2015年1月から難病や小児慢性特定疾患などの医療証をご利用されていた方の保険制度が変更され、訪問看護ステーションなどでは自己負担が「0円」だった方にも自己負担が生じることになりました。それに伴って、利用者さん一人一人の自己負担額の上限額が異なることから上限額管理票というものを使うことになりました。現場では大変というか、ちょっとめんどくさい。
(スポンサー広告)
訪問看護ステーションでの上限額管理票の記載
今年の業務は1月5日から始まったのですが、この時点で公開されている資料には訪問看護ステーションの上限額管理票への記載についての具体例を示している資料は見当たりません。そのため
- 訪問の度に毎回記載する必要があるのか?
- 利用料金の計算は毎回ではなく1か月まとめての請求なのに、どう記載するのか?
ということが、分からずに私が掛け持ち勤務している複数の訪問看護ステーションの管理者さんも悩んでいました。
この記事を書いている1月7日時点で分かっていることは、厚労省や各自治体のホームページなどに掲載されている、厚生労働省が平成26年12月時点で掲載している
「特定医療費に係る自己負担上限額管理票等の記載方法について(指定医療機関用)」の4ページ目に下記のような記載があります。(ページの下に書かれているページ番号での4ページ目)
また、患者からの自己負担の徴収は、原則として、指定医療機関を受診した日に行うこととなることから、管理票への記載も当該受診した日に行うこととなるが、訪問看護サービス等において、利用した日の翌月に利用料を請求する場合には、利用した月の自己負担の累積額を確認したうえで、患者から徴収し、当該額を管理票に記載すること。
ということが書かれています。
だから訪問看護ステーションの場合は訪問するごとに記載するのではなく、1カ月分をまとめて記載して良いようです。
ただし、普通の請求では1月利用分の請求は2月の初旬に行います。2月に請求したときに上限額管理票に記載するのは1月のページなのか、2月のページなのかの記載は見当たりませんが、1月分を2月に請求した場合、1月に記載したほうが良いという未確認情報があります。(1月7日時点の話)
利用月に記載するのか請求月に記載するのか、とりあえず事業所で方針を決めておいてスタッフ間で差がつかないように対応するしかないようです。
実務面での課題
上限額管理票への記載方法だけでなく、これを運用するにあたって実務面でもいろいろ課題はあるので、スタッフへ徹底しておく必要はあります。
領収証の問題
難病や小児慢性特定疾患ではない普通の請求の場合、利用者さんから直接現金で支払っていただくときは
請求書と領収書を用意して持参し、現金をいただいてその場で領収証をお渡しして事務所にお金を入れるっていうのが一般的と思います。私が掛け持ち勤務している3か所の訪問看護ステーションはどこもこの方法。
だけど、上限額が決まっている難病や小児慢性特定疾患の利用者さんの場合
訪問看護ステーションからの請求の時点で上限額に達している利用者さんの場合は自己負担の支払いがないので、問題はありません。しかし、サービスの利用料が少なくて、上限額に達していない利用者さんの場合にちょっと問題が生じます。
1か月まとめて請求書を作って利用料金を現金などで請求するまでは他の利用者さんと同じ。だけどここから先が他とは違う。
他のサービスをまったく使っていない利用者さんで上限額が5000円の利用者さんに7000円の請求をする場合、受け取る金額は5000円となります。そのばあい、お渡しする領収書は5000円の領収証となりますよね。請求額と領収額が違ってきます。
しかも、複数のサービスを利用してたりする利用者さんがいたり、上限額は利用者さんによって異なりますから、現金受け渡しの利用者さんの場合その時になってみないと、支払っていただく金額がわからない。
だから、事前に領収証を用意することができない
これって実務的には面倒というか大変ですよね。現場で領収証を作成するってことでしょう。金額のみ未記入の領収証を作ってスタッフに持たせないといけませんよね。利用者さんによっては自己負担割合が2割とか3割とかあるので、もし現場での計算が間違っていたら現金の受け渡しをやり直さないといけなかったりすることにになったりする可能性もあったりするかな。
お金が絡むだけに面倒だ。
回数や制度変更の問題
利用しているサービスが多くて限度額が低い場合はあまり問題ない。自己負担額が低ければサービスを変更する人はいないとおもう。
だけど、自己負担額が発生すると困るからという理由でサービスの回数を減らしたりサービスの利用を停止する利用者さんもいるかもしれない。それに難病での支払いをやめて、障害者医療とか他の制度でのサービス利用に変更する方もいるかもしれない。
そういった変更がしばらく発生する可能性がある。このようなルール面をスタッフにきちんと伝えておかないと、現場は混乱しやすい。
新規利用者さんの獲得
今回の制度改正で、難病にしろ小児慢性特定疾患にしろ対象となる疾患は拡大されてる。その為、保健師などの指導で新たにこれらの制度を利用できることになった人からの利用申し込みが増えることになる。
これまでこの制度を使っていた人にとっては自己負担が発生して支払額が増えることになるが、新たにサービスの恩恵を受けることになった利用者さんにとっては自己負担額が減る可能性がある。だから、新たに訪問看護ステーションからのサービスを受けようと思う人はいるはずだ。
事実、1月6日に出勤した訪問看護ステーションでは新たにこの制度を利用できるようになった小児慢性特定疾患の利用者さんからサービス利用についての問い合わせがあった。
ここで注意したいのは、訪問看護ステーションからの訪問の制度についてだ。小児慢性特定疾患の場合、2か所の訪問看護ステーションからの訪問を受けることが難しいことがほとんどだ。新たな制度で2か所併用問題が解消されたわけではない。
新規で、小児慢性特定疾患の利用者さんの受け入れをする場合には他事業所のサービスの利用がないか確認するように気をつけてほしい。
★ここに掲載している情報は2015年1月7日時点の情報です。新しい情報が入り次第追記しますが、掲載している内容については自己責任でご利用ください。この記事による損害等について当サイトでは保障致しません。
★上限額管理の制度面のことや、レセのことについてはこちらにまとめていますのでご参考にしてください
⇒⇒訪問看護ステーションでの上限額管理票の記載について
コメント