プライバシーの問題や情報管理には気を付けてください。うっかりのネット上に動画が流出することのないようにしっかりとした管理をしたうえで、利用するようにしてください。
以上のようなことを考慮すれば少しは動作分析を行いやすくなるのではないかと考えています。参考になれば幸いです。
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