【Wikipediaより引用】するとパラダイムシフトは以下のような言葉である。
「パラダイムシフト(英: paradigm shift)とは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。パラダイムチェンジともいう。
リハビリテーション業界でもパラダイムシフトという用語が研修会で使われるようになってきたが、個人的にはあまり好きではなかった。
この「劇的に変化する」という部分が適当でないと考えていました。
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報酬改定のこと
過去にコラムでも書いていますが、診療報酬や介護報酬改定においてその議論の過程は明確に資料として厚労省のサイトに掲載されているし、ほかの検討会でも報告書などが掲載されている。
だから、医療業界や介護業界は変化してきているけど、それは情報として事前に提示されていて、きちんと読み込めばそれなりに対応できる事柄が多く、劇的に変化するということではない。
しかも、診療報酬は2年に1回の改定、介護報酬改定は3年に1回の改定で劇的に変化するとは言い難い。
だから、リハビリテーション業界ではパラダイムシフトはという表現は適切ではないと考えていたのだ。
しかし、2018年7月に講演でお招きいただく石巻と金沢での講演資料を作成していて、やっぱりリハビリテーション業界にもパラダイムシフトは生じているという結論に至った。
このままでは、リハビリテーション業界で働いている理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の多くは、時代の劇的変化についていくことは出来ないでしょう。
その結果、リハビリテーション業界というものは自分たちの独占状態だと考えているような理学療法士や作業療法士、言語聴覚士は淘汰される。そうしてリハビリテーション業界はいわゆる他職種が積極的に関わっていくことになるでしょう。
世の中にあふれている
リハビリデイサービスという看板を上げている通所介護事業所は
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が在籍していなくても運用可能です。このことだけを考えても、リハビリテーション業界には関連職種が進出してきているのです。
時代の変化
厚労省がここ10年くらいでリハビリテーション専門職に求めようとしてきた役割の経緯については以下のコラムに書いている。
厚労省の考え方と現場のリハスタッフとの考え方のギャップ大きそうだな、大丈夫か?(1)厚労省の考え方の整理
今回はさらにもう少し医療業界の時代的変化を追加して考える。
上記のスライのどのリンク先を見たい方はこちらのファイルをご利用ください
⇒厚労省の資料一覧(PDFが開きます)
介護保険は平成12年に始まった
介護保険が始まる以前には理学療法士や作業療法士や言語聴覚士は診療報酬だけが働くことのできる領域の職業でした。
しかし介護保険以降、介護報酬領域で働くことができるようになりました。
平成12年以降は、主治医の指示だけでなくケアマネのプランも必要になりました。
同年に回復期リハ病棟もスタートしました。私が勤務していたリハ専門病院の自宅復帰率は翌年、80%から60%に低下しました。
平成18年に疾患別リハが開始されました
疾患別リハが創設されたことにより、疾患種別ごとに入院期間が設定されました。
回復期リハ病棟と疾患別リハの開始に伴い、入院期間は短縮されました。
そうして、介護保険の開始に伴い、老人保健施設や医療型介護療養病棟などが普及し、通所リハ事業所や訪問リハなども含めて、病院を退院後の患者さんの選択肢は増えることになりました。
平成27年の介護報酬の改定
活動と参加へのアプローチがクローズアップされるようになりました。さらに、リハマネ加算が新設されて、リハ専門職によるマネジメントが求められるようになりました。
平成30年トリプル改定
診療報酬改定において、退院支援加算が再編され入退院支援加算となり多職種が入退院支援に関わることができるようになりました。
さらにはリハビリテーション実施計画書の様式が変更され、診療報酬側の病院と介護報酬側の生活期で用いるリハ実施計画書が統一されることになりました。
これらの変化を整理すると平成12年の介護報酬創設以降リハビリテーション業界にはかなり大きな変化が起きているのです。
- 主治医の指示だけではなく、ケアマネジャーのケアプランがリハビリテーションの実施には必要
- 入院期間の短縮と病院退院後の患者さんの選択肢の増加
- 多職種で推進するリハビリテーションの必要性
- 心身機能だけではなく、活動と参加へのアプローチ
- 病院と生活期のリハビリテーションの連携の必要性
ケアマネと仕事をすることになって18年がたちます
介護保険が制定されて18年が経過します。
私たちリハビリテーション専門職が介護保険とかケアマネジャーと仕事を共にするようになって18年が経過するのです。
回復期リハ病棟ができて18年です。退院後の患者さんの選択肢は多くなり、そのほとんどが何らかの形で介護保険のサービスを利用することになります。
それなのに
理学療法士や作業療法士や言語聴覚士の中にはいまだに
- 介護保険のことはよくわからない
- ケアマネジャーと話をしたことがない
- どのようなことを地域に申し送ればいいのかわからない
というようなことを平気で言う理学療法士や作業療法士や言語聴覚士が世の中にはたくさんいます。
いやもう18年たっているんですけど・・・
パラダイムシフトだ!!
