仕事納めにバランスボールで30分ほど年長児と遊んでへとへとになった作業療法士です。鉛筆上手に持てない年長さんなんですよね。スプーンの持ち方は上手になってきました。だから、セラピー用の大きなバルーンで遊ぶことにした。そのあたりのことを書いてみる。
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正常発達の要素
スプーンの持ち方とか鉛筆の持ち方の練習に取り組んでいる子供たちはたくさんいる。
僕の握りに対してのスタンスはこんな感じ
⇒スプーン・鉛筆・お箸の「握り」「持ち方」のリハビリの基本的考え方
児童発達支援事業所&放課後等デイサービスの事業所でリハビリテーション専門職が在籍しないような事業所だと、結構苦労しているんじゃあないかなと想像している。
鉛筆やスプーンの持ち方は、強制的に握り方を変えさせても上手にはならないし、子供は大人の言う通りには持ってくれない。だから余計に苦労する。
だから、子供たちの運動の発達過程をしっかりと理解する必要がある。運動の発達にはいろんな原則がある。その中に
- 頭⇒尾方向への発達
- 近位部⇒遠位部方向への発達
っていうのがある。
頭⇒尾方向への発達っていうのは、頭から足の方に向かって運動の能力が発達するってもの。腹臥位(うつ伏せ)の姿勢なんかでも、頭を持ち上げることができるようになり、手で支えて体を起こせるようになり、足が動いてきて四つ這いになって、つかまり立ちして歩くようになる。頭の方から足に向かって運動能力が発達するという方向性がある。
近位部⇒遠位部方向への発達っていうのは、中枢部がしっかりと動くようになってくるからそこから先の部位の運動能力が上手になってくるってことだ。体幹がしっかりするから、肩甲帯も安定する。
肩甲帯がしっかり動くようになってくると腕全体を動かせるようになってくる。
赤ちゃんせんべいなんかを食べるようになってくる頃は、せんべいの持ち方はテキトーだし、せんべいを口に入れているのか、手を口に入れてるのかよくわからないような状態になっているけど、とにかく手を口の方向にはもっていけてる。腕全体の動きはなんとなくコントロールできているってことだ。
肩が安定してくると肘とか前腕の動きが上手になる。
机に座ってスプーンとかを持ち始めたころ、坐るのは何とかできても腕を動かしまくるからあちこちに食べ物がこぼれる。時には皿もひっくり返す。だけど、座れてるからこそ腕が動いてるってことだ。もっとしっかり座れるようになってくると、皿をひっくり返す事は減ってくる。でもスプーンを動かす動きの中心は肘とか前腕が中心なので口にスプーンを持っていけるけど食べこぼしは多いけど、肘はしっかり動いている。この時期手首とかは動かない。
肘とか前腕とかの動きがしっかりしてくると、今度は手首が動き出してくるし、手首の動きがさらに良くなってくるとようやく手指の動きが出てくる。
これが近位部⇒遠位部方向への運動発達。
今動いているのはどこ?
手首と手指が固定されている状態で、肘とか前腕部分の運動を中心にしてスプーンを使ったり鉛筆を持ったりしているような状態の子供さんに対して、握りを強制的に変えたって上手に持てるようにはならないことが多い。むしろ、手首とか前腕部分をしっかりと動かせるようになる練習が必要だ。
冒頭に書いた、バランスボールを使って練習している子供さん。
スプーンは何とか三指握りで持つんだけどね、鉛筆は手をグーにして指先で握りこんで持ってしまう。字を書こうとしても前腕とか手首の動きで書くんですよね。しかも手を浮かせたまま書きます。だから大きな字になる。
指先でものをつまむとかできるから一見上手そうなんだけど、肩甲帯とか肩とか腕全体の動きが不十分そうなんですよね。だから思い切って体全体をしっかりと動かすことにしました。
バランスボールってこんな感じのもの。
このボールを両手で持ち上げて投げたり、僕が投げたボールをしっかりと受け止めたり。バウンドさせてキャッチしたり。まあとにかくいろいろ腕全体を動かすって練習をしっかりとしてみました。
最初は頭の上にボールを持ち上げることできなかったんだけど、30分くらい遊んでいるとだいぶ持ち上げることができるようになってきた。
まだ一回しか取り組んでいないから鉛筆の持ち方が上手になるかどうかは不明。上手になったらまだこのサイトに書くようにするけど、たぶん上手になる。
手・指を動かそうと練習するために、指先で細かなものを持たせたりするようなことはよくやられていると思うけど、手先が上手に使えない場合、肩や腕をしっかりと動かす練習をするほうがいい場合もある。
どこに動きの問題があるのかをしっかりと吟味するってことだ。
バランスボール、トンネルくぐり、ジャングルジム、ロープ遊び、大きなフラフープ、こんな活動が手・指の動きの向上に効果的なケースもあります。
そのあたりのことをしっかりと評価できるのが作業療法士です。
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