患者さんが退院するときに、退院前指導で加算をとるだけではなく、退院するにあたって必要なことをきちんと伝えていますか？
私は2013年10月現在、訪問業務をメインの仕事として働いています。だから、新規の利用者さんの多くは回復期リハビリテーション病院、病棟から退院してきた方ばかりです。新規の利用者さんや、そのご家族からいろんな話を聞きますが、
「おっ、退院にあたっていい指導してるな」
って思うこともあれば
「なんやねん、これくらいのことちゃんと伝えとけよ けっ！」
って思うこともあります。その違いってなんなんでしょうか？入院中に患者さんにきちんと伝えておいてほしいのは、家で行う自主トレのことだけではないんですよ。
退院したら、自分の体はどうなる？
コレッて多くの患者さんが心配していることなんですよ。
多い人だと回復期リハビリテーション病棟で毎日、9単位（3時間）にわたって理学療法士や作業療法士、言語聴覚士からのリハビリテーションを受けているわけですよね。それが、ある日突然0時間になってしまうのが「退院」ってことですよね。
「毎日リハビリ受けてたから良くなった」
「リハビリ受けなかったら悪くなるんとちゃうか？」
みたいなことを多くの患者さんは考えています。
このようなことを考えるのは、自宅退院する方だけではりません。老健や施設に転院する方も同じように感じてます。
知って欲しい、退院後のリハビリテーション事情という記事でも書きましたが、患者さんの多くはリハビリテーションを受ける時間が減ることに対して非常に敏感なんです。
だからこそ、退院して毎日リハビリテーションを受けることができなくなったら、どうなるのかってことをきちんと説明してあげてほしいんですよね。
退院後の一時的なレベル低下
退院して、自宅に戻るにしろ老健などの施設に転所するにしろ、病院とは異なる環境で新たな生活を始めるんですよね。
そうすると、患者さん自身の能力が低下しなくても、環境の変化に適応することができなくて一時的にADL能力は低下することがあります。これは短い方でも数週間、長い方では2カ月～3カ月くらいかかる方がいてるというのが、訪問の現場で働いていて感じることです。
能力が低下しているわけではありませんので、環境に適応すれば少しづつ元のADL能力が戻ってきます。
こんなことを退院時に説明してますか？
説明を受けていない患者さんの多くは、自宅に戻ったり、老健に行って環境が変わって適応できない最初の数週間に感じるのは
退院してリハビリ受けてないから悪くなったんだ
ってことなんですよ。
訪問でも、「悪くなっていませんよ、環境が変わっただけだからしばらくすると生活が落ち着いてきますよ」って説明するのですが、一時的に悪くなっていると感じている患者さんや家族さんの不安はすぐに消えることはありません。
だから「毎日訪問に来てほしい」なんてことをリクエストされたりします。
毎日リハビリテーションでなくても大丈夫
急には悪くならない
ってことをきちんと伝えておいていただければ、患者さんも安心して生活に戻ることができるんですよ。
まずは普段の生活をきっちりとこなす
自宅に戻る方にとって一番の自主トレってなんだと思いますか？
体操
スクワット
いえいえ、普段の生活をできる範囲でいいからきっちりと毎日繰り返すこと だと思います。疲れてきたら時々サボってもいいけど、なるべく自分のことは自分でする。これが一番大事なんじゃあないかと思っています。
日中はパジャマ それとも 普段着 ？
私が、訪問している利用者さんの生活を評価するときに指標にしているのが訪問時の利用者さんの服装です。
訪問する時間帯にもよるのですが、いつでもパジャマってことはあまり活動的に動いていない方が多いんですよね。
まあ、うちの娘も休みのときは朝から晩までパジャマってことはありますが、、、
朝起きたら着替える
これって大事な習慣だと思います。患者さんの能力やご家族さんの介助負担などもありますから、強制することはありませんが、いつも普段着に着替えている方が、徐々にパジャマでいることが増えてきたら、ちょっと心配なんですよね。
着替えるってことが大変になってきている証拠だからです。
自主トレで体を動かすことも大事なんですが、習慣として体を動かすためには普段の生活をきっちりとこなすことが重要なんです。
- 起きる
- 着替える
- 顔を洗う
- ご飯を食べる
- 陽を浴びる
こういったことが習慣になっている人なら、急激なADLの低下は考えにくい。むしろ、こういったことをきちんとやっている人が、それをこなせなくなってきたら、ちょっと気を付けないといけないってことなんですよね。
- 毎日リハビリ受けなくても大丈夫ですよ
- 急に悪くなったりすることはありませんよ
- 退院後しばらくは、疲れたり、動きにくかったりするけど、2～3カ月くらいしたら落ちつきますよ
- 毎日できる範囲のことは、自分でやってみましょう
せめて、これくらいのことは伝えておいてほしいなあって感じています。
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