このコラムは子供さんの成長に不安を感じるお母さんのために、運動の発達をどんな風に確認すればよいかということを書いているシリーズの第4弾です。シリーズですので他のコラムと合わせてお読みいただけると幸いです。
⇒育児や子育て関する記事一覧
私は作業療法士という仕事についています。病気や障害のある方のリハビリテーションをする職業です。子供のリハビリテーションにも関わっていますし、豊中市の保健センターの保健師さんと一緒に発達の遅れのある子供さんの育児についてのアドバイスなども行っています。(2019年4月時点)
そんな経験から、発育の遅れに対して不安なお母さんたちに少しアドバイスを書いておきます。
※このコラムは作業療法士としての私個人の見解であります。このコラムをお読みの方の育児に責任を果たすことは出来ません。発達の遅れが心配な場合は最寄りの保健所・保健センター、小児科医にご相談ください
赤ちゃんがなかなかおすわりしない、すわるようになったけどすぐに倒れる、一人でしっかり座れない、そんな方の参考になればうれしい。
お座りの時期
育児書的にはお座りを始めるのは6カ月前後となっています。
以下の図は厚労省の資料ですが、これによると5カ月前後くらいから一人すわりを始めるようです。
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※この資料の出典はこちらです
- 平成22年乳幼児身体発育調査の概況について(厚労省のサイトに移動します)
「すわる」能力のこと
「1人すわり」という厚労省の項目ですが、6カ月くらいの子供さんが一人で転がることなく座るという意味ではありません。
瞬間的にも床の上で座るような姿勢を取り始める時期という感じです。お座りを一人で始めるのは、寝返り動作をする時期と重なってきます。
あお向け⇒うつぶせ、うつぶせ⇒あお向けという姿勢変換が寝返りですが、活発に寝返りするころにお座りをし始めます。
寝返ってうつ伏せになり、手で体を持ち上げながらいつの間にかお座りしているんだけど、すぐに前方や側方にまた倒れてしまったりします。
だから「すわり始める」ということと「転ぶことなく一人ですわり続ける」というのは成長の度合いが異なります。
「すわり始める」のは厚労省の図にもあるように5カ月から6カ月くらい、遅い子供さんでも8カ月~10カ月前後くらいです。成長にはある程度の幅があるのです。
おすわりをし始めたばかりの子供さんは側方や後方によく転びますので、クッションとか座布団を置いておく方が安全ですね。
早く練習しなくて良い
他の子供さんが座り始めたと聞くと、すわる練習を始めるご両親も多くいます。
だけど赤ちゃんの成長には幅があり、早く座り始める子もいれば遅くになってすわり始める子もいます。練習をしたからといってその分早く上手に座れるようになることはほとんどありません。
むしろすわる能力が十分ではない時期に座る練習をすることの方が問題です。
このコラムでも書きましたが、子供の成長過程で身につける能力に抗重力活動というものがあります。重力、体の重さに負けることなくしっかりと体を支えることのできる能力が、抗重力活動です。仰向けでしっかりと天井方向に手や足を伸ばす、うつ伏せで手や足で体を支えるといった手や足や体幹の部分の抗重力活動がしっかりしてくると、子どもたちはいつの間にか自分でお座りをしようとするようになります。
そのような抗重力活動の機能が十分に備わっていない時期に無理やりお座りの練習を始めると、グラグラした状態ですわらないといけないので不安定になり上手に座ることは出来ません。
だから、早くから無理やりすわる練習をさせることに意味はありません。
※何らかの障害がある子供さんに、「すわる練習」をリハビリテーションの現場で行うことはありますが、障害のない子供さんの場合は座れない時期に座る練習をしても早く座る能力を身につけることにはなりません
すわる動作のポイント
こんな感じでお座りが上手になってきます。
- 手を前についているけど、その手を少しでも動かすと前に倒れてしまう
- 前傾姿勢だった体が、徐々にまっすぐになってくる
- 前にグラグラしても、上手に手で支えることができるようになる
- 手をつかなくても一人ですわっている
- 横方向にバランスを崩しても、手をついて支えるようになる
- 後ろにバランスを崩しても、手をつくようになる
- すわっていてもバランスを崩さずに遊び続けることができる
バランスを崩さなくなってくる時期に四つ這いも上手になってきます。
手をつかずに座れるようになってくると、マグマグカップを両手で持って飲むことを始めたりするようになります。
体をしっかりと支える能力が身につくということは、両手を体の支えに使わずにいることができるので、おもちゃで遊んだりコップで飲み始めたりするという動作が始まるようになります。
身体を支えることができるから両手を自由に使えるのです。おすわりの姿勢で両手を自由に動かせないということは、まだ胴体で体をしっかりと支える力がないのですぐに倒れてしまいます。体をしっかりと支えることができるようになるとおすわりで手を使う時間が増えていきます。
けっして早くから無理やり練習させないようにしてくださいね。仰向けやうつ伏せやズリズリと這いながら移動する動きの中でしっかりと体幹部分の抗重力活動ができるようになるとすわり始めるようになります。
発育の遅れなどにご不安な場合は最寄りの保健所や保健センターなどにご相談ください。
- 一般の方からの個別のご相談や問い合わせには対応していません。
- 保育園や幼稚園、支援者関係者からのお問合せには対応いたしますが、有料での対応となります。
⇒子どもの運動発達に不安があるお母さんのための運動や動作の観察のポイント1
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