僕にとっては18年という長い時間をかけて時代は変化してきているので、劇的な変化ではありません。
しかし世の中の大半の理学療法士や作業療法士や言語聴覚士はこの時代の劇的な変化に全く対応していないのです。
理学療法士や作業療法士や言語聴覚士の約6割は診療報酬体系で働いているといわれています。
その診療報酬体系で働いている多くのセラピストは、世の中の変化に全く対応できていません。まさにパラダイムシフトが起こっている今のリハビリテーション業界の現状を全く理解できていないのです。
介護保険のこと知りませんって平気で言うような理学療法士や作業療法士や言語聴覚士がいるのです。
時代遅れのセラピスト!
病院で働いているから介護保険のこと知らないなんて、自分の無知をさらしているだけです。
介護保険が始まって18年たっているんです!!
理学療法士や作業療法士や言語聴覚士にとって
- 主治医の指示だけではなく、ケアマネジャーのケアプランがリハビリテーションの実施には必要
- 入院期間の短縮と病院退院後の患者さんの選択肢の増加
- 多職種で推進するリハビリテーションの必要性
- 心身機能だけではなく、活動と参加へのアプローチ
- 病院と生活期のリハビリテーションの連携の必要性
こういったことはすでに実践していかなければならないことなのです。
何も知らないセラピストにとっては、まさにパラダイムシフトなんでしょうねえ。
このコラムは、リハビリテーション業界のパラダイムシフトについての第1弾です。続きは以下からどうぞ!!
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コメント
現在デイサービスで管理者をしております理学療法士です。山田さんのお話を毎回自分のモチベーションにして業務を行っています。私の属する法人は老健を主体としておりますが、入所系のセラピストもやはりリハ室で行うリハが本物であると感じていると思います。報酬も入所系のリハは結果よりも実施した事実のみの評価にとどまっていますし、またその評価も比較的高く設定されています。外に出るメリットがない以上結果を残す自信のないセラピストが尻込みしてしまうのも分かる気がします。経営主体も移動などのコストやリスクの少ない入所系のリハの方を重宝がりますしセラピストもマッサージで満足して頂ける環境の方が安心して業務出来るのだと思います。自分は現在の報酬体系のままであれば、セラピストとしての経験や実績が報酬に反映されないことから経営する側としては少しでも安い人件費で済むセラピストを雇用したいとなるはずで、また自分のキャリアを守るためにも、リハ職の存在を社会に認めさせるためにも外に出るべきだと感じます。
長々とすいません。これからも応援しています。
入所系のセラピストが、病院みたいなリハするってのはどうなんでしょうね。
制度的に、報酬的に外に出ることが難しいのはよくわかる。だけど、地域にある事業所のスタッフが施設に閉じこもっていれば退所後の連携は難しいだろうし、地域に利用者さんを戻すときに苦労すると思うけどなあ。
積極的に地域に出ることが、法人や事業所のアピールになるってことを気づいてないんでしょうねえ。
コメントありがとうございました。